ブレイク・ライブリー&ライアン・レイノルズ、デモ参加者支援のために寄付
米ミネソタ州ミネアポリスの商店で偽造紙幣を使用した疑い(※)で警察に通報され、駆けつけた白人警官によって暴行を加えられたうえ、路上で8分46秒も首元を膝で圧迫され続けたことにより命を奪われたアフリカ系アメリカ人男性ジョージ・フロイド氏。
※その後の調べで、フロイド氏が使用した紙幣は本物だったことが判明している。
彼の最後の瞬間を通行人が撮影した動画がSNSを通じて拡散されたことが引き金となり、それまで抑圧されてきた現地黒人コミュニティと彼らを支持する反人種差別主義者たちが、連日抗議運動を繰り広げている。
過去にも白人警官により無抵抗や丸腰の黒人が殺害されるという同様の事件が幾度となく発生しながら、人種を理由に厳罰が与えられなかったという背景を踏まえ、もう二度とこのような凄惨な事件が繰り返されない社会になることを求めて、アメリカ全土だけでなく欧米諸国の都市でも大規模デモが勃発する事態に発展。
SNSで人種差別撲滅を呼びかけるだけでなく、自らデモの最前線に出向くセレブも現れるなか、ドラマ『ゴシップガール』の俳優ブレイク・ライブリーと、その夫で映画『デッドプール』の俳優ライアン・レイノルズは、抗議活動中に逮捕されたデモ参加者たちの弁護を支援する目的で、アメリカで最も古い公民権運動組織の1つである全米黒人地位向上協会(NAACP)に20万ドル(約2,100万円)を寄付したことを発表した。
人種差別に関して無知だったことが「恥ずかしい」
ライアンとの連名で行なったNAACPへの寄付についてインスタグラムで報告したブレイクだが、それと同時に公開したメッセージのなかで、人種差別に関して無知だった過去を恥じていると語り、まだ幼い自身の3人の娘たちに人種差別に関する教育を行なっていくことを誓った。
以下、ブレイクのコメントを和訳。
私たちは、これまで、自分の子供たちに、通常の法律とは違うルールで裁かれてしまう可能性や、車に乗っていて、もし警察に止められた場合には、どんな心構えを持つべきかを言い聞かせなければならないと悩んだことはありません。そんな日常を繰り返し経験している人たちの苦悩は私たちには計り知れません。そんな不安や怒りを抱えなければならないなんて、想像もつきません。私たちは、組織的人種差別がいかに根深いものかについて、無知でいることを許してしまった自分たちを恥ずかしく思っています。
私たちは、私たちの両親とは違った方法で、子供たちに(人種差別について)教えています。ほかの人々の経験について学び、洗いざらい子供たちにすべてを伝えたいと思っています。とくに、私たち自身の(人種差別への)連帯責任に関しても。偏見や、問題に対して盲目でいることの愚かさ、そして、私たちの過ちについても子供たちに話します。振り返ると、私たちが犯した、たくさんの間違いが見えてきます。そうすることにより、私たちは、自分がどんな人間なのか、今後はどんな人間になりたいのかを深く考えました。これらの行いは、教育の新たな方法へと導いてくれました。
私たちは、自分達の子供を(人種差別の)この異常なパターンに加担せず、意識的にも無意識的にも、他人に痛みを与えることがない大人に育てることを誓います。これがジョージ・フロイド氏やアーマード・アーベリー氏、ブリオナ・テイラー氏、エリック・ガ―ナー氏、そしてカメラが回っていないところで殺害されてしまった、すべての黒人男性や黒人女性に敬意を表すために、私たちができる最小限の事です。
先週、私たちはNAACPの法的防御基金に20万ドルの寄付を行ないました。同団体の取り組みやリーダーのシェリリン・アイフィル氏に畏敬の念を抱いています。これはまだ始まりにすぎません。これからも知識を深め、地域におけるすべての選挙において、(人種差別反対派に)投票を行なうことを約束します。教育委員会や保安官、市長(町長)、市議会議員らのこの問題への立ち位置の明示を求めます。
しかし、何よりも、私たちは自分たちの特権と影響力を活用して、アライ(同盟者・サポーター)となることを望みます。現在の大規模な試みに失望し、痛みを感じているたくさんの人たちの痛みを和らげる一翼を担うために。
ブレイクはこのメッセージの後に自身とライアンの寄付先であるNAACPのリンクへの誘導ともに、人種差別撲滅を訴える署名にサインすることや、権力者や企業に電話をかけて抗議すること、募金や人種差別について知識を深めることの重要性に関するコメントを添えている。
ブレイクの「過去の過ち」
メッセージの中で自身の無知や過去の過ちに言及したブレイク。じつは、裕福な白人家系の出身である彼女は、黒人に対する人種差別に関して無知だった故にとってしまった行動が原因で、過去に何度か世間から批判を受けたことがある。
ブレイクが2014年から2015年にかけて監修していたライフスタイルサイト、『Preserve(プリザーブ)』は、そのテーマが黒人奴隷制度が蔓延していたアメリカ南部のアンテベラム期を美化しているようだと一部で非難の声が噴出。
2016年には、ブレイクがカンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いた際の写真をインスタグラムで公開し、ラッパーのサー・ミックス・ア・ロットのヒット曲「Baby Got Back(ベイビー・ゴット・バック)」の歌詞にかけて「LAの顔とオークランドのお尻」とコメントを添えたことが、「LAはリッチでスタイルがいい白人の街だけど、オークランドは貧しくて肥満の黒人の街だと嘲笑した」、「黒人をバカにしている」と、人種差別的な発言だと騒ぎになった。
「プランテーション婚」にNG
ブレイクとライアンは、2012年の極秘挙式の際、サウスカロライナ州チャールストンにあるプランテーションを使用。その後、結婚式会場の写真などをブライダル系メディアを通じて公開した。
しかし、その6年後の2019年、画像収集アプリのピンタレスト(Pinterest)が、プランテーションを美化した写真の非表示を発表。それにより、ブレイクとライアンのウェディング写真も背景が分かるものは非表示となった。
その理由は、おもにアメリカ南部にあるプランテーションの多くは、もともと、綿花やコーヒーを栽培する大規模農園で、たくさんの黒人奴隷が酷使されていたから。
プランテーションでの結婚式は、当時流行していたウェディング・トレンドの1つだったが、有色人種の権利向上に取り組む団体カラー・オブ・グループ(Color of Group)が、「プランテーションは史上最もひどい人権侵害の1つを思い出させる場所」だと苦情を出したことなどから、ピンタレストは「プランテーションをお祝いにふさわしいノスタルジックな場所として美化することはユーザーにポジティブな影響を与えるものではない」として、ブレイクとライアンの結婚式の写真を含む、プランテーションに関連する写真を排除した。
ブレイクは、今回のメッセージで自分の人種差別にまつわる過ちに関して具体的に例を挙げて説明したわけではなく、人々の記憶にあるこれらの過去の騒動を示唆しているかは不明だが、彼女が、世間から指摘を受けたことで、人種差別についてより深く知ろうと努力したことは確かだろう。
夫のライアンは、ブレイクと同じメッセージをインスタグラムに投稿するとともに、人種間の平等を推進するために協力すべき各種募金に関する情報をシェアした。(フロントロウ編集部)
※当初、首をおさえられていた分数を「9分間」と記載していましたが、映像による証拠から現在わかっている「8分46秒」へと訂正しました。