衣装デザイナーが本物の宇宙服をデザイン
民間での有人宇宙船打ち上げを史上初めて成功させた宇宙企業「スペースX」。CEOのイーロン・マスク氏は、これまでも数多くの功績をテクノロジー分野で成し遂げてきたけれど、その革新的なこだわりは、宇宙服にまで及んでいた。
宇宙船クルードラゴンに乗るダグラス・ハーリー宇宙飛行士と、ロバート・ベンケン宇宙飛行士の宇宙服が、これまでのNASAの宇宙服や、例えばSF映画『オデッセイ』や『インターステラー』で見るような宇宙服とは違って、とてもスタイリッシュなことに驚いた人も多いのでは? その裏には、マスク氏のこだわりによってなされた“ある人選”が隠されていた。
じつは、スペースXの宇宙服をデザインしたメンバーには、マーベル映画『マイティ・ソー』やDCコミックス映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、さらにディズニーのSF映画『トロン』で衣装の一部を担当したホセ・フェルナンデスの名が!
衣装には機能性が必要とされる
2016年にスペースXから初めて連絡を受けたというホセは、じつは当時、スペースXを知らなかったそう。
「スペースXが何か知らなかったので、映画だと思ったんです」
米Forbesのインタビューでこう振り返ったホセだけれど、そんな彼に何故白羽の矢が立ったかというと、それは彼の衣装がかなり機能的にも優れているから。『マイティ・ソー』でクリス・ヘムズワースが演じたソーと、トム・フェドルトンが演じたロキのヘルメット、さらに『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でベン・アフレックが演じたバットマンのヘルメットをデザインしたホセ。その制作において彼は、バットマンがヘルメットを被ったまま頭を回せるようデザインをしたことで有名。
ちなみにホセは、常にヘルメットを被っていることで知られるフランスのテクノユニット、ダフト・パンクにも何度かデザイン提供をしている。
イーロン・マスク氏のこだわり
また、『アメージング・スパイダーマン』や『X-MEN2』の衣装も担当したので、機能的な衣装も、タイトフィットな衣装も、様々なタイプの服をデザインした経験と知識があり、それはその分野を飛び越えて宇宙服のデザインにまで応用できるほどだったよう。ホセは、マスク氏のデザインへのこだわりをこう振り返った。
「彼は繰り返し、『タキシードを着たら皆マシに見えるでしょう。それがどんなサイズや形であったとしても』と言っていました。そしてこの宇宙服を着た時には、それを着ていない時よりかっこよく見えるようになって欲しかったんですね、タキシードのように」
ちなみに、今回ここまでスタイリッシュな宇宙服が出来上がったのは、今回は宇宙飛行士たちが船外活動をする予定がないからというのも、大きな要因のひとつだそう。しかし今後は、どのようなタイプの宇宙服にもデザイン性が取り入れられていくかもしれない。(フロントロウ編集部)