リトル・ミックスのメンバーであるリー・アン・ピノックが自身の肌の色のために業界内で感じてきた劣等感を涙ながらに告白。フィフス・ハーモニーのノーマニなども彼女の投稿にコメントした。(フロントロウ編集部)

リー・アンがブラック・ライヴズ・マター運動に言及

 リトル・ミックスのリー・アンがインスタグラムに投稿した動画の中で、世界各国で人種差別に抗議する運動が起きていることに言及。自身の肌の色のために経験してきた辛い体験について涙ながらに語った。

 ここ数ヵ月で複数人の黒人が、非武装ながらにも警官に殺された事件を受けて、アメリカを中心に世界各地やオンライン上で黒人の命にも価値があると訴える「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」運動や抗議デモが広がっている。移民3世としてイギリスに生まれたリー・アンは現在世界中で起きている運動について、「今になって、人生で初めて人種差別が会話の話題になったと感じています」とした上で、次のように続けた。

画像: リー・アンがブラック・ライヴズ・マター運動に言及

 「これを『一時的なもの』と考えてはいけません。私たちを抑圧してきた体系を終わらせ、私たちと対をなす白人たちと平等に見られるようになるまで、ムーブメントを続ける必要があります」と、この運動を続けていくことが大切だと訴えたリー・アンは、人種差別について「一夜にして起きたことではありません」と強調。「黒人たちは400年以上にわたって抑圧されてきました」と長年にわたって迫害されてきた歴史があるとした上で、「400年が経ってなお、黒人のブラザーやシスターたちが銃で撃たれたり、他の人々よりも酷い扱い方をされたりしているのを私たちは見ています」と、変わらない人種差別の現状を訴えた。

 続けて、「異人種間の交際に反対する声が多かった時代」に白人と移民同士で結婚した祖父母のエピソードを交えながら、「幼少期は、私も姉妹たちも、人種が目標の妨げになるとは思っていませんでした。祖父母たちが60年代に混血の子供たちを育てられたのだから、何だってできると思っていました」とリー・アン。

 「私たちは人種差別の問題を先延ばしにしてしまっていたのです。黒人たちは、自分たちがどこまで行けるかではなく、どこまで来たかを考えさせられることがしばしばです。そうして、私たちは人種差別を先延ばしにしてしまっていたのです。考えてみてください。白人たちが、人種としてある地点まできたことを感謝しなければいけないなど聞いたことがありますか?あらゆる黒人たちは、人生のある地点で、いくらお金を稼いだり、いくら目標を達成したりしようとも、人種差別から解放されることはないと気がつきます」と、有色人種たちは終わりの見えない人種差別に悩まされてきたと訴えた。

グループ内で感じていた劣等感

 リー・アンが自身の肌の色の違いをめぐって「人生で最大の気づき」を得たのは、ペリー・エドワーズ、ジェシー・ネルソン、ジェイド・サールウォールと共にリトル・ミックスを結成してからだったといい、2012年発表の『ウィングス』のミュージックビデオで黒人の監督で振付師のフランク・ガストンと仕事をした時だったという。リー・アンはフランクとの仕事について次のように振り返っている。

「フランクからこう言われたのです。『君は黒人の女性だ。10倍の努力をしなければいけないよ』と。自分の人種のために、多くの努力をしなければいけないなど、人生で言われたことがありませんでした。後になって、フランク・ガストンの言っていたことが分かるようになりました」

 「世界一のガールバンドになるという夢には、欠陥と、クリエイティブ業界の根底に人種差別があることを知るという結果が伴うことを学びました」と、クリエイティブ業界において人種差別を目の当たりにすることとなったと明かしたリー・アンは次のように続けた。

「声をあげ過ぎたり、意見を持ち過ぎたりしてはいけないことを学びました。そうでなければ、ディーヴァ(※)と言われたり、攻撃的だと言われたりしてしまうのです。部屋に入ると、近づきがたい、よそよそしい存在として、誰も近づいて来なくなってしまうのです。業界におけるダイバーシティの欠如について意見を持つことは、どうにもならないことをしてるのも同然だと学びました。そういったこともあり、イベントやセレモニーで自分の抱えている場違いさを理解してくれる黒人のクリエイターたちに会った時にようやく、稀にある快適な瞬間を得られるのです。その瞬間は夢が実現するような心地になれます。けれど、あっけなく現実を突きつけられることになるのです」
(※)「歌姫」を意味する「ディーヴァ」だけれど、ここでは「わがままな女性」という皮肉の意味で使われている。

画像: グループ内で感じていた劣等感

 リー・アンは彼女の言う「現実」を突きつけられることとなった具体的な体験について、「白人が多い国を訪れた時には、孤独を感じてしまいます」とした上で、次のように続けた。

「私のことを見たり、聴いたり、歓声をあげてくれないファンのために私は歌うのです。現実として、ファンイベントやサイン会の前は不安を感じてしまいます。いつだって、私が一番不人気だと感じているからです。現実として、グループで居場所を作るために私は10倍の時間をかけて努力しなければいけないと感じています。才能だけでは足りないからです。現実として、私は自分の知っている才能のある(有色人種の)アーティストたちを見たいと思っていますが、業界のために、彼らはかつて私が得られたような機会を得ることはできません。彼らは『市場向き』ではないからです。音楽業界は世間が望むようなブラック・カルチャーの要素を持った人から『市場向き』ではないと思う要素は排除して、支援します。現実として、私はグループにおける透明人間のような存在だと感じていますが、私の中の一部では、もしも肌の色がもっと暗ければ、対処するのが遥かに難しいことも理解しているのです」

 「現実として、皆さんがいくら前進してこようと、人種差別は存在します」と訴えたリー・アン。「それはスポーツ界においても、クリエイティブ業界においても、政治においても、政策においても、ストリートにおいても、そして、人種差別主義者の心の中にも存在します。私たちはこの問題についてこれ以上黙っていなくてもいい立場にあります。全員で人種差別に声をあげ続け、このムーブメントを続けていきましょう」と、涙ながらに呼び掛けた。

 リー・アンのこの投稿にはメンバーのジェイドが「私のシスター。誇りに思ってる」とコメントしているほか、ほぼ同時期にデビューしたガールズグループであるフィフス・ハーモニーのメンバーもコメント。アリー・ブルックが「愛してるよ、リー。あなたはすごく素敵」とコメントしているほか、ノーマニは「私はあなたで、あなたは私。あなたのことを見てるよ!」とコメント。リー・アンはノーマニにリプライを返しており、「これだから、あなたにはずっと繋がりを感じていたの。いつだってあなたの味方だよ」と返信している。(フロントロウ編集部)

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