白人セレブたちが結集して「#ITakeResponsibility(私は責任を取る)」と名づけられた反人種差別を訴えるソーシャル・キャンペーンをスタート。動画内でセレブたちは何と語った? 世間の反応は?(フロントロウ編集部)

#ITakeResponsibility「私は責任を取る」

 全米および世界各国に拡大している、黒人に対する人種差別に抗議し、権利の向上を訴えるムーブメント「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter/黒人の命も価値がある)」をサポートへを表明し、ハリウッドの白人セレブたちが結束。「#ITakeResponsibility(アイ・テイク・レスポンシビリティ)」と題した約2分間の公共広告が公開された。

 アメリカで最も長い歴史を持つ公民権運動組織の1つである全米黒人地位向上協会(NAACP)と黒人を主人公に迎えた映画やドラマの制作に特化した映像プロダクション会社コンフルーシャル・コンテント(Conflutial Content)との提携で製作されたこのキャンペーン動画では、白人セレブたちが「I Take Responsibility(私は責任を取る)」と誓いながら、人種差別に目をつぶってきた人たちに対して、これからは差別に対して、責任をもって声を上げていくべきだと、代わる代わる伝える内容となっている。

 キャンペーンに参加したのは、映画『キングスマン:ゴールデン・サークル』の俳優ジュリアン・ムーア、ドラマ『ヴェロニカ・マーズ』の俳優クリスティン・ベル、ドラマ『アメリカン・ホラー・ストーリー』の俳優サラ・ポールソン、映画『ジャコメッティ最後の肖像』の俳優スタンリー・トゥッチ、映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の俳優ブライス・ダラス・ハワード、ドラマ『ブレイキング・バッド』のアーロン・ポール、ドラマ『ママさん刑事ローラ・ダイヤモンド』の俳優デブラ・メッシング、ドラマ『マニアック』の俳優ジャスティン・セロー、ドラマ『SUITS:ジェシカ・ピアソン』の俳優ベサニー・ジョイ・レンツ、映画『LOOPER/ルーパー』の俳優パイパー・ぺラーボ、映画『ラフ・ナイト史上最悪! ?の独身さよならパーティー』のイラナ・グレイザー、映画『ホース・ガール』の監督マーク・デュプラス、シンガーのケシャ、元オリンピック体操選手のアリー・レイズマン。

 以下、セレブたちが口にしているメッセージの全訳。

「私は責任を取ります。見過ごされてしまったすべての瞬間について。非難するよりも無視することのほうが簡単だと感じてしまった行為について。すべての笑えないジョークについて。すべてのアンフェアなステレオタイプについて。大小にかかわらず、すべての露骨な不正について。だんまりを決め込んでしまったすべての時について。警察による行き過ぎた暴力の行使を言い逃れしてしまった時や、見て見ぬふりをしてしまった時のことについて。私は責任を取ります。
黒人たちは、路上で虐殺されています。自宅でも殺されています。彼らは私たちの兄弟であり、姉妹であり、友人であり、家族でもあります。彼らが死んでいくのを見るのはうんざりです。私たちはもう傍観者ではいられない。私たちはもう時間を無駄にしたりしません。もうたくさんです。
私はもう差別を野放しにしたりしません。それが大きなものであろうと、小さなものであろうと、私の目の前で誰かが口に出した人種差別主義的で人を傷つける言葉や冗談、ステレオタイプを許したりしません。
私は気づかないふりなどしません。仕事に行くことが死の宣告となるべきではありません。自分の家で眠ることが死の宣告となるべきではありません。甥と一緒にゲームをすることが死の宣告となるべきではありません。店で買い物をすることが死の宣告となるべきではありません。いつも通り営業することで命を脅かされるべきではありません。私は憎悪に立ち向かいます。私は愛をもって、憎悪に立ち向かいます。私は自分の存在を認めさせます。殺人を犯した警察官は処罰を受けるべきです。彼らは殺人犯です。私たちには形勢を変えることができます。今こそ、責任を取るべき時が来ました。憎悪に声を上げましょう。一歩踏み出して、行動を起こしましょう。

世間からは冷ややかな反応も

 この動画でセレブたちが口にした言葉が心に響き、我が身を正す機会になったという意見もあれば、その反対のネガティブな意見もある。

 ツイッターでは、曖昧な表現が多いメッセージが不十分だと感じたり、セレブたちがカメラに向かってメッセージを言ったところで、言具体的にはとくに何も解決しないだろうと冷静な見方をするユーザーも多く、「そんなことより、お財布を開いてお金を出してほしい」、「芝居がかっている」といった手厳しい評価も見られた。

 なかには、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛が始まった当初、映画『ワンダー・ウーマン』のガル・ガドットが主導となり、人々を勇気づけるために、豪華セレブたちがジョン・レノンの名曲「イマジン」をバトンでつないで歌うという応援動画が公開されたが、一部では冷ややかな視線が注がれたことを引き合いに出し、「またか」、「セレブはいつも同じようなことをやっている」とコメントするユーザーたちもいる。


単なるメッセージ動画ではない

 しかし、このキャンペーン動画は、単なる扇情的なメッセージ動画ではない。

 「#ITakeResponsibility」キャンペーンの発足とともに立ち上げられた公式ウェブサイト、itakeresponsibility.comを訪れると、セレブたちがメッセージ内で口にしている、いくつかの人種差別にまつわる反省すべき行動がプルダウンメニューから選択できるようになっている。

 さらに、自らの行動を正す証、もしくは手始めとして、「警察に対して信頼性を求める」、「デモの最前線で戦う団体に寄付をする」、「被害に遭った家族を支援する」、「選挙への投票を呼びかける」といった善い行ないを選ぶこともできる。

 組み合わせを決めて「Get Started(始める)」というボタンをクリックすると、その目的に相応しい寄付先やチャリティ団体が表示され、そのページから円滑に寄付が行なえるようになっているため、「何か行動を起こしたいけれど、どう始めたらいいかわからない」という人にとっては、有用な仕組みだといえる。(フロントロウ編集部)

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