米スターバックスが、従業員に「身につけちゃダメ」とお達しを出したものに波紋が広がっている。そのワケとは?(フロントロウ編集部)

従業員にBLM関連のアイテムを身につけることを禁じる

 今年5月、白人の警察官(※)に約9分間首を膝で圧迫されたことにより、黒人男性のジョージ・フロイドが死亡する事件が発生したことがきっかけで、黒人に対する人種差別の撲滅を訴える抗議デモ「Black Live Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)」が全米各地で活発化するなか、米スターバックスが従業員にBlack Lives Matter関連のアイテムを身につけることを禁止していたことがわかった。
※事件後に懲戒免職となり、逮捕・起訴された。

 スターバックスは、先週、自社のSNSでBlack Live Matterへの支持を表明していたが、米Buzz Feed Newsが入手したメモによって、従業員がBlack Lives Matterを支持する衣服やアクセサリーを身につけることは、「政治的、宗教的、または個人的な問題に関する意思表示を行うことを禁ずる」という就業規則に反するうえに、一部の人に「誤解を与え、暴力を誘発する可能性がある」という理由でNGを出していたことが明らかに。

画像: 従業員にBLM関連のアイテムを身につけることを禁じる

 ただし、スターバックスは、LGBTQ+への理解を深めることを目的とした6月の「プライド月間(Pride Month)」に、LGBTQ+コミュニティへのサポートを表明するピンバッジなどの着用を許可している。そのため同社の言い分が「矛盾している」として批判が殺到。一部の消費者のあいだで不買運動が起きている。

スタバをめぐる人種差別問題とは

 ご存じの方も多いと思うが、以前からスターバックスには従業員から人種差別的な対応を受けたといった内容の告発が絶えず、一部の従業員のモラルの低さが問題視されてきた。それを決定づけることになったのが、2018年4月に起きたある事件。

 米ペンシルベニア州フィラデルフィアのスターバックスで、2人の黒人男性客が商品を購入せずに店内で友人を待っていたところ、それを不審に思った店員が警察に通報し、男性2人は駆けつけた警察官によって手錠をかけられた。しかし、この男性たちが商品を購入しなかったのは、もう1人の友人が来るのを待っていたからであり、その友人が到着したら何か注文するつもりだったが、その前に通報されてしまったというのが事の真相だった。

一部始終を撮影した動画がツイッターで拡散されたことから、スタッフの人種差別的な行動をバッシングする声がスターバックスに殺到。抗議運動が行われるまでに発展した。

 この出来事がきっかけで、スターバックスは全米にある8,000店舗以上の店舗を一斉閉店し、本社と正規店舗の従業員約175,000人に対してアンチ・バイアス・トレーニング(※)を実施。さらに、商品の購入の有無に関わらず、すべての人がトイレを利用できるようにポリシーを変更し、店内に居座ることも可能にした
※多様性を妨げる無意識の偏見や差別をなくすための教育。

(フロントロウ編集部)

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