テイラー・スウィフトが「偉人像」破壊に言及
黒人への人種差別の撤廃を訴えるデモ「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)」が連日続くなか、最もデモが激化しているアメリカ国内だけでなく、世界各国のあらゆる場所に飾られた“偉人”たちの彫像や銅像が、デモの賛同者たちによって破壊されている件に関して、シンガーのテイラー・スウィフトが、普段なら考えられないような剣幕でツイッターに連続投稿を行なった。
テイラーが憤っているのは、破壊を行なっている人々ではなく、これらの“偉人”たちを未だに“偉人”として扱い、称賛の証として古くに作られた像を残したままにしているという事実。
なぜなら、デモの参加者が首をはねたり、台座から引きずり降ろしたり、川に投げ込んだりして壊しているのは、奴隷制度を肯定する象徴となるような人物や、黒人を大量虐殺した経歴を持つ人種差別的背景を持つ人物の像だから。
怒涛の10連投で憤りを露わに
普段はあまりツイッターを使わず、連投を行なうことなどごく稀なテイラーは、おもに自身の出身地であるテネシー州に飾られている、今となっては到底“偉人”と崇められるべきではない人物たちの像について、10件のツイートでこんな風に思いの丈を綴った。
以下、ツイートを全訳。
<1>
「テネシー出身者として、私たちの州に悪事をはたらいた人種差別主義者である歴史的人物の記念碑がいくつも立っていることに、吐き気がします。エドワード・カーマックやネイサン・ベッドフォード・フォレストは、私たちの州の歴史において卑劣な人物で、そう扱われるべきです。」
<2>
エドワード・カーマックの像は先週デモの最中に破壊されるまで、州都に立ち続けていました。テネシー州は再建すると明言しています。
<3>
ちなみに、彼は白人至上主義の新聞記者で、集団暴行を容認するような記事をいくつも出版し、アイダ・B・ウェルズ<※1>のオフィスへの放火を煽り立てました。(ジャーナリズムと市民権の先駆者として功績を残した彼女のほうが、むしろ英雄として像が建てられるべきです)
※1 1890年代後半、自らの命をかけてリンチの恐怖を暴いた黒人の血を引く女性調査報道ジャーナリスト。死後にピューリッツァー賞を受賞した。
<4>
彼(エドワード・カーマック)の像を建て直すなんて、公費と正しいことをする機会をムダにするだけです。
<5>
こんな怪物の像もあります。ネイサン・ベッドフォード・フォレストは、残酷な奴隷商人であり、クー・クラックス・クラン(※2)の初代最高指導者でした。南北戦争の最中には、メンフィス(※3)で多数の黒人の北軍兵士を殺害しました。
※2 Ku Klux Klan(KKK)と呼ばれるアメリカの秘密結社、白人至上主義団体 ※3テネシー州南西端にある年。ミシシッピ川上流で行われた水上戦は「メンフィスの戦い」と呼ばれる。
このツイートとともに、テイラーは、米メディア、The Daily Beastの『The Most Hideous Confederate Statue by the Man Who Defended MLK’s Killer(マーティン・ルーサー・キング牧師殺害犯を擁護した人物によって建てられた最も醜悪な南部連合像)』というタイトルの記事をシェア。
<6>彼の像は現在でもまだ立っており、しかも7月13日は「ネイサン・ベッドフォード・フォレスト・デー」(※4)です。社会的プレッシャーに押されて、州議会はこれを覆そうとしているので、もしかしたらテネシー州民はようやく、これ以上我慢をしなくてよくなるかもしれません。幸運を祈りましょう。
※4テネシー州議会によって制定されたネイサン・ベッドフォード・フォレストの誕生日にちなんだ記念日。
<7>
像を壊したところで、何世紀にもおよぶ制度化された迫害や黒人の人々が耐えなければならなかった暴力や憎悪を正すことなどできません。でも、これは、私たちテネシー州民や訪問者たちみんなが、私たちの州が安全な場所だと感じることができるようになるための小さな一歩にはなるかもしれません。もちろん、白人たちだけではなく、です。
<8>
私たちは人種差別のパターンを受け継いできた“英雄”とされる人物たちの像を、遡及的に“悪人”として変えていく必要があります。“悪人”には、像として飾られる資格などありません。
<9>
私は、テネシー州の州会議事堂と歴史委員会議事堂が、これらの記念碑のために戦い続けることによってもたらされる苦痛について考えてくれるよう要求します。
<10>
人種差別者を称えるために戦うことは、黒人のテネシー州民に対して、そして、彼らを支えるアライ(同盟者)たちに対して、この苦痛のサイクルを課し続けるということです。過去の歴史を変えることはできませんが、この件に関して変化をもたらすことはできるはずです。
「Black Lives Matter」への支持を表明しているテイラーは、この数日前に行なったツイートでは、人種差別問題や警察の過剰な暴力の行使といった問題の抜本的な解決には、選挙により、国民一人ひとりが政治に参加する必要があることを強調していた。
さらに、デモの引き金となった、白人警官による非武装の黒人男性の殺害事件が起きたミネソタ州ミネアポリスに暮らす10代の少女たちが行なっている、地元の有色人種の人々のためにスキンケア用品やヘアケア用品を購入して寄付するというチャリティに1300ドル(約14万円)を寄付するといった個人レベルでの支援も行なったことが明らかになっている。(フロントロウ編集部)