「職場でのLGBTQ+差別は違法」
米現地時間の6月15日、連邦最高裁は職場でのLGBTQ+差別は、性別に基づく差別を禁じた連邦法に違反すると判断。性的指向や性自認を理由とする解雇などは違法であると認定した。
最高裁は判決で、従業員への性差別を禁止した1964年の公民権法第7編は、同性愛者やトランスジェンダーも対象としていると明言。
LGBTQ+コミュニティにとって、2015年の同性婚合法化に続く、権利保護に関する大きな前進となる今回の司法判断は、LGBTQ+のアクティヴィストたちや民主党の政治家、複数の大企業などによる要求に沿う結果である反面、連邦法の規定は性的少数派と呼ばれるLGBTQ+には及ばないと主張するドナルド・トランプ大統領率いる現政権の見解とは相反するものとなる。
<おさらい:LGBTQ+とは?>
L=レズビアン(女性の同性愛)
G=ゲイ(男性の同性愛)
B=バイセクシャル(両性愛、男性と女性の両方に性的指向が向く)
T=トランスジェンダー(生まれ持った体の性と心の性が一致しない)
Q=クィアもしくはクエスチョニング(自身の性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていない/生まれた性と心の性が一致するシスジェンダーであり、異性愛者である人”以外”を指す)
+=(そのほかにも様々なセクシュアリティを持つ人がいることや新たなを示す/枠を限定せず、常に新しい多様性に寛容でいようという意味も込められている)
セレブや著名人が喜びの反応
アメリカ国内のLGBTQ+労働者数は約810万人といわれている(※1)が、その半数ほどが、職場での性的マイノリティに対する差別を禁じる法律がない州で生活している。
※1 カリフォルニア大学ロサンゼルス校の調査に戻づく数字。
6月のプライド月間半ばに下されたこの司法判断は、そういった人々にとっては朗報であり、セレブや政治家、有名企業のリーダー等もSNSを通じて喜びのリアクションを見せている。
「イエス!!この判断に賛成して投票してくれた最高裁判事のみなさん、このために一生懸命戦ってくれた提唱者のみなさん、ありがとうございます!平等に到達するまでには、まだ長い道のりがあるけど、これは大きな一歩です」—シンガーのテイラー・スウィフト
「LGBTQ+の権利に関する大きな勝利です! みなさん、ハッピー・プライド。最高裁がLGBTQ+の人々は職場における偏見に訴えを起こすことができると決定を下しました」―ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の俳優シンシア・ニクソン
「ファック・イエス(超最高だよ)最高裁!」—リアリティ番組『クィアアイ』の美容担当ジョナサン・ヴァン・ネス
「自分らしくいることが解雇に値する違反行為であるべきではありません。今日、最高裁はLGBTQ+に関するその真実にお墨つきを与えました。これは自由への勝利であり、すべての人への正義です」―ヒラリー・クリントン元米国務長官
「最高裁が今日下した決断に感謝しています。LGBTQ+の人々には職場や社会全体において平等の扱いを受ける権利があります。今日の決断は連邦法が彼らの権利を構成に守ってくれるということを強調するものです」―アップル社CEOのティム・クック
「今日の決断はすべての人の平等に向けたさらなる一歩です。最高裁は、全ての人間が尊敬とともに扱われるべきだというシンプルながら奥深いアメリカ流の概念を確証づけるものとなります。でも、これで終わりではありません」—ジョー・バイデン元副大統領
「LGBTQ+の公民権運動は有色人種のトランスジェンダーたちが51年前に起こしたストーンウォールの反乱(※2)を機に始まりました。今日、私たちは、最高裁における勝利により、平等を目指す苦しい道のりにおける大きな節目を迎えました。公民権法第7編の職場での差別に対する保護の権限がLGBTQ+まで拡大したのです。ああ、なんて素晴らしい日だ」—映画『スタートレック』の俳優ジョージ・タケイ
※2 1969年6月28日、ニューヨークのゲイバー「ストーンウォール・イン」が警察による踏み込み捜査を受けた際、居合わせた同性愛者らが初めて警官に真っ向から立ち向かって暴動となった事件と、これを発端とする一連の権力による同性愛者らの迫害に立ち向かう抵抗運動のこと。
このほかにも、俳優のマンディ・ムーアやダヴ・キャメロン、ラヴァ―ン・コックス、インディア・ムーア、シンガーのマイリー・サイラスやテレビ司会者のエレン・デジェネレス、フェイスブック創設者のマーク・ザッカーバーグほか数えきれないほどの著名人たちが最高裁の判断を称賛している。(フロントロウ編集部)