2001年の大ヒット映画『キューティー・ブロンド』で主演を務めたリース・ウィザースプーンは、当時あることが理由で主演を外されそうになり、マネージャーに衝撃的なアドバイスをされていた。(フロントロウ編集部)

輝かしい出演歴を持つリース・ウィザースプーン

 リース・ウィザースプーンは、映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でアカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞、全米映画俳優組合賞主演女優賞、放送映画批評家協会賞女優賞など、名だたる賞を総なめにした経験を持つ俳優。

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 1991年に子役としてデビューし、2001年に出演した『キューティー・ブロンド』で大ブレイク。近年では、スリラー映画『ゴーン・ガール』で作品のプロデュースに携わったり、エミー賞受賞ドラマの『ビッグ・リトル・ライズ』で主演と製作総指揮を務めたりなど、女性がトップに立って活躍する機会の少ないハリウッドに変革をもたらす活動を積極的に行なっている。

 リースは子供や女性のための保護団体への支援もあつく、長年、世界中の困窮した子供を支援するセーブ・ザ・チルドレンに貢献している。また、乳がん研究や家庭内暴力からの保護など、女性の支援を行なっているチャリティ組織、エイボン基金の名誉会長を務めている。

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 そんな彼女の出世作となった『キューティー・ブロンド』は、現在でも多くのファンに愛される痛快サクセスムービー。その世界興行収入は約300億円にものぼる。主人公は、リース演じるエル・ウッズ。エルは美しいブロンドヘアーの持ち主で、いつもド派手なブランドものの洋服で身を固めたポジティブな女性。しかしエルは、卒業を目前にしたある日、彼氏のワーナーに「30歳までに上院議員を目指す」「ブロンド女は議員の妻にふさわしくない」と言われ、フられてしまう。

画像1: ©️M.G.M / BENNETT, TRACY

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 これは、西洋に根付くブロンドヘアーの女性に対する侮辱的なステレオタイプが原因。事実とは関係なく、金髪だというだけで「尻軽」や「バカ」などという印象を抱かれたり、差別的なジョークを言われたりすることもある。

 しかし実際のところエルは、大学での成績はオールA、卒論も難なくこなし、社交クラブの会長も務める才女。ワーナーに振られたことで一念発起して、彼と同じハーバード大学のロー・スクールを目指し、見事合格。けれど、ワーナーにはすでに新しい婚約者が…。さらに、彼女の派手なスタイルは周りからの批判的な注目を浴び、学校では浮いてしまうことに。しかしそれがかえってエルの心に火をつけて、彼女の目標は“彼氏を取り戻す”ことから、“一人前の弁護士になる”ことに変わっていく。

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リース・ウィザースプーンは『キューティー・ブロンド』に相応しくない!?

 リースの代表作と言ったら『キューティー・ブロンド』を思い浮かべる人も少なくないはず。しかし、キャスティングの時点で配給会社のMGMは、彼女の採用を拒んだそう。

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 当時リースは映画『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』という、高校の生徒会長選挙をめぐって巻き起こる騒動を描いたブラックコメディに出演し、注目を浴び始めていた。この作品でリースは1番になることに執着し、そのためには手段を問わないというブラックな優等生を演じていた。

 そのキャラクターは、『キューティー・ブロンド』の主人公エルとは正反対。映画の配給会社MGMは映画『ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!』で彼女が演じた“真面目で悪どいキャラクター”を「リースの本当の性格」だと思い込み、キャスティングを拒んでいたことを、リースは米Hollywood Reporterのインタビューで明かした。

画像4: ©️M.G.M / BENNETT, TRACY

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 さらにそんな不条理にたたみかけるように、MGMの代表との面談をなんとか設定したマネージャーは、MGMの社長に会いに行く時はセクシーな服を着て行くようアドバイスしたという。

 映画『キューティー・ブロンド』は、プロデューサーであるマーク・プラットが米Hollywood Reporterで説明しているように、「娘にこれを見せた時、彼女たちが“なんでもできる世界に住める”と思える」作品として制作されている。それにもかかわらず、セクシーな衣装でオーディションに行くよう言われていたことには驚き。

 今では女性を守る活動をしているリースだけれど、当時は23歳で、まだまだ俳優としての経験も少なく、赤ちゃんを産んだばかりでお金が必要だったため、この女性軽視と言えるアドバイスに従ったそう。それを振り返りリース本人は、「昔やるように言われていたことを振り返ると、不思議。だって今の自分は、『もし私の娘がそんなこと言われたら、「冗談ですよね?」と言い返すはず』と思うから」と米Hollywood Reporterで語った。

画像5: ©️M.G.M / BENNETT, TRACY

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 そんなトラブルがありながらも、その後、リースは見事オーディションに合格。その後大ブレイクを果たし、今やハリウッドのトップ俳優の一人。彼女は2012年、ほぼすべてのハリウッド映画で女性キャラクターが男性キャラクターに「What do we do now(どうする)?」と聞き、男性に判断を求めるシーンがあることに嫌気がさし、もっと多くの女性像を描くために、自らの制作会社Pacific Standardを設立した。

画像: リース・ウィザースプーンは『キューティー・ブロンド』に相応しくない!?

 そして、映画『わたしに会うまでの1600キロ』にはじまり、ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』、映画『ゴーンガール』など、ヒット作を次々にリリース。女性だからといって一つのステレオタイプに縛られず、良い面もあれば、悪い面もあり、母でもあれば妻、友人、社会人、姉・妹でもありと、女性キャラクターに多様な顔を与える活動に尽力している。

 ちなみに『キューティー・ブロンド』は、現在シリーズ3作目の制作が進行中。コメディ俳優で映画『オーシャンズ8』にも出演していたミンディ・カリングと、エミー賞授賞歴のある脚本家ダン・グールが現在脚本を執筆中。(フロントロウ編集部)

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