イングランドで、新型コロナウイルスのために一時中断していたサッカーのプレミアリーグが再開。選手たちは再開初戦となった試合で、人種差別に抗議する姿勢を示すため、「Black Lives Matter」の文字がプリントされたユニフォームを着用した。人種差別に抗議する動きがサッカー界にも広がっている。(フロントロウ編集部)

「Black Lives Matter」とプリント

 イングランドのサッカー・プレミアリーグが現地時間6月17日に再開。プレミアリーグは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今年3月からリーグが一時中断されていたが、この日、約3ヶ月ぶりにリーグ戦が行なわれ、アストン・ヴィラ対シェフィールド・ユナイテッド、マンチェスター・シティ対アーセナルの2試合が無観客で開催された。

画像1: 「Black Lives Matter」とプリント

 この日行なわれた2試合では、現在世界各国に広がっている人種差別に抗議するための「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」運動に賛同を示すため、選手全員が、通常は選手名が記載されている背中部分に「Black Lives Matter」の文字がプリントされたユニフォームを着用して出場した。

画像2: 「Black Lives Matter」とプリント
画像3: 「Black Lives Matter」とプリント

 先月、黒人男性のジョージ・フロイド氏が警官により首元を膝で押さえつけられて亡くなった事件をきっかけに、人種差別が改めて問題視されて、ブラック・ライヴズ・マター運動が世界各国に波及。イギリスも例外ではなく、ロンドンなどのストリートで抗議デモも行なわれた。

 プレミアリーグは約3ヶ月ぶりとなるリーグ戦の再開に先駆けて、先日、再開後最初の12試合において、背中に「Black Lives Matter」の文字がプリントされたユニフォームを着用することを発表。加えて、ユニフォームにはブラック・ライヴズ・マターのロゴのほか、新型コロナウイルス患者の治療にあたっている医療従事者への感謝を示すため、国民保健サービス(NHS)のワッペンも貼ることを発表していた。

アーセナルのユニフォーム

 プレミアリーグのチームに所属する選手たちは現地時間6月16日、リーグの再開に先駆けて声明を発表。「私たち選手一同は、起きている場所にかかわらず、人種的な偏見を根絶するという目的のために団結して、肌の色や信条に関係なく、受容し、尊敬しあい、すべての人々に平等の機会がもたらされるようなグローバルな社会を実現させます。このシンボルは、全ての選手やスタッフ、クラブ、審判団、そしてプレミアリーグの団結を示しています」とユニフォームの特別な仕様に言及して、人種差別の根絶に向けて団結する姿勢を示した。

試合では「テイク・ア・ニー」も

 リーグ戦再開後の初日に行なわれた2試合では、特別仕様のユニフォームの着用に加えて、選手たちは、人種差別に平和的に抗議するための象徴的なジェスチャーとなっている「Take a knee(テイク・ア・ニー)」と呼ばれるポーズもとった。

画像1: 試合では「テイク・ア・ニー」も
画像2: 試合では「テイク・ア・ニー」も

 「テイク・ア・ニー」もしくは、「テイキング・ア・ニー(Taking a knee)」とは、2016年8月、当時、NFL(米フットボールリーグ)のサンフランシスコ・フォーティナイナーズに所属していたコリン・キャパニック選手が、有色人種への差別に抗議するために、試合前の国歌斉唱中に起立することを拒否し、その代わりに、ひざまずくアクションを見せたことが発祥の行動。現在行なわれているブラック・ライヴズ・マター運動においても、多くの人々がこのアクションをして反人種差別の姿勢を示している。

サッカー界にも広がる反人種差別

 サッカー界で反人種差別に声をあげたのはプレミアリーグだけではない。プレミアリーグに先駆けて5月にリーグ戦を再開していたドイツのブンデスリーガでも、ブラック・ライヴズ・マター運動に賛同する姿勢が示され、現地時間6月6日に行なわれたボルシア・ドルトムント対ヘルタ・ベルリンの試合では、試合前に選手たちが膝をつき、人種差別に講義した。

画像: サッカー界にも広がる反人種差別

 また、現地時間6月16日にリーグ戦8連覇を決めたバイエルン・ミュンヘンも人種差別への抗議に賛同。「Black Lives Matter」の文字がプリントされた腕章やシャツを身につけて試合に出場した。

(フロントロウ編集部)

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