アメリカ発のメキシカンフードチェーン、タコベル(Taco Bell)がコーヒーチェーンのスターバックスと「同様の理由」で批判の的に。一風変わった不買運動が起こる事態に発展。(フロントロウ編集部)

タコベルに不買運動

 日本にも2015年に再上陸(※)して以来、東京・大阪・神奈川に11店舗を持つアメリカ発祥のファストフードチェーン、タコベル(Taco Bell)。

※1980年代に一度上陸したが、その後すぐに撤退した。

 タコスやブリート、ナチョス、ケサディーヤといったテクス・メクス料理(テキサス風メキシコ料理)やカル・メクス料理(カリフォルニア風メキシコ料理)風のメニューを展開する同店は、本場アメリカでは、1962年に1号店がオープンして以来、若者から大人まで幅広い層に人気を博している。

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 しかし、そんなタコベルに対して、SNS上でボイコットを呼びかける運動が勃発。「#RIPTacoBell(タコベルよ安らかに眠れ)」、「#TacoBellIsOverParty(タコベル終了のお知らせ)」といったハッシュタグとともに、今後、同チェーンを利用しないと宣言するユーザーが続出している。

 人々がタコベルに対して憤るきっかけとなったのは、オハイオ州ヤングスタウンにある店舗で8年間働いていた男性が、勤務中に着用しようとしたマスクに書かれた“文字”が原因で、解雇に追い込まれたとフェイスブックでライブ配信した動画の中で報告したこと。

 アフリカ系アメリカ人であるデンゼル・スキナーというこの男性従業員は、全米および世界各地で続く、黒人に対する人種差別の撲滅を訴えるデモ「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)(以下BLM)のスローガンが書かれたマスクを着けて職場へ。

 すると、同僚の女性から、「そんなマスクは着用してはいけない」と注意されたという。デンゼルはこれには従わず、会社の規定ではどんなマスクを着けても良いことになっていると主張。すると、同僚は彼に「今すぐ家に帰って良い」などと告げた。

 デンゼルが「BLMのマスクを着けているという理由で解雇された」、「僕はこのマスクを外すつもりはない。僕は自分が正しいと思う事のために立ち上がる」と語った30分近くにおよぶ動画には、この同僚との口論の模様の音声も収められており、彼女がどんな役職なのかは不明だが、デンゼルに対して「会社に政治を持ち込むことはできない」、「私は仕事をしているだけ。なんで分からないの。会社の決まりなのよ」と言う声も録音されている。

 この動画が拡散されると、タコベルが従業員たちにBLMに関連する衣服や小物の着用を禁じたようだと、多くのBLMサポーターから反感を買うこととなった。


スターバックスと同様の理由で炎上

 コーヒーチェーンのスターバックスも、北米の店舗で働く従業員たちに対して、BLMに関するアイテムを身に着けてはいけないという“お達し”を出していたことが判明して、不買運動が巻き起きたばかり。

画像: スターバックスと同様の理由で炎上

 タコベルに関しては、この女性従業員が独断で「BLMのマスクを着用してはいけない」とデンゼルに言った可能性もあるが、人々はスターバックスと同様の理由で、タコベルに憤っている。

 スターバックスの場合は、その後、従業員たちがBLM関連の衣服や小物を身に着けても良いと“お達し”から一転した発表をしたほか、自社オリジナルのBLM Tシャツを25万枚以上制作し、従業員に配ることも約束した。


ボイコットの仕方がユニーク

 タコベルの不買運動を呼びかけているユーザーたちは、前述のハッシュタグを使って不満を訴える以外にも、ある事を行なっている。

 それは、タコベルの人気メニューの再現レシピをシェアするという方法。タコスやチキンケサディーヤ、ドリンクの自己流レシピなどをツイッターで公開し、「タコベルに行くくらいなら、自宅で作って食べよう」とほかのユーザーたちに促している。

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 タコベルは、つい2週間ほど前、公式SNSを通じてBLMへの支持を表明したばかりだった。そんななかで起きた今回の騒動を受け、同チェーンの広報は「私たちはBlack Lives Matterを信じています。オハイオ州ヤングスタウンで起きた出来事に落胆しています。今回の件について非常に真摯に受け止めています。該当の店舗を運営するフランチャイジーと密に協議を行なっています」と米Forbesを通じてコメント。

 最終的にデンゼルが解雇されたのか否かについては言及しなかったが、米Business Insiderに出した声明では、役員たち数名がデンゼルに謝罪したことを明かし、「タコベルではチームメンバー(従業員)たちがBLMに関連するアイテムを着用することを禁止としていません。このようなことが二度と起きないよう、マスクのポリシーを明確にします」と発表している。(フロントロウ編集部)

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