長年愛される名作『タイタニック』
映画『タイタニック』は、1997年に公開され歴史的ヒットを記録したロマンス映画。ジェームズ・キャメロン監督のもと制作された本作は、当時まだ若手だったレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットを大スターに押し上げた。
1912年に実際に起こった豪華客船の沈没事故をテーマに扱った悲劇的なストーリーは、多くのファンの心を掴み、映画史上最高の世界興行収入としてギネスブックにも掲載された。この記録はなんと同監督が2009年に制作した映画『アバター』によって追い抜かれたとはいえ、驚くべき成果。
『タイタニック』は1998年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、撮影賞などを含む11部問を受賞。輝かしい記録の数々は、公開から20年以上経った現在でも称賛され、止むことはない。
そんな本作で、実は現実には「あり得ない」設定のシーンがあることをご存知?
レオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットの会話に注目
豪華客船のタイタニック号は、当時世界最大の客船として話題を呼んだ船。事故が起きた日に乗っていた人数はなんと2,224人で、その半数以上にあたる1,513人が亡くなったと言われている。
映画『タイタニック』では、レオナルドは世界を放浪しているの画家ジャックを、ケイトは自由がないと感じている上流階級のローズを演じた。2人は運命的な出会いをし、困難を抱えながらも互いに歩み寄る。現実にはあり得ない設定とは、そんな2人の会話の一説に登場していた。
あるシーンで、ジャックはローズに、米ウィスコンシンのウィスタ湖で氷上の釣りを楽しんだ思い出を話す。けれども実はこの湖、できたのはタイタニック号沈没から約5年後の1917年。チッペワ川に水力発電のダムが建設された時にできた湖だった。
ジャックとローズの会話の中には、他にも現実にはあり得ない設定がある。例えばデッキでジャックがローズに、“サンタモニカ桟橋の遊園地で吐くまでローラーコースターに乗ろう”と笑いかけるシーン。実は、サンタモニカ桟橋のローラーコースターができたのは、1916年。
さらに、タイタニック号を建設したブルース・イスメイ氏が“船の大きさ”を自慢してきた際、ローズはオーストリアの有名な精神医学者のジークムント・フロイトが発表した、“男性が大きさにこだわる理由”に関する研究の話をしたけれど、フロイトがその説を打ち出したのは1920年の話で、船の沈んだ年から約8年後のことだった。このように、どの「あり得ない設定」も、タイタニック号が沈んだ時期とは近いけれど、少しだけ先の話。
現実の世界と、映画の中の設定との間に起きた違いを探すのは面白い。いろいろな映画で「現実にはあり得ない」設定を探してみては?(フロントロウ編集部)