ロレアルもホワイトニング・美白といった言葉を止める
非武装の黒人男性が白人警官に殺されたことで、黒人の命にも価値があるという意味の「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」ムーブメントがアメリカで大規模発生したことをきっかけに、黒人コミュニティが存在する多くの国で社会のなかに存在する黒人差別に抗議する声が高まっている。
社会全体で見直しが求められているなか、政治だけでなく、多くの企業もムーブメントに際して様々な取り組みを見せている。美容業界ではとくに、「ホワイトニング」「美白」といった白さを強調する言葉の使用が問題視されており、ジョンソン・エンド・ジョンソンやユニリーバといったブランドが、そういった言葉の使用を取り止めることを発表している。
そんななか、業界トップのブランドであるロレアルも、「white/whitening(ホワイトニング)」、「fair/fairness(美白)」、「light/lightening(ライトニング)」といった言葉の使用を取りやめると発表した。これによって、業界トップのロレアルと、第2位のユニリーバが白さの強調を止めることとなった。
世界中に存在する美白至上主義
肌は白いことが美しいとされれば、ダークトーンな肌は美しくないという意味も引き起こす。しかし肌の色は生まれつきで、変えることはできない。各国に存在する美白至上主義だけれど、それによって、黒人や中東系の人々の間では、違法な薬品をも含む美白商品が広く使用されることとなっている。
英BBCの取材に答えた黒人の少年少女は、「肌が黒いけど、可愛らしい顔をしてるね」「『黒い肌だけどイケメンだね』というようなことは、非常によく聞くことです」と、自分たちの経験を語っている。また、1人の少女は自分の肌は汚く醜いと思っていたことを明かし、他の少女は、メイクをするのは肌を少しでも明るくみせるためだと話す。そしてインドを含むアジア各国でも同様のことは起こっており、ジャーナリストのショバーン・ヒアヌエは、商品名を変えても目的が同じであれば、問題は起こり続けるだろうという含みを持たせたツイートをしている。
「“ホワイトニング”クリームはアジア各国で非常に人気です。インドでは、ボリウッドのスターたちによってマーケティングがされています。(商品である)フェア&ラブリー(FAIR & LOVELY)も名前が変わるそう。これは大きな、そして前向きな変化です。しかしながら、クリームの目的は同じままです」
美白は古来から続く美意識という意見も多いけれど、人間の価値観は時代によって変わるもの。これからの21世紀が、どのような変化を遂げるのかに注目したい。(フロントロウ編集部)