スプラッシュ・マウンテンの設定が変更
昔から黒人描写に関して批判の声が絶えなかった1946年公開のディズニー映画『南部の唄』をテーマにしたスプラッシュ・マウンテンには、以前から改変を望む声が上がっていたが、黒人に対する人種差別に抗議するムーブメント「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命も価値がある)」の後押しもあって、先日、ウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下にあるディズニー・パークスがスプラッシュ・マウンテンの設定を変更することを正式に発表した。
ディズニーアニメ史上初の黒人プリンセスであるティアナをフィーチャーした、アニメ『プリンセスと魔法のキス』の世界観や、物語の舞台となったルイジアナ州南部のニューオーリンズの風景をテーマにしたライドに生まれ変わる予定で、“最後のキス”のその先の物語を描くことになるという。
スプラッシュ・マウンテンが存在するのは、カリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランドとフロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド内のマジックキングダム、そして日本の東京ディズニーランドの3ヵ所。今回、改変が発表されたのはカリフォルニアとフロリダのスプラッシュ・マウンテンだけだが、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは“現時点での変更はないが今後の対応は検討中”としている。
改変の次なる標的はジャングルクルーズ!?
そんななか、改変の次なる標的として名前が挙がっているのが、日本の東京ディズニーランドにもあるジャングルクルーズ。
ジャングルボートと呼ばれる船に乗って、ゾウやワニ、ライオンといったジャングルに生息する様々な野生動物に遭遇できる探険ツアーが売りのジャングルクルーズは、世界で最初のディズニーパークであるカリフォルニアのディズニーランドに開園当初から存在する人気アトラクションのひとつ。
俳優のドウェイン・ジョンソン主演で、同アトラクションをテーマにした映画の公開も予定されているが、オーディオアニマトロニクス(※)によって再現された先住民のキャラクターを“首狩り族(※※)”として描写していたり、白人のキャラクターが先住民のキャラクターを「野蛮人」と表現していたり、一部、差別的な内容が以前から問題視されていた。
※ディズニーランドのアトラクションでよく使用されているしゃべったり、動いたりする人形のこと。
※※首狩りを行なう部族のこと。ちなみに、首狩りとは人間を殺し、首級をあげることを中心とした古い宗教的な慣行のひとつ。インドネシア、オセアニア、インド、アフリカ、南アメリカなどで広く見られた慣習だが、今ではほとんど消滅したと言われる。
そういった背景もあり、今回、“スプラッシュ・マウンテン刷新”の一報を受けて、真っ先に変更を求める声が上がったのがジャングルクルーズだったわけだが、じつはすでにアトラクションの改装に向けて動いているという情報が…。
ドウェイン・ジョンソンが改変に協力!?
先ほど、ドウェイン主演の映画『ジャングル・クルーズ』の公開が控えていることをお伝えしたが、今から3年前の2017年、ドウェインは自身のインスタグラムに投稿した長文コメントの中でこんなことを言っていた。
「ジャングルクルーズの映画に主演兼プロデューサーとして携わることができるなんて夢のようだ。でも、ディズニーの素晴らしいイマジニアー(※)と組んで、世界中のディズニーパークにあるジャングルクルーズのアトラクションを再設計&再構築できることは、それを超えるレベルだね。自分たちの手で、世界中の家族のために忘れられない楽しい経験を生み出すことができるなんて、私にとっても、セブン・バックス・プロダクションズ(ドウェインが経営する会社)にとってもすごく貴重な機会だ。ウォルト・ディズニー風に言うと、まるで“魔法”のようだよ」
※世界のディズニー・テーマパークの設計・開発やアトラクションの企画・クオリティー管理などを担当する会社ウォルト・ディズニー・イマジニアリングの職員たち。
ドウェインの言葉を鵜呑みにすると、映画の制作と同時進行で、アトラクションの改変計画が水面下で進められていたことになるが、上の投稿から3年が経った今もディズニー・パークスからジャングルクルーズの変更に関する発表はなく、真相は謎に包まれたままとなっている。
ちなみに、映画『ジャングル・クルーズ』は今年7月に日本での公開を予定していたが、新型コロナウイルスの影響による本国アメリカでの公開延期に伴い、日本でも2021年に公開が延期された。(フロントロウ編集部)