映画『アベンジャーズ』などのMCU作品でファルコンを演じた俳優のアンソニー・マッキーが、Netflixで配信中のドラマ『スノーピアサー』で主演を務めるダヴィード・ディグスと対談。Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)運動に言及して、自身がこれまでに出演してきたマーベル作品における“多様性のなさ”に苦言を呈した。(フロントロウ編集部)

アンソニー・マッキーとダヴィード・ディグスが対談

 MCU作品でサム・ウィルソン/ファルコンを演じ、「Disney+(ディズニープラス)」で主演ドラマ『ザ・ファルコン・アンド・ザ・ウィンター・ソルジャー(The Falcon and the Winter Soldier)』の配信が控えているアンソニー・マッキーが、役者同士が対談を行なう米Varietyの名物企画『Actors on Actors(アクターズ・オン・アクターズ)』の新型コロナ禍版に出演。Netflixのドラマ『スノーピアサー』でレイトン・ウェルを演じるダヴィード・ディグスとリモート対談を行なった。

画像: 対談したアンソニー・マッキーとダヴィード・ディグス。

対談したアンソニー・マッキーとダヴィード・ディグス。

 およそ1時間にわたって行なったリモート対談のなかで、話題はBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)運動に。人種差別の撤廃を求める機運が高まっていることに言及して、「今の状況にどんな形で関われると思う?」とダヴィードがアンソニーに質問した。

 「僕にできるのは、目の前にある現場をより良くしていくということだね。どうすればあらゆる表現に影響を与えることができるのか? 自分がすべきことは何か? 現状にどんな形で参加できるのか?っていうね」とアンソニー。

 「『ザ・ファルコン・アンド・ザ・ウィンター・ソルジャー』が公開される時には、僕が主役だ。『スノーピアサー』が公開される時には、君が主役なわけでね」と、アンソニーは共に黒人である自身とダヴィードが有名作品で主役を張っていることに言及して、「僕らには力があるし、そうした問題に声をあげるだけの能力がある」と、自分たちには意見を聞いてもらえるだけの力があるはずだと説明した上で、次のように続けた。

 「僕が何にウンザリしているかって、僕はこれまでにマーベル作品に7つも出演してきたけど、そのすべてにおいて、プロデューサーも、監督も、スタントマンも、衣装デザイナーも、音響スタッフも、全員が白人っていう環境だったということなんだ」と、これまでに出演してきたマーベル作品が、白人のスタッフばかりという環境だったことに苦言を呈した。

画像: アンソニー・マッキーとダヴィード・ディグスが対談

 「黒人のプロデューサーが起用されたこともあった、名前はネイト・ムーアというんだけどね。彼は『ブラックパンサー』をプロデュースしたんだ。『ブラックパンサー』を撮った時には、黒人の監督がいて、黒人のプロデューサーがいて、黒人の衣装デザイナーがいて、黒人のアクション監督(※アクションシーンを統括する専門職)がいた」とアンソニー。しかしながら、彼にとっては、黒人のスタッフを集結させて作品を作ったこと自体が「人種差別」のように感じたのだそう。

 「僕からすれば、それって他のどんなことよりも人種差別的だと思うんだ。要するに、黒人の映画に黒人のスタッフだけを採用しているわけだけど、ほぼ白人だけで撮影する時には、黒人じゃ物足りないってことなのかよ?っていうね」と、黒人スタッフをあまり起用せずに大抵の作品を制作していたことを理由にあげ、1作品だけ黒人をフィーチャーしたとしても、差別の事実に変わることはないと批判した。

マーベルへ提言

 アンソニーは続けて、マーベルに多様性をより重視してもらうため、「僕がマーベルに求めるのは、ポジションごとに最適な人材を採用してほしいということだ。それが最高の女性2人であれ、男性2人であれね。それでいいと思う。今後10年間は、そういう数字でいい」と提言。各ポジションには、それが何人になったとせよ、ただ「最適」な人を配置してほしいと語った上で、その理由について次のように続けた。

画像: マーベルへ提言

 「そうすることで、新しい世代の人たちが、次の仕事を得る時に履歴書に功績を書けるからね。もしパーセンテージで(報酬を)分け合う必要があるのであれば、分け合えばいいんだ。主演俳優としてできるのはそういうことだし、それを進めていきたい」とアンソニー。スタッフの人数が増えて自身の報酬が減ってしまっても構わないと覚悟を示し、マーベル作品の主演俳優としてスタジオに変革を訴えていく姿勢を強調した。

 アンソニーは2019年に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』でクリス・エヴァンス演じる初代キャプテン・アメリカから、キャプテンの象徴であるシールドを受け継ぎ、今年中に『ザ・ファルコン・アンド・ザ・ウィンター・ソルジャー』の配信が控えている。MCU作品の今後に欠かせない俳優であるアンソニーからの熱のこもった提言は、マーベルの首脳陣の耳に届き、これからの作品に何らかの変化がもたらされることになるのだろうか?注目していきたい。(フロントロウ編集部)

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