ファッションブランドのカルバン クライン(Calvin Klein)が、下着部門の広告塔にジャリ・ジョーンズという黒人トランスジェンダーを起用した。(フロントロウ編集部)

カルバン クラインがプライド・キャンペーンを実施

 これまでベラ・ハディッドやケンダル・ジェンナーといった人気モデルから、ジャスティン・ビーバーやビリー・アイリッシュといったアーティストまで、多くのセレブを広告塔として起用してきたカルバン クライン(Calvin Klein)が、プライド・キャンペーンとして、9人のLGBTQ+モデルを起用。

 そのなかには、セレーナ・ゴメスがプロデューサーを務めるドラマ『13』の理由でライアンを演じたトミー・ドーフマやブラジルのドラァグクイーンであるパブロ・ヴィッター、ユーチューバーのチェラ・マンなどがいたけれど、最も注目されたのは、黒人トランスジェンダーのジャリ・ジョーンズ。

 じつは彼女は、モデル、女優としての顔を持っているほか、黒人のトランスジェンダー女性として初めてカンヌ国際映画祭に作品を出品した人としても知られている。そんなジャリの姿は、ニューヨークの街中に掲げられたカルバン クラインの巨大広告にも使用されており、街行く人たちの注目の的に。

 ジャリはこの巨大広告が掲げられると、友人らと一緒に現地まで見に行き、その快挙をお祝い。

 黒人のトランスジェンダーということで、これまで多くの苦労を経験したジャリ。友人らと巨大広告の前でお祝いしている写真をインスタグラムにアップしたジャリは、キャプションに今までの思い、そして自らが先陣を切って次の世代のために動き出していたことをこう語った。

「世界が『絶対に無理』と言ったことを吹っ飛ばしてくれる瞬間があると聞きました。何度も何度も社会に打ち負かされたことを癒やしてくれる時が来ると聞きました。自分自身が見えなくても、自分を肯定してくれる瞬間があると聞きました。私はずっとこのような瞬間を探してきた結果、探すことに疲れてしまいました。だから、自分自身でその瞬間を作ってやろうと決めたのです。私のためでなく、次の世代のドリーマー、社会から見放された除け者、クィア、トランスジェンダー、身体障がい者、太った人、美しい黒人、輝く瞬間を待っている人たちのために。これまでずっと、悪魔のように扱われ、嫌がらせも受け、醜くて価値が無いと思わされ、ひどい時には殺されさえもしたこの体で、本当の自分自身でいられてとても光栄で嬉しいです。私は彼らがもっと明確に希望を見られるように自分自身や自分の体型のイメージを私のコミュニティや自分が選んだ家族に示します。さらにお祝いし、思いやりを持ち、愛され、感謝される価値があることに気づいてください。ライアン・マッギンレー・スタジオとカルバン クラインのファミリーにコラボレーションしてくれてありがとう。この瞬間が希望と愛のシンボルになることを願っています。ブラック・トランス・ライヴズ・マター!!」

 黒人のトランスジェンダーが殺害された事件は、2020年に入り10件以上にのぼり、アメリカ・ニューヨークなどでは、黒人のトランスジェンダーへの暴力に抗議したブラック・トランス・ライヴズ・マターのデモが行なわれた。

 ジャリはこうして自分だけではなく、次の世代のために第一線で活躍しながら黒人トランスジェンダーを代表するように次々とチャレンジをしている。こうして、ニューヨークに大きな看板が掲げられたということは、今までのジャリの努力が実った瞬間だった。(フロントロウ編集部)

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