『ウォーキング・デッド』や『ブラックパンサー』などで知られるダナイ・グリラが、9歳で性的暴行を目撃した経験を明かした。その際に、彼女が自分自身に激怒した理由とは?(フロントロウ編集部)

アクティビストであるダナイ・グリラ

 ドラマ『ウォーキング・デッド』のミショーンや、映画『ブラックパンサー』のオコエなど、かっこよく強い女性キャラクターを演じてきたダナイ・グリラは、黒人女性として、男尊女卑にも、人種差別にも力強く声を上げてきた。

 そんな彼女は、幼少期をアメリカで過ごし、大学までは両親の母国であるジンバブエで過ごした。その後ふたたびアメリカへ戻り、マカレスター大学で心理学の学位を、ニューヨーク大学で演技のMFAを得ている。

画像: アクティビストであるダナイ・グリラ

性暴力被害者を目の当たりにした9歳のダナイ

 そんなダナイは9歳という幼い頃に、女性が性的暴行を受けているところを目撃したことがあると米Women’s Healthで明かす。しかもその場所はある大学の構内だったという。そしてさらに、9歳の少女が目撃したのは性的暴行を“受けた”女性に対する非難だった。

「『まぁ、彼女はミニスカートを履いてたしね』というようなことを言う人々がいました。私は激怒しましたよ」

 今では、セカンドレイプやビクティムシェイミング(被害者非難)という言葉にあたる、性暴力被害者を非難する行為は、被害を受けた女性に非があったと責めて責任転嫁をするもの。しかしもちろん、女性がどんな格好をしていたとしても、男性が女性に暴力を振るっていいという理由にはならない。

画像: 性暴力被害者を目の当たりにした9歳のダナイ

9歳のダナイが自分自身に激怒した理由

 自身と同じ女性が、犯罪の被害者でありながら非難されるという状況を9歳ですでに見せられるのは、自分が女性としてこの先どのような社会で生きていくのかを暗示するものとなりえる。そんな状況に置かれた9歳のダナイは、自分自身にも激怒したという。

「そして私は、彼女に対する評価や彼女がおかれた状況、そして暴行そのものや、なぜか彼女が非難されるということが、どれだけアンフェアであるかを訴える言葉を自分が持っていなかったことにも激怒しました。彼女のために立ち上がり、どれだけ性暴力が間違ったことだったかと叫ぶための言葉を、私は持っていなかった」

「言葉」を持つことの大切さ

 声を上げるには、その思いを言葉に出来る必要がある。しかしまだ幼かったダナイは、被害者女性のために立ち上がることが出来ず、その事実に苛立ちを覚えたという。そんな経験があるからこそ、ダナイは教育の大切さをたびたび口にしている。

画像: 「言葉」を持つことの大切さ

「私は女子校へ通い、素晴らしい教育を受けた。私の意見が大切にされる家庭で育った。だから私は、家の外へ出た途端に私は声を上げるべきじゃないとされることを理不尽だと思った。そして、すべての女の子や女性が、このようなことを経験したり目撃したりしたことがあると思う」

 米Timeのインタビューでそう話したダナイは女性を支援するため、世界的に女性のほうが教育を受ける機会を奪われていることなどに声を上げた「Poverty is Sexist(貧困は性差別だ)」の活動に賛同している。その活動のなかで、米Refinery29に寄稿したダナイは、声を上げるための手段を持っていることの大切さについて、こう綴った。

「別の人生では、私は読むことができなかったかもしれない。そしてそうであれば、書くこともできない。私は演技をすることを許されなかったかもしれない。そしてそうであれば、アクティビストにもなれなかった。今の私の人生が、まったく違うものになっていたかもしれない」

(フロントロウ編集部)

This article is a sponsored article by
''.