ゼンデイヤ、ロックダウン中に「密かにやっていた事」
ミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』やマーベル・スタジオ制作の『スパイダーマン』シリーズといったヒット作への出演や、日本でもスターチャンネルで独占放送されている話題のドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』への主演などが高く評価され、ハリウッド映画界を牽引する次世代俳優の1人として知られるゼンデイヤが、新型コロナウイルス禍のロックダウン中に、人知れず、“あるプロジェクト”を完了していたことが明らかになった。
世間が新型コロナウイルスという見えない脅威に怯え、一体これからどうなってしまうのだろうと憂いていた最中に、ゼンデイヤがごく少数のスタッフと取り組んでいた極秘プロジェクトとは、長編映画をまるまる1本撮り終えるということ。
米Deadlineは、ゼンデイヤが自身が主導となり、『ユーフォリア/EUPHORIA』のクリエイター、サム・レヴィンソンやラッパー兼俳優のキッド・カディに声をかけて、『Malcolm & Marie(マルコム・アンド・マリー/原題)』と題された映画の撮影を完了したと報じている。
この報道に呼応するかのように、ゼンデイヤは自身のインスタグラムで『Malcom & Marie』からのワンシーンをお披露目。
そこには、共演者で映画『TENETテネット』の俳優ジョン・デヴィッド・ワシントンと“密”な様子の彼女の姿が写っていた。
どうやって撮影した? リモート撮影ではない
コロナ禍に撮影された作品といえば、日本でもリモートで製作されたドラマや共演者たちが2メートル以上のソーシャル・ディスタンスを確保したうえで撮影されたドラマなどが思い当たるけれど、ゼンデイヤが公開した『Malcom & Marie』の場面写真を見るに、彼女とジョンの距離は、キス寸前なほど近い。
この作品は、全米脚本家組合、全米監督組合、映画俳優組合が設定している新型コロナ禍のセーフティー規則をすべてクリアーして撮影されたというが、一体どうやって作られたのだろうか?
ロックダウンの影響で『ユーフォリア/EUPHORIA』のシーズン2の撮影休止が決定したことを受け、すぐに脚本家のサムに電話をかけたというゼンデイヤ。そんな彼女の熱意に応え、サムはわずか6日間という短い期間で『Malcom & Marie』の脚本を書き上げたという。
彼らが活動の拠点としているカリフォルニア州全域に外出禁止令が出たのは3月半ば。出演者やスタッフたちは、それぞれ2週間の自己隔離を行なったうえで、サンフランシスコから約190km離れたカーメルという海辺の街にある「キャタピラー・ハウス」と呼ばれるガラス張りの邸宅に集結。
数々の建築デザイン賞を受賞している建築事務所フェルドマン・アーキテクツ(Feldman architecture)による「キャタピラー・ハウス」は、サムが書いた物語の雰囲気に適しているという理由以外にも、ガラス張りで外側からも内部の様子がとらえやすくなっているほか、立地的にもプライバシーが守られ、極秘で撮影を進めることができるという条件を考慮して選ばれた。
出演者やスタッフは、換気システムが整ったこの建物で共同生活を送り、撮影期間中は別の場所へ外出することなく、集団隔離を行なった状態で撮影を敢行。
マスク着用の徹底やソーシャル・ディスタンスの確保はもちろん、食事に関しても、自主隔離を行なったうえで感染の疑いがないことが確認されたお抱えシェフを雇ったり、撮影現場では、12人以上のスタッフが一堂に会すことがないように工夫するなど、キャストやスタッフの安全と健康を守るための厳しいルールを徹底したうえで、3月16日からの約2週間で『Malcom & Marie』を撮り終えた。
制作資金はゼンデイヤや共演者のジョン、サムと彼の妻でプロダクション・パートナーのアシュリー、プロデューサーのケヴィン・トゥレンが出資し合ったという。
『Malcom & Marie』はどんな作品?
『Malcom & Marie』の物語の全貌は明らかになっていないが、米Deadlineは、アカデミー賞やゴールデングローブ賞をはじめとする多くの映画アワードで作品賞にノミネートされたスカーレット・ヨハンソン&アダム・ドライバー主演の映画『マリッジ・ストーリー』を彷彿とさせる作風になっていると伝えている。
『マリッジ・ストーリー』は、離婚へと向かう夫婦の苦悩や葛藤が赤裸々に描かれた作品だが、『Malcom & Marie』は、男女の葛藤にくわえ、現在世界中の多くの人々が新型コロナ禍で経験しているさまざまな“リアル”を反映した物語だという。
サムとゼンデイヤがタッグを組んだドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』は、セックスやドラッグ、LGBTQ+を取り巻く問題などアメリカのティーンたちがリアルに直面している日常をセンセーショナルかつ生々しく描き、ティーンが主体の作品ながら、大人をも夢中にさせる内容が絶賛された。
エグゼクティブプロデューサーとして作品クレジットに名を連ねるキッド・カディは、『Malcom & Marie』に関する情報がついに世に出たことを受けて、「すごくワクワクしてる」とツイッターを通じてコメント。先に紹介したゼンデイヤのインスタグラムへの投稿と同様、作品公開に向け、期待に胸を膨らませる人々からのコメントが殺到している。
ちなみに、ゼンデイヤは、アカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミーが発表した、新会員候補の1人に選ばれており、『Malcom & Marie』の共演者であるジョンも、同じく候補に選ばれている。ハリウッド映画界の未来を背負って立つ存在の2人が織りなす物語が一体どんな作品となっているのか、続報に注目。(フロントロウ編集部)