ホアキン・フェニックスの緻密な演技
2019年に公開され、世界中で一大旋風を巻き起こした映画『ジョーカー』はこれまでのアメコミ原作映画とは雰囲気が違い、主人公アーサー・フレックがジョーカーになっていくまでの起源を描くなかで、現代社会の闇を浮かび上がらせた。
本作のために約24kgの減量をした主演のホアキン・フェニックスと、トッド・フィリップス監督は、撮影が早く終わった日には、他の仲の良いスタッフ2人とともに4人だけで、一緒に台本にないシーンを撮ってみるという実験をしていたほど、自由で自発的な発想を大事にしていた。
そんな過程を経て完成した『ジョーカー』では、ある細かな設定が光っているとファンの間で話題になっている。それは、アーサー/ジョーカーの“利き手”。
シーンによって使っている手が違う
劇中でよく見てみると、ピエロのメイクをする時や、コメディショーでメモを取っている時には、右手を使っているアーサー。しかし、ノートに自分の気持ちを書き始めた時には左手を使っている。さらに、彼が拳銃を撃つのはいつでも…、左手。
そのことから、アーサーは右利きで、ジョーカーは左利きであるという意見や、アーサーが普通になりがたっている時は右利きで、悪になりがたっている時には左利きなのではといった考察が話のトピックになっている。
ホアキンは右利きであることから、予告編が公開された時点で左手が使われていることに着目していた目利きのファンもいたのだけれど、蓋を開けてみれば、右手も左手も使われていた。
アーサー/ジョーカーの利き手については制作陣がコメントしたことはなく、元々監督か決めた設定だった可能性もあるけれど、ホアキンはセリフを覚えず役になりきるタイプの俳優であり、冷蔵庫に入るという不可解でアーサーらしいシーンも彼のアドリブだったのが分かっていることから、ホアキンが演技の中で利き手を使い分けていた可能性もある。
様々な角度からの考察が存在する『ジョーカー』
『ジョーカー』をめぐっては様々な角度からの考察があるけれど、過去のバットマン作品へのオマージュ探しはやはり白熱しがち。フィリップス監督は、映画に隠しネタを仕込むのは好きではないと公言しているのだけれど、幼いブルース・ウェインがアーサーと対面するシーンに関しては、ブルースが遊具からポールをつたって降りたのは、テレビ版『バットマン』へのオマージュだったことを認めている。
そんなことから、ホアキン版ジョーカーと対比した派閥が出来るほど絶対的な人気を誇る『ダークナイト』のヒース・レジャー版ジョーカーへのオマージュを探すファンも多く、パトカーのシーンや電車のシーンが、そうなのではないかという論争も繰り広げられている。(フロントロウ編集部)