ナズがドージャ・キャットをディス
1994年にリリースした伝説的なデビューアルバム『イルマティック』などで知られるラッパーのナズが、8月14日に新曲「Ultra Black」をリリースした。同曲は8月21日にリリースされるナズの通算12作目となるニューアルバム『King's Disease』からの新曲となっている。
ナズは自身の黒人としての誇りを「究極のブラック(Ultra Black)」という言葉で表現した同曲で、「セイ・ソー」などのヒット曲で知られる、現在人気急上昇中のラッパーであるドージャ・キャットに言及。
「俺たちは究極のブラックになる、悪びれないブラックだ/その対極はドージャ・キャットと、マイケル・ブラックソンのようなブラックだ」とラップして、“究極の黒人”ではないとしてドージャをディス。一方で、ナズがここで批判しているマイケル・ブラックソンは、マイケル・ジャクソンをもじった名前となっている。
「Ultra Black」の音源はこちら。
ドージャ・キャットの人種差別疑惑
ナズが今回ドージャを名指ししたのは、ドージャに今年5月、過去の人種差別疑惑が浮上したことがきっかけと見られている。
ドージャは当時、2015年にリリースした「Dindu Nuffin(ディンドゥ・ナフィン)」という楽曲が問題視され、「#DojaCatIsOverParty(“ドージャ・キャットは終わった”の意味)」というハッシュタグがトレンド入りする事態に。“Dindu Nuffin”は“黒人の犯罪者”を意味するスラングで、黒人をからかうような文脈で使われる差別的な単語として知られている。
さらに、ドージャはかつてビデオチャットで差別的なジョークを飛ばしている映像もオンラインに浮上。ドージャが参加したビデオチャットは、インセル(※)と呼ばれる女性敵視や人種差別の意識が強い男性たちによって使用されていたとの疑惑もあり、彼女が差別主義者なのではないかとする一部のユーザーからの疑惑に拍車がかかることとなっていた。
※望んでいながらも異性のパートナーを持つことができない不本意な禁欲主義者「involuntary celibate」を意味する。
その後、ドージャは自身に向けられた一連の疑惑を謝罪。問題視されたチャットルームには参加していないとしたほか、「再び話題になることになった昔の曲については、私自身の経験以外の何事とも関係ありません。楽曲は、私を傷つけるためにあの単語(ディンドゥ・ナフィン)を使ってきた人たちに対して書いたもの」だとし、「単語の意味をひっくり返して使おうとしていたのですが、あの単語を音楽に使ったことは誤った選択でした」と謝罪した。
ナズのディスに反論
今回、ナズから当時の疑惑を半ば掘り返された形になったドージャは、ナズのディスに反論。TikTokに投稿した動画のなかで、「Ultra Black」に言及して、「この曲、超ムカつくし、イライラする。みんな、ザ・ウィグルスの『フルーツ・サラダ』は聴いた?」とコメント。ナズを子供向けの楽曲を歌うグループであるザ・ウィグルスになぞらえ、まるで大人気ないとでも言うようにナズに反論した。
BYE I LOVE HER pic.twitter.com/IrITJ2bloq
— junior | dickiana (@onikasrules) August 15, 2020
ナズは現時点でドージャからの反論にコメントしていないものの、いずれにせよ、ヒップホップ界の重鎮である彼からディスられたことは、ドージャが一流のラッパーたちの仲間入りを果たした証と言えそう。(フロントロウ編集部)