カイリー・ジェンナーが不適切発言?
リアリティ番組『カーダシアン家のお騒がせセレブライフ』に出演するカーダシアン家の末っ子で、コスメブランドKylie Cosmetics(カイリー・コスメティクス)を手掛ける実業家のカイリー・ジェンナーが、差別発言をしたとして問題になっていた。ことの発端は、カイリーがインスタグラムに投稿した1枚の写真。
カイリーがポーズをキメるありがちな1枚だけれど、そのキャプションに、こんな文字があったと言われていた。「ブラウンスキンガール」。
カイリーが真っ向否定
茶色い肌の女の子という意味だけれど、肌の色によって黒人や白人というように、“茶色い肌”も特定の人種を指す時に用いられることが多く、白人であるカイリーが自身のことをブラウンスキンと言うのは不適切。また、インターネット上では、カイリーが「ブラウンスキンガール」というキャプションをすぐに「ブラウンアイガール(ブラウンの目の女の子)」と変更したとされてしまった。
まるで、カイリーが不適切発言をして、その問題に気がついた後すぐにキャプションをしれっと変えたとされ、インターネット上では多くの人がカイリーを批判する事態に。しかしカイリーは、「ブラウンスキンガール」と書いたことはなく、それはフォトショップで加工されたものであると反論。キャプションの変更は実際に行なったそうだけれど、違う言葉だったとしてオリジナルの投稿のスクショを公開した。
それによると、最初のキャプションは白いハートの絵文字と、キラキラの絵文字の2つだけだったそう。しかし数分後に、その絵文字の前に「ブラウンアイガール」という文字をつけ足したという。カイリーが言っていないことを捏造するだけでも問題だけれど、その内容が差別関連ともなれば、彼女が怒るのも無理はなかった。
そもそも何が差別にあたる?
白人が黒人のフリをすることは、近年ブラック・フィッシング(Black Fishing)として問題になっている。この単語が作られたのは、2018年のこと。スウェーデンの人気インスタグラマーであるエマ・ホールバーグが、白人でありながら黒人のフリをし、人気を得てコスメブランドやファッションブランドと契約するに至ったとして大きな問題になった。
White girls if you want to pass as Black, how about using your platforms to address the injustices and discrimation actual Black people face. Don't just appropriate, Appreciate the people you are imitating #emmahallberg pic.twitter.com/gpmkvB0BZj
— Niccole Nero Gaines (@2CsNiccole) November 19, 2018
エマ・ホールバーグの肌の色の違いを指摘したツイート。
黒人のフリをするというのは、憧れや好意からであって、差別ではないのでは?と考える人もいるけれど、社会で多くの黒人は黒人であるだけで差別されている。例えば、黒人のナチュラルヘアであるアフロや、それをまとめた編み込みやドレッドは、職場には適さないとしてストレートヘアにしなくてはいけないこともあると、アメリカで黒人差別に対して活動するダラ・サーモンドは英BBCに明かす。
黒人であるだけで差別されるという状況があるのに、差別をする側である白人が、差別は放置したまま黒人文化だけ利用するということには、多くの人が不快感をあらわに。また、インスタグラマーなどがブラック・フィッシングをした場合、本来ならば黒人が得られたであろう仕事の機会を、黒人のフリをした白人が奪うことになるため、黒人はとくに貧困層に陥れられやすいという事実からも問題であると指摘されている。
一方で、どこからが文化の盗用で、どこからが好意かが分かりづらいという意見もあり、ダラは英BBCにこう語る。
「称賛することと、文化の盗用の間には、わずかな違いしかない。それは黒人女性や有色人種への最大級の賛辞に見えるかもしれない。しかし他方で、歴史を知らずに文化だけ盗用して真似ているように見える。しかしインスタグラマーやセレブリティの中には、意図してやっている人々がいるのを知っています」
カイリーやカイリーの姉であるケンダル・ジェンナー、そしてキム・カーダシアンは、以前から黒人文化をファッションやヘアスタイルに取り入れており、一部からブラック・フィッシングだと批判されていた。そんな経緯もあり、今回は捏造であったけれど、カイリーの「ブラウンスキンガール」がより一層問題となっていた。(フロントロウ編集部)