テルファーのバッグが人気高騰
2005年にデザイナーのテルファー・クレメンスがアメリカ・ニューヨークにて立ち上げたファッションブランドのテルファー(Telfar)は、ジェンダーレスブランドとして人気を博し、2017年には若手デザイナー支援のために創設されたCFDA/ヴォーグファッション基金アワードを受賞。
なかでも2014年から発売されたテルファーのシンボルマークがデザインされたバッグは人気が高く、ファッショニスタの必須アイテムとなっており、ニューヨークのブルックリンでアツいブッシュウィック地区の若者がステータスとして持ち歩いていることから、メイクアップアーティストのシャーがブッシュウィック・バーキンと呼び、それ以降テルファーのバッグはブッシュウィック・バーキンという異名を持つまでに。
価格帯も約1万6,000円(150ドル)~約2万8,000円(257ドル)と、ほかのデザイナーズブランドよりお手頃価格で、セレーナ・ゴメスをはじめ、ベラ・ハディッドやデュア・リパなど、トレンドセッターなセレブたちも愛用していることも人気の要因。
再入荷が発表されると、サイトのサーバーがダウンしてしまうほどバッグの売れ行きが凄まじく、転売ヤーと呼ばれる高額転売者たちにわたり、転売サイトでは元の価格から2~3倍で取引されるように。またHypernova Groupという転売サイトを運営する会社は、自社サイトで再販するために在庫の60%を購入したという噂もある。
そのため、テルファーは転売ヤーからバッグを守るために、バッグのオンラインショップを閉鎖。そして、バッグが本当に欲しい人の手にわたるように「バッグ・セキュリティ・プログラム」というプロジェクトを発足させた。この「バッグ・セキュリティ・プログラム」は、いわゆるバッグの受注生産。しかも注文できるのは、まずはアメリカ東部時間8月19日の1日限定となっており、この日だけしかテルファーのバッグをオフィシャルから購入することはできない。
8月19日に受注が行なわれ、届けられるのは2020年12月15日~2021年1月15日のあいだ。この受注生産により、バッグを本当に欲しい個人に届けることができるという。
テルファーは、今後以前のようにバッグをオンラインサイトで販売するのではなく、すべて受注生産になることを示唆している。転売ヤーがバッグを大量に購入し、高額でさばくのは、人気ブランドならでは。しかしテルファーは、転売目的の人ではなく、ファンを第一に考えた行動をとった。(フロントロウ編集部)