コナン・グレイの楽曲「ヘザー(Heather)」が海外のTikTokでブームになり、お互いを「ヘザー」と呼び合うのがトレンドに。若者たちの間で流行語になりつつある単語「Heather」の意味を解説。(フロントロウ編集部)

コナン・グレイが歌う「ヘザー」

 ラッパーのエミネムが2000年にリリースした楽曲「スタン」で使用した「stan」という単語が、「特定の有名人の熱心なファン」という意味をあらわす言葉としてオックスフォード英語辞典に登録されたことをご存知の方も多いと思うけれど、時にアーティストが歌う歌詞が、特定の意味を持つ単語として日常生活で頻繁に使われるようになることがある。

 現在、そんな単語の1つになりつつあるのが、コナン・グレイが歌う「ヘザー」に登場する、曲名と同じ「Heather」という単語。楽曲「ヘザー」は今年3月にリリースしたデビューアルバム『キッド・クロウ』に収録されている楽曲で、本日8月21日にミュージックビデオがリリースされたばかり。

 コナンは「ヘザー」で報われない片想いを歌っており、自分の好きな誰かがヘザー(Heather)という人物と恋に落ちている状況を描いている。歌の中でコナンは、もどかしさと嫉妬心、そしてヘザーとの愛憎関係を描き、いかに自分がヘザーの立場になりたいかについて、次のように歌っている。

「どうしてキスをしてくれないの?
僕はそんなに素敵じゃないけど
君は彼女(※)にセーターをあげた、ポリエステルのやつだけど
君は彼女のほうが好きなんだ
僕がヘザーだったらいいのに」

(※)ここで歌われている彼女が、ヘザー。

「ヘザー」がTikTokで流行語に

 現在21歳のコナンは、デビューアルバムがリリースされるより前から、北米ツアーと欧州ツアーの全公演がソールドアウトするなど、若い世代を中心に大きな人気を集めている。もちろん、そんなコナンは最新シングル「ヘザー」でもヒットを飛ばしており、その勢いはTikTok上で「Heather」という単語がトレンドになるほど。

 元々は、コナンが歌っているように“誰かに憧れられるような素敵な人”という意味で「ヘザー」という単語が使われ始め、「私もヘザーだったらいいのに」という使われ方や、以下の投稿のように、「私自身がヘザーだったって気づいた」という使われ方も。 

 コナンは以前、「ヘザー」について、「誰もがこの歌に出てくるヘザーみたいな存在がいると思う。僕がすごくすごく好きな人が、ヘザーに恋しているんだ。ヘザーがいるから、僕が好きな人は僕を好きではないっていう。心の奥底からヘザーが大嫌いだった。ヘザーを嫌うべき理由なんてないのにね。ヘザーはすごく完璧に素敵な子。彼女はや優しくて、ピュアで、ヒナギクみたいに良い香りがするんだ。彼女は完璧、でも僕は彼女が嫌い。認めるのは恥ずかしいけれど、本当の感情なんだ」と、誰しもに楽曲に登場する「ヘザー」のような存在がいるはずだと語っていた。

画像: 「ヘザー」がTikTokで流行語に

 その後、当初は“ヘザーになりたい”のように大抵は自分自身を指す単語として使用されていた「ヘザー」の意味が、「あなたはヘザーだよ」というように、相手を褒める意味としても使われるように。

 一方で、あらゆるトレンドがそうであるように、「ヘザー」のブームはネガティブな側面も生み出しているようで、「私の『親友』は友達グループの中で私以外の全員をヘザーと呼んでいる。(これを嫌悪する)私って小さい?」と、“ヘザー=素敵な存在”という意味が広まったことで、逆にヘザーと呼ばれないことを不安視してしまう声もある。

 TikTokでは現在、中にはコナンの「ヘザー」に直接関連していない投稿も含まれているものの、「#heather」というハッシュタグのついた投稿がおよそ3億2,000万回以上再生されているという、一大ブームに。「ヘザー」という単語があまりに広がったが故に、前述したネガティブな側面も生み出してしまっているとはいえ、これはコナン・グレイというアーティストがTikTok世代のユーザーたちから高い人気を集めている証拠だと言える。(フロントロウ編集部)

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