アメリカで、非武装の黒人男性が白人警官に撃たれるという事件が、ふたたび発生した。(フロントロウ編集部)

追記(日本時間2020年8月26日)
警官に撃たれた黒人男性ジェイコブ・ブレークは一命を取り留めたけれど、下半身に麻痺が出ている。彼の弁護士は、「ジェイコブの家族は奇跡を信じていますが、彼は現在、麻痺が出ていると診断されています。銃弾は彼の脊髄に重度のダメージを負わせ、いくつかの椎骨を粉々にしたため、ジェイコブ・ブレークがもう一度歩けるようになるには奇跡が必要です」とコメント。ジェイコブの父親は事件後すぐに、自身が住むノースカロライナ州から息子が住むウィスコンシン州へ移動し、米Peopleの取材に対して、ジェイコブの身体には8個の穴が開いていたと話している。

ふたたび黒人男性が警官に撃たれる

 (日本時間2020年8月25日)これまでに、アメリカでは多くの黒人が警官に殺されてきており、今年2020年5月には、非武装のジョージ・フロイド氏が首を圧迫されて死亡。このことがきっかけで、黒人の人権を叫ぶ「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)」運動が、黒人コミュニティが存在する各国で広がった。

画像: ふたたび黒人男性が警官に撃たれる

 しかしそんななか、またしても、非武装の黒人男性が白人警官に複数回撃たれる事件が起こった。

 SNSで拡散された動画では、ウィスコンシン州ケノーシャに住む29歳の黒人男性ジェイコブ・ブレークが、白人警官に拳銃を向けられるなか、車の運転席のドアを開ける様子が映されている。そしてその時、ジェイコブの後ろから警官が複数回発砲。映像では、7度の銃声が確認できる。

 ※ショッキングな映像が含まれます。視聴にはご注意ください。

 ジェイコブの代理人であるベンジャミン・クランプ弁護士によると、事件発生当時、車の中にはジェイコブの6人の子供のうち、8歳、5歳、3歳の3人の子供が乗っていた。ジェイコブの友人が、米WISN 12 NEWSに話したところによると、事件当日は、車に乗っていた3人の子供のうち1人の誕生日だったという。彼はその後緊急手術を受け、幸いなことに一命は取り留めた。 

事件の発端は?

 事件の詳細はいまだ明らかになっていないが、事の発端は、8月23日の午後5時11分に、警察に家庭内の出来事に関する通報があったこと。これによって複数の警官達が、事件が起こった近隣地域を訪れたという。地元メディアのKenosha Newsによると、6名以上の目撃者が、当時ジェイコブは2人の女性の口喧嘩を止めに入っていたと証言している。

 また、前述の動画を撮影したラシャーン・ホワイトが、動画の撮影を始める前の様子を米CNNに明かした。彼によると、当時ジェイコブは子供達に車に乗るよう話していたそう。そしてラシャーンが一旦席を外して戻ってくると、状況は一変しており、1人の警官がジェイコブをヘッドロックして彼のあばら骨あたりを殴っていたという。また、もう1人の警官もジェイコブをヘッドロックして彼の腕を押さえていたそう。その後、警官がスタンガンを使用するとジェイコブは車に寄りかかり、警官達は車の後ろに彼を連れて行こうとしたが、ジェイコブは抵抗して車の前側へ歩いて行ったという。そこからの展開が映像に記録された。

 ラシャーンは、黒人にとっての警察という存在は自分を守ってくれるものではなく、命を脅かすものだと話した。

「警察は、市民に仕え守るためにあると知って欲しいようですが、彼らは私達に、とくに黒人に、警察を自分達に仕え守らせるわけにはいかないとさせる理由を定期的に与えてくる。私達は警察にうろついてほしくない。なぜなら、自分達の命が脅かされるから。彼らは口論を解決するために来て、この黒人男性は撃たれた。そんな風になるべきじゃなかったのに」

 この事件を受けて、ケノーシャではBlack Lives Matterのデモが発生した。

画像: 事件の発端は?

多くの著名人が反応

 ブレイクの事件を受けて、多くの著名人が反応している。

カーディ・B(シンガー)

「あぁ、これは気が塞く!信じられない!今度の言い訳は何?もうやめてよ!何かが起こらないといけない!これはおかしいよ。もうやめてよ。神様お願い!」

レブロン・ジェームズ(NBA選手)

「こんな状況であっても、警察に対する俺達の発言が信じられないという人がいる!!誰かこれは何なのか教えてくれよ???!!!また他の黒人男性がターゲットにされたじゃないか。このクソッタレなことは間違ってるし、悲しすぎる!!彼と彼の家族、そして俺達の仲間に申し訳ない!!俺達は正義が欲しいんだ」

ドノバン・ミッチェル(NBA選手)

「試合もプレイオフもどうでもいい!!!これは最悪だし、俺達が正義を要求する現実的な問題だ!これはクレイジーで言葉もない。でも、これこそが俺達が安全を感じられない理由!!!!」

マイケル・トーマス(NFL選手)

「非武装の黒人を殺すのを止めろ」

カミラ・カベロ(シンガー)

「言葉がない…。目を閉じて、この男性と彼の家族のために祈っています。彼の身体の回復を祈るとともに、トラウマや悲しみ、喪失感や怒り、痛み、彼の家族の怒りからの最終的な回復も祈っています。そして、世界から多くの痛みを与えられている、この国の黒人男性、黒人女性全員の回復も祈っています。私達は、新しい世界を要求する。変化が必要。この警官達は逮捕される必要がある。そして政府からの十分な共感やケア、これに関して行動する十分な人間性を見る必要がある」

デミ・ロヴァート(シンガー)

「なぜこんなことがいまだに起こってるの?私達が必要としている変化に、自分達でなろう。下の番号(※)に電話して、正義を要求して。# BlackLivesMatter」
 ※ケノーシャの行政や、ケノーシャ警察の電話番号のリスト。

カマラ・ハリス上院議員

「ジェイコブ・ブレークは今、生死の境をさまよっているべきではない。
ジョー・バイデンが言ったように、すぐに調査が行なわれ、事件に関与した警官は説明責任を負わなくてはいけません。
ジェイコブ、私達国民はあなたとあなたの家族のために祈っています」

(フロントロウ編集部)

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