警官が黒人男性に7回発砲
アメリカで何十年と続く警官による黒人の殺害に終止符を打とうというBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)運動は、2020年5月に黒人男性のジョージ・フロイドが白人警官に殺されたことをうけて、黒人コミュニティがある世界各地に広がった。そんななか、現地時間8月23日に、黒人男性ジェイコブ・ブレークが白人警官に7発撃たれたことを受け、全米でふたたび抗議の声が大きくなっている。
ジェイコブは、3人の幼い子供達の前で撃たれた。その日は、子供のうちの1人の誕生日だった。彼は一命をとりとめたが、現在下半身に麻痺が出ており、ふたたび歩けるようになるかどうかは分からない。
ジェイコブと子供達。
アメリカ合衆国司法省が発表したところによると、ジェイコブはナイフを持っていると明かしており、運転席のサイドボードからナイフを見つけたとしている。しかし、対応した警官がその事実を知っていたかどうかは明らかでないと、地元紙のMilwaukee Journal Sentinelは報じた。また、ジェイコブの家族の弁護士は、「彼は車の中に武器は持っていなかった。彼が所持していた物を明かすことは出来ないが、彼の3人の子供が車の中におり、それは彼の頭の中にあった」としている。
また、彼が武器を持っていたとしても、警官は7回も発砲せずとも容疑者を取り押さえる方法はあったとして、以前から指摘されている警官による過剰な暴力への批判は多い。
NBAの試合をボイコット
現在、多くのシンガーや俳優、スポーツ選手、そして政治家などが事件の詳細の調査、そして警官に対する処罰を求める声をあげている。そして、北米の男子プロバスケットボールリーグNBAに所属する強豪ミルウォーキー・バックスは、8月27日に予定されていたオーランド・マジックとの試合をボイコットした。チームのシニア・バイス・プレジデントであるアレックス・ラスリーは、こうコメントしている。
「いくつかの物事はバスケットボールよりも大きなものです。今日、選手や団体によって取られた行動は、私たちはうんざりしているということを表すものです。もうじゅうぶんだ。変化が起こるべきだ。私は、チームのみんなを心底誇りに思っていますし、選手たちが本物の変化を起こすために100%支援します」
そして、ミルウォーキー・バックスの行動を受けて、NBAも声明を発表。抗議の意を含めて、この日予定されていた試合をすべて延期すると発表した。
「NBAとナショナル・バスケットボール・プレイヤーズ・アソシエーションは、ミルウォーキー・バックスによるオーランド・マジックとの第5試合を行なわないという決断を受けて、本日予定されていた3試合、ヒューストン・ロケッツ対オクラホマシティ・サンダー、ロサンゼルス・レイカーズ対ポートランド・トレイルブレイザーズを延期します」
また、女子プロバスケットボールリーグのWNBAも、同日に予定されていた3試合の延期を発表している。ジェイコブの家族は、NBAの行動を受けてコメントを発表した。
「スポーツは私達に、日々の挑戦からの逃避を与えてくれます。しかし、今日のような日には、私達はそういった挑戦に向けて真っ直ぐ進み、意味のある変化を生み出さなくてはいけません。私達全員の犠牲が必要となる変化を」
(フロントロウ編集部)