『TENET テネット』を遂に劇場公開したワーナー・ブラザースのCEOであるアン・サーノフが、『ムーラン』をストリーミング配信したディズニーについて意見。(フロントロウ編集部)

遂に全米公開された『TENET テネット』

 新型コロナウイルスの影響は、世界中の様々な業界に影響を及ぼしている。事態が深刻化した直後よりは日常は回復してきており、映画業界でも、撮影再開や映画公開の決定が確認されてきている。ハリウッドの大手スタジオであるワーナー・ブラザースとディズニーも、多くの予定変更に見舞われ、DCEU作品やMCU作品など、多くの映画の制作が中断。公開予定日も延期されてきた。

 ワーナー・ブラザースが資金を投じてきた作品の1つには、クリストファー・ノーラン監督の最新作である『TENET テネット』がある。当初、2020年7月に全米公開予定だった本作だけれど、8月に延期され、さらにそこから9月3日に変更となった。

 新型コロナウイルスの影響と、映画館の開館数を考慮してのスケジュール調整がなされた本作は、世界中にファンが多いノーラン監督の最新作とあって、パンデミック後のハリウッド復興を担う作品として期待されていた。そしてその期待に堂々と答えた本作の北米でのオープニング成績は、約22億円(2,020万ドル)。北米での公開に先駆けて、約1週間前に公開されていた中国などの国を含めると、2週間の週末成績は、なんと約161億円(1億4,620万ドル)にのぼる。

ディズニーは『ムーラン』をストリーミング配信

 一方で、期待作を劇場公開と別の方法でリリースしたのが、ディズニー。1998年公開のアニメーション映画『ムーラン』を実写映画化した本作は、3月にアメリカでプレミアが開催されたけれど、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化したため、5月に公開延期に。その後ふたたび、7月に公開延期となったけれど、その予定もまた変更になり、ディズニーは思い切った決断を下した。

 『ムーラン』は、ディズニーの動画配信サービスであるディズニープラスで特別配信。ディズニープラスへの登録にプラスして、全米では約3,300円(29.99ドル)の料金を支払うことで、『ムーラン』の鑑賞が可能となる。そんな『ムーラン』のオープニング成績は、約6億円(590万ドル)となった。

ワーナー・ブラザースCEO、発言の真意は

 過去に例のない世界的混乱のなか、各々が独自の決断や対策を取ったハリウッドの大手スタジオ。そんななか、ワーナー・ブラザースのCEOであるアン・サーノフが、米The Hollywood Reporterのインタビューで、ディズニーの戦略に関して率直な意見を述べた。

「ディズニーの戦略は、完全には理解できない。けれど彼らは、国際的には『ムーラン』をいくつかの劇場で公開していますね。(今の時期に)映画をリリースしている人々は誰であっても応援しています」

 それぞれが手探りで最良の答えを見つけだそうとするなかでは、各企業の戦略の方向性が明確になっている。ライバルであるディズニーのそれは完全には理解できないとしながらも、アンは、1つの業界の中で様々な試行錯誤が行なわれる重要性を、米Deadlineで話した。

画像: ワーナー・ブラザースCEO、発言の真意は

「アメリカと世界で、彼らは別の戦略を取っています。彼らがどうするのかは、私達も注意して見ていますよ。新型コロナウイルスの影響の中で希望となっているのは、私達(大手スタジオ各社)がみんな違う方法を試しており、お互いの行動を注視していることだと思います。様々な経験を持つことで、1つの業界として強くなっていると良いですね」

(フロントロウ編集部)

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