メディアや広告の中に、自分に自信を持たせてくれる女性は描かれている? アメリカ広告主協会が、女性像のレプリゼンテーションにフォーカスした「SeeHer」ムーブメントを起こしている。(フロントロウ編集部)

メディア・広告で様々な女性を描く重要さ

 メディアの中の女性達は、どんな外見で、どんな性格をしているだろう? 体型は細く、若く、美白にこだわっていて、控えめな性格? 肌が白くなく、標準体型で、自分の意思を持っている女性はいる? 意思を持っていたとしても、“ウザ”がられてはいない?

 ここ数年で、「レプリゼンテーション(Representation)」という言葉が急速に注目を集めている。レプリゼンテーションとは、表現・代表という意味を持つ言葉で、メディアや広告においては、様々な性別、人種、性格、体型のキャラクターが描かれることを意味する。

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 多くの国で男性が決定権を持つことが多く、それはメディアでも同じこと。すると、ドラマや映画、音楽のパフォーマンス、広告など、様々なところで女性が登場しなかったり、男性が描く女性ばかりが描かれたりしてきた。

 しかしメディアの持つ影響力は大きい。男性がウザいと考える女性像がウザいキャラクターとして描かれたり、男性が考えた女性は“こういうものだ”というイメージで描かれたり、はたまた女性が描かれなかったりすることによって、女性、とくに成長過程の少女達は、なりたい自分になることを諦めたり、それ以前に自分の可能性を知らずに成長することになる。また、偏った女性像ばかりを見ることは、少年達にも影響を及ぼす。

 そんな状況を変えようと、Association of NationalAdvertisers(ANA/アメリカ広告主協会)が、あるアクションを起こしている。

「もし彼女を見ることが出来たなら、彼女になることも出来る(If You Can See Her, You Can Be Her)」

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 そんなスローガンとともにANAが行なっているのが、「SeeHer」ムーブメント。「メディアにおいてすべての女性と少女を正しく描き、彼女達が自分自身をありのままの姿で見ることができるようにする」ことを目標としており、以下のリストを掲げている。

・適切で好意的な女性像を描く
・敬意とマナーのある女性の表現
・良いロールモデルとなる女性像を見せる
・人々が自分自身に対してポジティブになれるようにする
・すべての年齢に適切なようにする
・女性の身体を正しく描く
・宣伝されているブランドや製品の筋が通るようにする

 女の敵は女というまやかし、ダイエットしなければと悩む細い女性、過度に胸やお尻の大きな女性のイラスト、特定の人種のステレオタイプな描き方…など、これまでメディアや広告が行なってきた問題の多い女性の描き方をカバーするように、シンプルなリストを制作したSeeHerムーブメント。ムーブメントを指揮するANAは、アメリカで最も大きなマーケティング&広告の団体であり、その牽引力はかなり大きいと見られる。

すでに様々なプロジェクトが開始されている

 SeeHerムーブメントは、すでに様々なメディアと協力して、女性の物語を発信している。ジャーナリストのケイティ・クーリックは、自身のYouTubeチャンネルで、SeeHer Storyというハッシュタグとともに、歴史に残る女性を特集した動画を毎週配信中。

 また、SeeHerはとくにスポーツと音楽の分野にフォーカスした活動も行なっており、「SEE HER HEAR HER」と「SEE HER IN SPORTS」という2つに分けて、それぞれの分野にいる少女達に、彼女達のロールモデルとなるような女性達のレプリゼンテーションを行なっている。

 SeeHerは、アメリカのラジオにおいて、女性アーティストがフィーチャーされるのはたったの10%であることを指摘。また、全スポーツ選手のうち44%が女性であるにもかかわらず、女性アスリートがメディアで取り上げられるのはたったの4%であり、スポンサー収入も男性アスリートに比べてごくごくわずかであるという。各分野で活躍する女性達がメディアで取り上げられないことで、その分野にいる少女達が諦めることも多いとし、レプリゼンテーションの重要さを指摘している。

 しかしSeeHerムーブメントが目指すのは、興味がある人達だけの目に留まるものを作り出すことではなく、多くの人が広く目にするメディア・広告の中で女性達を正しく描けば、社会は変わっていくという信念が、それぞれの媒体に広がっていくこと。アメリカで最も大きなマーケティング&広告の団体であるANAがそれを牽引することには、大きな期待が向けられている。(フロントロウ編集部)

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