※この記事には、映画『ミッドサマー』のネタバレが含まれます。
背筋も凍る北欧ホラー『ミッドサマー』
映画『ミッドサマー』は、映画『へレディタリー/継承』のアリ・アスター監督が制作したホラー映画。スウェーデンの山奥にある架空の村“ホルガ”で90年に一度だけ開催される祝祭を見学しに行く5人の大学生たちの旅の様子を描いている。
本作は、通常のホラー映画とは全く違い、明るい太陽と笑顔の中で全てが起こる。狂気に満ちた世界観と、たたみかけるように起こる不可解な事件に、「もう二度と見たくない」という声も上がっているほど。ホラー好きで知られるアーティストのアリアナ・グランデは、なんと本作を寝る前に毎晩見ているとツイッターに書き込み、ファンを心配させた。
そんな『ミッドサマー』をもっと怖く、もっと面白く見ることができるプラスα情報を5つご紹介!
主人公ダニーの妹の家にあった写真に花冠が
映画の序盤で、ダニーが妹を心配して両親に電話をかけるシーンにご注目。枕元に飾ってあるダニーの写真には、なんと花冠が…。監督のアリ・アスターは、花は本作にとって重要なシンボルであることを述べ、「避けられないことは必ず起こる、という考えを織り込むための手法だった」と米The Huffington Postに語っている。
ダニーの姓には重要な意味が隠されている
ダニーの苗字は「アーダー」だと、彼女の留守電のなかで判明する。実は「アーダー」にはラテン語で「熱」や「ゆっくり燃やす」といった意味があり、映画を再試聴すれば、この苗字が映画にとって非常に重要な意味を持っていたことがわかる。アスター監督は、映画の序盤から結末を示唆していたのだろう。
ダニーとクリスチャンの友人の家に飾ってあるかかし
ダニーとその彼氏クリスチャンがスウェーデンの奇祭に出かける前、友人宅に集まっていた。そのアパートの冷蔵庫の上には、映画『オズの魔法使い』のかかしが写った額入り写真が飾られている。さらに、壁ぞいにはかかしのぬいぐるみが。ぱっと見では本編には何も関係なさそうに見えるけれど、アスター監督は意図的にそれをセットしていたという。
アスター監督は米Vultureに『ミッドサマー』を「変態のための『オズの魔法使い』」のような映画だと語っており、さらに米Nerdistでも同様のことを語っている。加えて、このかかしのシーンが終わりスウェーデンに到着すると、画面の色調も一気に明るくなる。」
ダニーの妹から来ていたメールに書かれていた文章
映画の序盤でダニーに、妹から届いたメールにご注目。日本語字幕では「もう耐えられない。パパとママも一緒に行く」と訳されているけれど、原文では「i cant anymore – everything’s black」と書かれている。これは「もう耐えられない…すべてが黒いの」という意味。
実は、このあとダニーが物語の舞台であるホルガ村へ行き、ダンスに参加した時、この「黒」とのつながりを感じることができる表現が。ダニーが村の女性たちと円になってダンスの開始を待っている時、ダンスの歴史を老婆が説明する。日本語字幕では「邪悪なる者がホルガの若者を草原に導き、踊りに誘った」と書いてあるけれど、原文で「邪悪なる者」は「the black one(黒いもの)」と書いてある。
メイクイーンのダンスの後の揺れる気に不気味な顔
村の女性たちと輪になって踊ったメイクイーンを決めるダンスで優勝したダニーは、村の人々に祝福され、台に乗せられて宴席まで運ばれる。その時に背後の木々や花、草が不気味に躍動しているという事実には多くの視聴者が気づいたはず。
けれど、ダニーが台に乗せられて運ばれている時、背後の森林には不気味な顔のシルエットが…。実はこの顔、ダニーの妹の顔。これは、メイクイーンに選ばれてもまだ悲しみが続いていることを示している。
映画『ミッドサマー』には、物語の結末を示唆する重要な演出がまだまだたくさん隠されている。Amazonプライム・ビデオなどでレンタルが始まっている『ミッドサマー』をぜひ再鑑賞してみて。(フロントロウ編集部)