第72回プライムタイム・エミー賞で最も話題になった出来事をご紹介。受賞者から授賞式中におきた珍事件、SNSでバズった出来事まで!(フロントロウ編集部)

1. 新型コロナウイルス「らしい」演出

 司会者(ホスト)を務めたジミー・キンメルの、「ウイルスはホストなしでは存在できませんから」という新型コロナウイルス・ジョークで幕開けたエミー賞2020。

 ツイッターでは「Emmys」と打つとマスクを着けたジミー・キンメルの絵文字が登場。他にも、トロフィーを渡すインターン生たちがタキシード仕様のハザードスーツを着たり、セレブたちが家での過ごし方を語ったり、新型コロナウイルスのリアルなストーリーが紹介されたりと、コロナ禍らしいシーンが多数あった。

画像: ツイッターでは「Emmys」と打つとマスク姿のジミー・キンメルの絵文字が登場。

ツイッターでは「Emmys」と打つとマスク姿のジミー・キンメルの絵文字が登場。

2.『シッツ・クリーク』が約60分も受賞を独占

 最多受賞となったのが、コメディ部門の演技賞を史上初めて総なめにしたドラマ『シッツ・クリーク』。あまりの総なめぶりに、配信開始からおよそ60分のあいだにアナウンスされた受賞者が『シッツ・クリーク』のみという異常事態が発生。

 ツイッターでは、「何分経ったら『シッツ・クリーク』以外の名前が呼ばれるんだろうね」というコメントが出たり、ドラマ『キリング・イヴ』でノミネートしていたサンドラ・オーが「おめでとう!オーマイゴッド、どれだけその部屋にいたいわけ!?」と冗談を飛ばしたりしていた。

 2020年にファイナル・シーズンとなるシーズン6で幕を閉じた人気コメディシリーズは、コメディ部門の作品賞、主演女優賞(キャサリン・オハラ)、主演俳優賞(ユージン・レヴィ)、助演女優賞(アニー・マーフィー)、助演男優賞(ダン・レヴィ)、脚本賞(ダン・レヴィ)、監督賞(ダン・レヴィ&アンドリュー・チヴィディーノ)をすべて受賞。コメディ部門での1年での最多受賞記録を塗り替えた。

3. HBOが『ウォッチメン』と『サクセッション』で大きく勝つ

画像: 3. HBOが『ウォッチメン』と『サクセッション』で大きく勝つ

 放送・配信(ネットワーク)別で見ると、2020年はHBOイヤーに。

 11部門で最多ノミネートしていた『ウォッチメン』はリミテッド・シリーズの作品賞や主演女優賞などに輝き、2番目に多くノミネートしていた『サクセッション(別名:キング・オブ・メディア)』もドラマ部門作品賞や主演男優賞などに輝いた。

4. 敗者への対応がシュールすぎた

 2020年は受賞候補者のほとんどが自宅から参加したため、全員がバラバラのロケーションにいたわけだけれど、誰が受賞するかは発表時まで秘密なため、全候補者のいる場所に感染予防のためのハザードスーツを着たスタッフとカメラが配置されるというビッグなセッティングに。

 受賞するとスタッフが自宅内に入ってきてトロフィーを渡すのだけれど、逆に受賞しなかった場合、スタッフはそのまま無言で去っていく。

 その悲しい様子を、コメディ部門主演男優賞にノミネートしていたドラマ『ラミー 自分探しの旅』のラミー・ユセフがツイッターで紹介。ラミーが投稿した動画には、トロフィーを持ったスタッフが、受賞を逃したことを知った後に外から手を降って去っていく姿が収められていた。

 これを見た人たちからは、「この動画こそエミー賞を受賞すべき」「負けたけどすごい思い出になったね」などと大反響があり、ラミーのこのツイートは記事執筆時点で7万回以上いいね!されている。

5. ファッションは「自由」な年に、黒人の権利へのサポートも

 2020年はほとんどの人が自宅からのリモート参加とあって、多くの人が、通常のエミー賞とは異なるおうち“レッドカーペット”ルックを披露。

 全身がカメラに映らないため、リース・ウィザースプーンのようにドレスアップしたものの足元はスリッパを履いたままなセレブもいれば、通常ならば席に座ることを考えて選ばないようなデザインのドレスを着たセレブも。さらには、そもそも着替えないで部屋着で参加するセレブもいるなど、とにかくセレブ本人の判断に任せた自由な年だった。

 さらにプレショーでは、黒人に対する差別根絶を訴えるムーブメント「ブラック・ライヴズ・マター(Black Lives Matter)」への支持をルックが注目を集めた。

 コメディ部門助演女優賞にノミネートされていた『インセキュア』のイヴォンヌ・オージは髪にブラックパワーのロゴを描き、リミテッド・シリーズ部門主演女優賞を受賞した『ウォッチメン』のレジーナ・キングは警察官に殺されたブリオナ・テイラーのTシャツを着用した。

6. スピーチでは「投票に行こう」がテーマに

 2020年の受賞スピーチでは、ブラック・ライヴズ・マターに触れて黒人の権利を訴える人や、多様な人々が適切に表現されるレプリゼンテーションの大切さを訴える人が多かったけれど、その中で共通していたのが、“だからこそ11月のアメリカ大統領選で投票に行こう”というものだった。

 司会者のジミー・キンメルも、VOTE(投票しよう)と描かれたマスクを着用してこのメッセージを訴えた。

7. ルース・ベイダー・ギンズバーグを追悼

画像: 7. ルース・ベイダー・ギンズバーグを追悼

 授賞式の直前の9月18日に、女性として史上2人目の米最高裁判事だったルース・ベイダー・ギンズバーグ(RBG)が死去。エミー賞2020では、追悼企画としてH.E.R.がプリンスの曲「Nothing Compares 2 U」をパフォーマンスしたり、ドラマ『ウォッチメン』のレジーナ・キングが受賞スピーチの最後に「RBG、安らかにお眠りください」と言ったりと、あちこちで、女性の権利の歴史に大きな影響を与えたアイコンが追悼された。 

8. 『フレンズ』キャストがサプライズ集合!

 エミー賞2020では、なんと、『フレンズ』のキャストたちがサプライズ集合! 司会者のジミー・ファロンがジェニファー・アニストンに中継を繋ぐと、コートニー・コックスやリサ・クドローも一緒にいて、「え?一緒にいるの?」「ええ、1994年からルームメイトだよ」と、1994年に放送スタートした『フレンズ』ジョークを飛ばすやりとりがあった。

9. ゼンデイヤが史上最年少で受賞

 24歳のゼンデイヤが『ユーフォリア/EUPHORIA』でドラマ部門主演女優賞を受賞して、ジョディ・カマー(『キリング・イヴ』)が持っていた26歳という同賞の最年少受賞記録を更新!

 さらに黒人女性としては、2015年のヴィオラ・デイヴィス(『殺人を無罪にする方法』)以来2人目の同賞受賞者となった。

10. 特別賞のタイラー・ペリーのスピーチが心動かす

画像: 10. 特別賞のタイラー・ペリーのスピーチが心動かす

 特別賞であるガバナーズ・アワードは、俳優や脚本家、プロデューサー、監督と、多才に活躍するタイラー・ペリーが受賞。プレゼンターのオプラ・ウィンフリーとクリス・ロックに、黒人のキャストやクルーを積極的に起用してエンタメ界における黒人のレプリゼンテーションに貢献してきたことを称えられたタイラーは、祖母にもらったという、1つのパッチがその人の人生の一章を表すキルトの話に触れ、こうスピーチした。

「私の母のキルトにおいて、私が自分自身で扉を作り、何千人もの人のためにそのドアを開けておけるなんて想像できなかった。母のキルトにおいて、かつて南軍の兵士がどうすれば黒人を奴隷のままにしておけるだろうと考えていた南軍の基地があった土地の持ち主に私がなれるなんて想像できなかった。しかし今、黒人、白人、ゲイ、ストレート、レズビアン、トランスジェンダー、元犯罪者、ラテン系、アジア系、私たち全員が、キルトが可能なかぎり多様になるように一丸となってパッチを足している。ダイバーシティはベストな状態にある」

 このスピーチはSNSで大きな反響があり、俳優のケリー・ワシントンは「スピーチをありがとう。その話をシェアしてくれて、オンとオフで私たちが目指すべき場所を示してくれてありがとう」とツイートした。

  第72回プライムタイム・エミー賞授賞式は、日本では字幕版が9月26日(土)23:00~25:30にFOXチャンネルで放送される。(フロントロウ編集部)

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