アメリカのカリフォルニア州で深刻化する山火事から、ベビーヨーダのような子ネコが救出された。(フロントロウ編集部)

カリフォルニア州で深刻化する山火事

 アメリカで、記録的な山火事がいまだに続いている。アメリカ西部では、7月の終わりから各地で山火事が発生しており、火災の煙によって街がオレンジ色に染まり、数万人が避難命令を受けている。これまでに、火災によって少なくとも36名が命を落とした。焼失面積はカリフォルニア州でおよそ145万ヘクタール、隣のオレゴン州でもおよそ40万ヘクタールに上っている。ちなみに、東京都の面積は約22万ヘクタール。

画像: 森林火災によってオレンジに染まる街。(カリフォルニア州サンフランシスコで9月9日に撮影)

森林火災によってオレンジに染まる街。(カリフォルニア州サンフランシスコで9月9日に撮影)

 また、1日に2度も火の竜巻の発生が確認された日もあり、山火事が前例のないほど深刻化している理由には、気候変動が影響していると見られている。カリフォルニア州のギャビン・ニューサム州知事は、「もし気候変動を否定するのであれば、カリフォルニアに来なさい」と発言したほど。2019年から2020年にかけて深刻な問題となったオーストラリアの森林火災の調査を行なった、英イースト・アングリア大学のマシュー・ジョーンズ博士は、今回のアメリカの火災についても調査を行ない、英BBCにこう話している。

「この40年で8から10倍に増えた森林火災の規模は、気候変動によって引き起こされたものです。気候変動とは、州にかかわらず森林がより頻繁に暖かくなり、乾燥するということです。それが、私達が今見ている火災の規模や影響を引き起こしているのです」

 また、アメリカでは山火事の管理のために、意図的に一部を焼き払う管理法が取られているが、これも火災の原因になってしまっているという。しかし、その管理法の失敗の原因にもまた、気候変動の影響があるそうで、調査に参加したイギリス気象庁のリチャード・ベッツ教授は、「意図的に焼き払う時は、暑すぎず乾燥しすぎていない時にしなければならない。なぜなら、炎をコントロールする必要があるからです」と指摘している。

 同様のことは、オーストラリアの森林火災に関して、気候科学者であるピーター・グリック氏も2020年1月に述べていた。「記録的な暑さ、未曾有の干ばつ、雨不足、これらはすべて燃料を乾燥させ、火災を悪化させています。火災はいずれにせよ起きていたかもしれません。しかしその深刻さや激しさは、気候変動がなかった場合より、比べものにならないほど悪くなっています」。

画像: ワイン産地として有名なナパバレーに迫る火災。(カリフォルニア州のナパ郡セント・ヘレナで9月27日に撮影)

ワイン産地として有名なナパバレーに迫る火災。(カリフォルニア州のナパ郡セント・ヘレナで9月27日に撮影)

1匹の子ネコを救出、ベビーヨーダみたい!

 そんななか、カリフォルニア州で火災から救出された1匹の子ネコが注目を集めている。生後数週間で、道路の真ん中にいたところを消防士に救出されたというネコの名前は…、ベビーヨーダ!

 ディズニーによる映画『スター・ウォーズ』のスピンオフドラマ『マンダロリアン』に登場し、放送開始とともに世界中のファンの心をわしづかみにしたベビーヨーダに似ていることから、この名前がつけられたよう。ベビーヨーダを保護したシェルターは、可愛すぎる写真とともに、こう報告している。

画像: ⓒButte County, California/facebook

ⓒButte County, California/facebook

「この前の週末に、消防士たちがこの生後2~3週間の子ネコをシェルターに届けてくれました。消防士たちは、道の真ん中でこの子を見つけたそう。本当に良かった!この子は煙と灰に覆われていて、すぐに獣医による検診を受けました。この写真は、お風呂に入った後と、その写真を撮ったあと2分くらいで寝てしまった写真です。この子は必要なケアを受けるために、医療班に世話をされています」

 アメリカでの山火事のシーズンはまだ続き、さらに前例がないほどの規模になっていることから、より一層の緊迫感が立ち込めている。元々の野生動物の数は違うけれど、2019年から2020年にかけて発生したオーストラリア森林火災では、死んだり住処を奪われたりした野生動物の数が30億匹にのぼると世界自然保護基金が発表している。今回のカリフォルニア州周辺の森林火災でも多くの野生動物が死んでいると、動物の権利団体PETAが指摘している。また、牧場で飼われていた動物も焼死している。

 少なくとも1匹の子ネコが救出されたというニュースに安心する一方で、今後の対策にも目が向けられている。(フロントロウ編集部)

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