お騒がせヒーローのデッドプール
『デッドプール』は、マーベル・コミックに登場するミュータント、デッドプールを主人公にしたアクションコメディ映画。
驚異的な治癒能力と高い戦闘力、スタミナ、機敏さなどを与えられたデッドプールは、自分がコミックの登場人物だということを認識しており、「第四の壁」と言われる漫画と現実世界との壁を破って、読者や視聴者に語りかけてくることでも知られる。マシンガントークを続ける彼は「おしゃべりな傭兵」と呼ばれることもあり、善悪の区別にとらわれずに相手を倒すというトリッキーな設定から、多くのファンに愛されている。
そんな彼が主役を務めた2016年公開の映画『デッドプール』は、マーベル・コミックでミュータントを題材にしたシリーズの『X―MEN』史上、初のR指定作品となったばかりでなく、約8億ドルの世界興行収入を記録。続編である『デッドプール2』は、当時R指定映画の歴代トップに踊り出る快挙を達成した。
そんな本作で、デッドプールが馴染みのタクシー運転手、ドーピンダーの車中に大量の武器を置き忘れたシーンを覚えている? 何気ないあのシーンには、実は大きな意味が隠されている。
デッドプールがタクシーに武器を置き忘れたワケ
映画『デッドプール』でデッドプールは何かとタクシーを利用することが多く、標的を追跡したり、現場に向かったりする時に乗るのが、インド人運転手ドーピンダーの車。
映画の中盤でデッドプールは敵に立ち向かうべく、大好きなハローキティのリュックに大量の武器を詰め込み、ドーピンダーのタクシーに乗って現場に向かう。ところが、なんとその車中に武器入りリュックをあっさり置き忘れてしまう。何気ないシーンではあったけれど、その描写には大きな理由があった。
実は、映画制作が始まる48時間前、映画『デッドプール』の制作スタッフは映画スタジオに大幅な予算削減が言い渡されたそう。その金額は、なんと日本円にして7〜8億円。
スタッフは知恵を絞り、110ページにおよぶ脚本から、約9ページ分を削除することに。土壇場で起きたその要求に応えるべく、本来であれば大規模な銃撃戦が予定されていたシーンを、「デッドプールが銃をタクシーに置き忘れる」という大胆な方法で大幅カットしたと、脚本家のレット・リースは米io9に語った。
結果として、デッドプールの滑稽さを表現する素晴らしいシーンにはなったものの、まさかそのような理由が隠されていたとは驚き。次回『デッドプール』を見るときは、ハローキティのリュックを忘れたシーンに注目してみて。(フロントロウ編集部)