国際非暴力デーとは?
毎年10月2日は国際非暴力デー。この記念日は、イギリスの植民地だったインドの独立運動に取り組んだガンジーの誕生日にちなんで2007年に制定された。
ガンジーは1800年代後半から1900年代前半にかけてインドの独立のために立ち上がった人物で、植民地解放運動や人権運動において、平和主義的な手段をとったことで世界中から評価された。
「非暴力、不服従」を提唱し、“民衆による暴動”や“ゲリラ戦”といった暴力を使わない独立運動を行った彼の功績は非常に大きなものとして知られている。
この記念日を制定した国連によると、「非暴力デー」は「教育や国民意識を高める運動を通して非暴力のメッセージを広める」ための機会となるもので、「平和、寛容、理解および非暴力の文化を実現する」という意思を再確認するものだという。
非暴力とは「憎悪に訴えてはならない」こと
非暴力とは、社会の変革または政治の変革を達成するために暴力を使用しないということ。
非暴力に関する学者のジーン・シャープ教授は、著書『非暴力行動の政治』のなかで非暴力について「無抵抗や服従を拒否する人々や、闘争は不可欠だと考える人々が、暴力に訴えることなく闘争を行うことのできる一つのテクニック」であるとし、「非暴力行動は、闘争を回避もしくは無視することではない」と語っている。
ガンジーは、その生涯を通して、抑圧的な状況の下にあっても、また克服できないような挑戦に直面しても、「非暴力」という信念は貫いてきた。そして、「正しい手段は、正しい結果をもたらす」というモットーのもとに、自由を獲得するために暴力や憎悪に訴えてはならないと訴えてきた。
そんなガンジーは、1927年に出版した著書『真実による実験の物語』のなかで、非暴力に関する格言を残している。
「眼には眼を」は世界全体を盲目にしてしまう。
ガンジーは、絶望を感じた時には、「すべての歴史を通じて、真実と愛の道が常に勝利を収めたこと」を思い出すべきだという。彼は、「私には、死んでもいいという大儀は数多くあるが、 相手を殺してもいいという大儀は一つもない」としている。ちなみに大義とは、“人として守るべきこと”という意味。
2020年9月30日現在、旧ソビエト連邦のアルメニアとアゼルバイジャンの間で激しい戦闘が発生し、多くの死傷者を出している。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、世界経済が大きな打撃を受けたとともに、様々な制度やしきたりが見直されており、不安定な情勢が続いている。ぜひ、この国際非暴力デーにガンジーの「非暴力」という概念を今一度考え欲しい。(フロントロウ編集部)