世界を回してるのは誰?
「世界を回してるのは誰? 女の子たち!」 ビヨンセは2011年4月にリリースした楽曲「Run the World (Girls)」で力強くそう宣言した。あと半年でこの楽曲がリリースされてから10年が経とうとしているけれど、実態はどうだろうか?
本日10月11日は「国際ガールズ・デー」。国連は、奇しくもビヨンセが「Run the World (Girls)」をリリースしたのと同じ2011年の12月、毎年10月11日を「国際ガールズ・デー」にすることに決め、女の子たちの権利や、世界各地で女の子たちが直面している問題を啓発するための日として制定した。
とりわけここ数年の話に限れば、2016年からセクハラ被害を告白する#MeToo運動が盛んになり、2017年には、女性差別や不平等の時代に「時間切れ」を告げる#TimesUp運動が活発化した。海外のエンタメ業界はほんの少しずつではあるが改善し始めているものの、まだまだ世界の国々では女の子たちが理不尽な苦労を強いられている。
国連によれば、世界では今も、15歳~19歳の女の子の4人に1人が、教育や訓練を受けられていないという。男の子は10人に1人というのだから、その差は歴然。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大もあり、2021年までに、4億3,500万人の女性や女児が1日を1.9ドル(約210円)以下で過ごすことを余儀なくされると国連は見積もっている。
女性に対する差別は、残念ながら海を隔てた他の国だけで起きている問題ではない。世界経済フォーラムが毎年発表する、経済、教育、健康、政治の4分野における男女格差を数値化する「ジェンダーギャップ指数」において、日本の2020年のランキングは過去最低となる121位(153カ国中)となった。早急な改善が必要なのはあまりに明白。
“女の子だから”できないって? 近年リリースされた楽曲のなかから、そんな偏見に「No」を真っ向から突きつけてくれるガールパワー満載な楽曲10曲をフロントロウ編集部が厳選してご紹介。
ガールパワーソング10選!
テイラー・スウィフト「The Man」
男性優位社会を痛烈にぶった切る隠れメッセージをこれでもかと詰め込んだミュージックビデオと併せてリリースしたこの楽曲で、テイラーは「自分が男だったらよかったのに」と皮肉を込めて歌い上げている。
「もう全速力で走るのにはウンザリ
私が男だったらもっと早く辿り着けるんじゃないかって思う
もう私に向かって来られるのにはウンザリ
だって私が男だったら、私は立派と思われていたはず」
フィフス・ハーモニー「 That's My Girl」
立ち上がる勇気を必要としているなら、ガールグループに背中を押してもらうことほど力が湧いてくるものはない。フィフス・ハーモニーは、「それでこそマイガール」と何度だって励ましてくれる。
「運命はこう言った、立ち上がって手に入れなさいって
自分の足で立つの、それを忘れないで
悪い噂を立てられたら、私が払ってあげる
私に共感してくれるなら、その手のひらを掲げて
それでこそマイガール」
リトル・ミックス「Salute」
リトル・ミックスも、前を向かせてくれるガールグループの1組。すべての女性たちを代表して、仲間に誘ってくれる。4人のガールズに敬礼する準備はできてる?
「世界のレディーたち、よく聞いて/仲間を探しているの
ついて来てくれるなら、手をあげて/立ち上がって敬礼して
ヒールでも、スニーカーでも、パンプスでも、ブーツでもいいから
すべての女性たちを代表するよ/さあ、敬礼するわ」
アリアナ・グランデ「7 rings」
富や名声を誇るのは男性だけの特権じゃないけれど、女性の場合は“はしたない”と言われてしまうことも。アリアナは軽快なリズムに乗りながら、そんなダブルスタンダードに挑んでいる。そのメッセージはすごくシンプルなもの。欲しいものがあったら、“自分”で稼いで手に入れればいい。
「見つけて
気に入って
欲しくなったら
手に入れるの」
デュア・リパ「Future Nostalgia」
デュアは“未来の懐かしさ”を意味するこの楽曲で、過去と未来の女性たちに敬意を表し、自分が主体となって歩んでいくと高らかに宣言。
「あなたがどんなことをしようと、私はあなたなしで手に入れてみせる
女性の指導者には慣れていないんでしょうけど」
ビリー・アイリッシュ「you should see me in a crown」
女性は誰かの所有物じゃない。そして、決定権を持つのは他でもない自分。ビリーは弱冠16歳でリリースしたこの楽曲で、自分を誘ってくる相手に「No」を突きつけている。
「あなたは言う、『ベイビー、こっちへおいで』
『君は綺麗だよ』って
そんなの結構、私はあなたのベイビーじゃないから
あなたが綺麗と思おうとね王冠をかぶった私を見なさいよ
このつまらない街を支配するから」
ホールジー「Nightmare」
“女性は愛嬌”って? 俳優のカーラ・デルヴィーニュやスキ・ウォーターハウスらが出演するミュージックビデオと共にリリースした「Nightmare」で、ホールジーはそんなステレオタイプに立ち向かう。
「『よう、そこのレディー、笑ってよ』って
無理、私には笑えることなんてない
笑顔を向けたい人なんていないし、私は待っているの
『あんたに借りなんてない』って言える瞬間を」
リゾ「Juice」
自分の魅力に自信を持てなくなってしまったら、リゾの音楽を聴いてみて。ボディポジティブについてのメッセージを積極的に発信している彼女は、“ありのままの美しさ”を教えてくれる。そう、誰もが「生まれつき」美しいということ。
「水晶玉のように輝くの
クールでしょ、あなただってそう
これが私私が輝けば、みんなも輝く(そう、みんなの憧れ)
これは生まれつきなの、頑張る必要もない(これで分かったでしょ)」
マイリー・サイラス「Mother’s Daughter」
自分の自由は、誰にも邪魔されるものではない。マイリーは女性に宿る力強さと偉大さを刺激的な映像美で表現したこの楽曲で、自身に向かってくる人たちに警告している。
「私の自由を邪魔しないで
自分で手に入れるためにやってきた
私は嫌なヤツだし、意地悪
きっと変わってるのかもね、ママの娘だからかな
さあ、男の子は下がってな」
ドージャ・キャット「Boss Bitch」
自分のことは自分で決める。自分のボスは自分だと、ドージャは強烈な言葉で宣言。
「私はビッチ、私がボス
私はビッチでボス/グロスのように輝くよ」
今回紹介した曲以外にも、ガールパワーにあふれた楽曲はもりだくさん。音楽を聴いて元気をチャージしながら、女の子の権利と、それを取り巻いている現状について考えてみよう。(フロントロウ編集部)