※この記事には、ドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン2エピソード3『千人の剣士とともに丘を越えて』のネタバレが含まれます。
エロ・グロ満載!異色のヒーロードラマ
ドラマ『ザ・ボーイズ』は、欲と名声にとりつかれ腐敗したスーパーヒーロー集団を倒すべく、「ザ・ボーイズ」というグループが奮闘する異色のアクション作品。流血度MAX、エロシーンも満載という際どい表現ながら、社会を鋭く風刺した内容で多くのファンを獲得している。
米統計会社ニールセンによると、2020年7月からストリーミングサービスの週間閲覧者数ランキングを計測し始めて以来、初めてトップ10入りを果たしたNetflix以外のストリーミングサービスによるドラマシリーズとなっている。
現在シーズン2まで配信され物語が大きく展開している本作は、米辛口批評サイトRottenTomatoesで平均91%のスコアを獲得しており、すでにシーズン3の配信が決定している。ちなみにシーズン3には、ヒーローのソルジャーボーイ役として、ドラマ『スーパーナチュラル』のジェンセン・アクレスが参加予定。
そんな本作の予告編にも登場し、シーズン2エピソード3『千人の剣士とともに丘を越えて』に登場したクジラのシーンは、驚きの歳月をかけて作られた渾身のシーンであったことが明らかになった。
魚と会話できるディープの苦悩
シーズン2エピソード3『千人の剣士とともに丘を越えて』は、ザ・ボーイズやヴォート、セブンそれぞれに大きな変化が起こる重要なストーリー。
特に、魚と会話できるヒーローのディープは、自分が魚と会話できる理由を知り衝撃を受け、戸惑う。そんなディープに入ってきたのは、ボートで逃走中のザ・ボーイズを攻撃するというミッション。
そうとも知らぬザ・ボーイズたちはボート上で危機的な状況に陥っていた。てんやわんやの騒ぎに追い討ちをかけるように、ディープがサメやクジラなどを引き連れて登場。ブッチャーはサブマシンガンを構え、容赦無く動物たちに打ち込む。
クジラに乗ったディープはザ・ボーイズの乗る船を攻撃し、浜に乗り上げ得意顔。ところがブッチャーはお構いなしにそのクジラの横っ腹に船ごと衝突する。
アフターショー『Prime Rewind:「ザ・ボーイズ」の裏側』ではキミコ役の福原かれんが、ボートを実際にブッチャー役のカール・アーバンが操縦していたと明かしたこのシーンに登場するクジラ、実は5ヶ月もかけて制作されたものだった。
一瞬しか登場しないクジラにかけた情熱
ショーランナーのエリック・クリプキは米EWにイルカを超える衝撃のある海洋生物のシーンを作りたかったとコメントした。
彼はシーズン1とシーズン2の合間に、VFXスーパーバイザーであるステファン・フリートのところへ行き、「ねえ、ボートをクジラにぶつけるのって難しいかな?」と聞くと、ステファンは「まあね、でもやらなきゃいけないならやってみるよ」と答えたという。
ステファンによると、ディープが海から登場するところやクジラの心臓が脈打つところはCGだけれど、その他の全てがセットで作られているという。このクジラセットを作るのに費やされた時間はなんと5ヶ月。
「大きいホームセンターに発泡スチロールのクジラを持って行って、肌の薄いクジラを作るために何度もミーティングしたんだ」とステファン。続けて、「クジラの内臓も作ってくれたから、クジラの内臓についても話し合ったよ。みんなすごい研究熱心だった。チームが持ってきたものをテーブルの上に置いて、まるでレストランの試食会のような感じで見せてくれるんだ。それで『これはクジラのひ臓だ!』って感じでね」と、壮絶な会議の様子をこともなく話した。
5ヶ月もの長い期間付き合ったクジラには「ルーシー」という名前がつけられていたそうだけれど、ドラマに登場するのはほんの一瞬。実は隠し扉がつけられていたり、血しぶきを完全再現するためのキャノンがつけられていたりと、予想の斜め上をいく精密さで作られていた。
ホームランダー演じるアントニー・スターは、米EWに「台本を読んで、さすがに『やりすぎだ』と思ったよ。このシーンはいちばんのお気に入りとは言わなくても、お気に入りの一つだ」と、コメントしている。
ステファンは、この撮影が終わった後、クジラのルーシーがどうなったについては知らないという。撮影現場の近くの駐車場の防水シートの下にいるのを見たことがあるというステファンは「クジラを使い終わったら『このクジラ、どうする?』って感じだった。保管しておくのはすごく値が張るんだ」と言った。そして、テーマパークの乗り物にしようと提案したそうだけれど、その後の行方は知らないという。
細かいところに気合が入りすぎなドラマ『ザ・ボーイズ』は、Amazonプライム・ビデオで配信中。もう一度見るときは、ぜひクジラのルーシーに注目してあげて。(フロントロウ編集部)