グザヴィエ・ドラン、男子高校生の行動に心打たれる
19歳で監督した映画『マイ・マザー』の衝撃によって、世界から“恐るべき子ども”と呼ばれたグザヴィエ・ドラン監督。その後も『わたしはロランス』や『たかが世界の終わり』、『マティアス&マキシム』などを送り出し、また、シンガーのアデルの「ハロー」ではミュージック・ビデオの監督も務めた。
しかし恐るべき子供と呼ばれたドラン監督も、今年で31歳。カナダのモントリオール出身の彼が、現在のモントリオールの男子高校生達の行動に感激をあらわにした出来事があった。
「僕が高校生の時これが起こるのは、ハロウィン以外にはなかった。当時も、優しくて受け入れてくれる友達はいたけれど、これは…、これは素晴らしすぎる」
そんな言葉とともに彼がインスタグラムに投稿した写真は、男子高校生達がスカートを履く写真。
「このモントリオールの学生達は、今週の始めに、女性のクラスメイト達との連帯を表すためにスカートを着ることにした。彼らは、学校の制服は無意味に女性をモノと見せているし、それは個人を決めつけることはできないし、それは人々を1つのジェンダーにまとめることはできないと。他にも様々な素晴らしいことを言っていたけれど。毎日良いニュースを探しているけれど、ほとんどない。でもここにあった」
ゲイであり、また、監督作品の中でファッションセンスの高さを遺憾なく発揮しているドラン監督は、自分達の世代は同性同士でキスをしたら同性愛者、そうでなければ異性愛者、というようにセクシャリティやジェンダー、そしてアイデンティをカテゴリーで分けてきたと、仏Brut.のインタビューで話す。そして、今を生きる若い世代はそういった枠さえも超えて流動的に自由に生きていることに、そういったことに悩みを抱えた世代の自分は苛立ちさえすると語っていた。映画『マティアス&マキシム』には、「僕達はまだ若い。でも、もう若い世代ではない」というセリフがある。それは、ドラン監督の今の気持ちだという。
羨ましいほどに自由な若い世代が、その枠を取り払うためにさらに行動を起こしていることに、ドラン監督も感激のメッセージを送らずにはいられなかったよう。
制服の在り方に疑問
男女で制服が違うことは長年問題となっているけれど、最近では、中高生達が行動を起こしている。2017年にはイギリスの男子生徒達が、夏でも長ズボンを履かなくてはいけないことはおかしいとして、スカートを履いて集合。その結果、半ズボンの着用が許可された。また逆の問題もあり、冬に女子生徒にスカートを強制することは寒さ対策の観点からもおかしいとする声は多い。そして現代では、性別に関係なくズボンかスカートが選べる学校はどんどん増加している。
制服という衣服に対する反対意見や、ズボンやスカートに対する反対意見など、様々な点で多くの議論があるけれど、当事者である生徒達が行動を起こし、変化をつかみ取っていることは、明るいニュースであることは間違いない。(フロントロウ編集部)