本日10月16日に最新アルバム『チェリーブロッサム』をリリースしたザ・ヴァンプスにZoomインタビュー。日本語で“桜”を意味するタイトルが付けられた、日本にインスピレーションを得たという最新作について語ってもらった。(フロントロウ編集部)

ザ・ヴァンプスが新作『チェリーブロッサム』をリリース

 ブラッド・シンプソン(Vo.)、ジェイムズ・マクヴェイ(Gt.)、トリスタン・エヴァンズ (Ds.)コナー・ボール(Ba.)の4人のメンバーからなるイギリスのバンド、ザ・ヴァンプスが本日10月16日に通算5作目となるニューアルバム『チェリーブロッサム』をリリースした。

画像: ザ・ヴァンプスが新作『チェリーブロッサム』をリリース

 2013年にリリースしたデビューシングル「キャン・ウィー・ダンス」と、翌2014年にリリースしたファーストアルバム『ミート・ザ・ヴァンプス』が共に全英チャートの2位を獲得し、堂々たるデビューを飾ったザ・ヴァンプス。デビューから7年目を迎えた彼らだけれど、2017年にはアルバム『ナイト&デイ(ナイト・エディション)』で初となる全英1位も獲得。その間の2015年には自主レーベルであるステディ・レコードを設立するなど、早くからシーンを引っ張ってきた彼らは、ヨーロッパ最大級のライブ会場の1つであるO2アリーナにて5年連続で公演を行なうという偉業も達成しており、UKを代表するポップバンドの1組としての道を着々と歩み続けている。

 彼らと日本の繋がりは深く、2015年〜2017年にかけて3年連続で来日公演を行なったほか、2019年にサマーソニックに出演した際には、東京会場のレインボーステ ージでトリも飾った。

 日本語で“桜”を意味する『チェリーブロッサム』というタイトルがつけられた最新作は、そんな繋がりの深い日本にインスピレーションを受けて制作したアルバムだそう。今回、新作のリリースに際してフロントロウ編集部がザ・ヴァンプスの4人にZoomインタビューを実施。そのなかで、日本が新作に与えた影響から、日本での思い出、そしてシーンを引っ張っていくバンドの1組としての責任についてまで、丁寧に答えてくれた。

ザ・ヴァンプスにインタビュー!

画像: (上段左から)ブラッド・シンプソン、コナー・ボール (下段左から)ジェイムズ・マクヴェイ、トリスタン・エヴァンズ 。

(上段左から)ブラッド・シンプソン、コナー・ボール (下段左から)ジェイムズ・マクヴェイ、トリスタン・エヴァンズ 。

新作『チェリーブロッサム』は日本にインスパイアされたそうですが、詳しくお話しいただけますか?

ジェイムズ「去年日本で公演(※)をやったんだ。その後で、何日か日本に滞在してね。(ボーカルの)ブラッドは富士山にも登ったんだ。僕は箱根に滞在していて、その時に、日本のカルチャーというのを実際に体感することができたんだ。それが僕らの中の新しい部分を刺激して、桜(チェリーブロッサム)をテーマにしたアルバムを作りたいと思うようになった。このアルバムは、僕らがこれまで触れたことのなかったいくつかのテーマで構成されている。『瞬間への感謝』だとかね。『グローリー・デイズ』という曲がアルバムの1曲目に収録されているんだけど、この曲は、生きていることや、人生における自分の居場所を祝福するような曲になっている。それって桜にも通じるところがあると思っていて、ほら、美しさやその瞬間を心に刻む機会になっているという意味でね。そういう感じかな。アルバムの全体としては、再生や若返り、僕らの新しいチャプターについてのものになっていると言える」

※サマーソニック2019に出演。

日本にはほとんど毎年来ていましたよね。思い出として残っていることはありますか?もしくは、日本について恋しいと思うのはどんなところですか?

ブラッド「日本のすべてが恋しいよ。食べ物も、カルチャーも、お酒も、日本の人たちも、すべてね。本当に恋しい。さっきジェームズが言ったように、日本はずっと僕らにインスピレーションをくれてきた場所なんだ。日本では多くの時間を過ごして、すっかりカルチャーに浸っているからね。富士山に登ったことは僕の人生における最高の思い出の一つになっているよ。そこで桜について学んで、山にいた人と桜についての話もしたんだ。その旅では日本の重要な文化について多くのことを学んだ。富士山に登ったのは巡礼しているような心地だったよ。すごくクールだったね。これからの人生でずっと大切にしていく時間の一つだよ。それから、去年はサマーソニックにも出演した。バンドとしても、個人としてもこれまでで出演したなかで最高のフェスティバルの一つなんだ。だから、特別な思い出はたくさんあるよ」

トリスタン「そうだね。サマーソニックは本当に特別だった。ここ数年でも特に記憶に残っているショウだね。日本に行く時はいつだって最高だし、いつも出かけているんだ。通りを歩き回るんだよ。常にお腹が空いているから、通りを探索して、食べる場所を見つけるんだ。いろんな場所やバーを見て回るのは面白いし、僕にとっては最高の時間だよ」

新型コロナウイルスはバンドにどのような影響を与えましたか?自粛生活はバンドとしての絆を強めましたか?

ジェイムズ「コロナウイルスによって、ツアーに歯止めがかかったのは言うまでもない。多くの点で、アルバムを完成させることを余儀なくされたと思うし、それによってすべての曲について、あらゆる要素を見直すことになった。アルバム全体のコンセプトだったり、アートワークだったり、パンデミックがなければそこまで費やさなかったんじゃないかっていうくらい、そういったことに多くの時間を費やしたんだ。ロックダウンに入ってから最初に書いた曲が『マリード・イン・ベガス』だよ。移動できなかったなかでも希望の光となったのは、自分たちが何を伝えたくて、何を優先したいかについて考えることができたということだね。今は誰にとっても難しい時期だと思う。僕らはファンをどうにか支援する方法を考えているところなんだ。オンラインでのパフォーマンスだとか、そういうものができないか考えている。今は難しい時期だけど、最悪な状況を抜け出せられることを願っているよ。全員で一つになって、ウイルスに打ち勝つことができたら嬉しい。音楽業界がまた前に進めるようにね」

新作に影響を与えたアーティスト、作品はありますか?

ブラッド「あまりないかな。正直にいうと、インスピレーションを受けたものはそこまで多くなかった。自分たちだけで取り組んだという感じかな。自分たちの内側にインスピレーションを求めて、それを大きくしていったっていう。その時に、クールかつ自分たちにふさわしいと感じたことに取り組むんだ。そういうわけで、『アルバムはこういうサウンドでなければいけない』みたいな基準がたくさんなかったのは良かったよ。僕らは自分たちがそれまでに作ってきた曲のようなサウンドを目指したんだ。言っている意味分かるかい? (アルバムには)『ケミカルズ』という曲があるんだけど、これは去年の末に作ったんだ。そしてそれが、アルバムのDNAのようなものになった。音楽的にも、歌詞の面でもね。そうしたものを出来る限り押し広げていったんだ。そういうわけで、『ケミカルズ』が僕らにとって重要な曲になったということ。(君の質問に答えるなら)『そんなにない』っていうのが簡単な答えだよ」

『チェリーブロッサム』の収録曲で、それぞれのお気に入りの曲を教えてください。

ジェイムズ「『グローリー・デイズ』という曲には、いいメッセージが込められていると思う。これまで作ったことがないような曲なんだ。だから『グローリー・デイズ』かな」
トリスタン「正直、僕も今は『グローリー・デイズ』かな。最近はよく聴いているよ」
コナー「もう同じ曲は選べなそうだね。そうなると、僕は『ナッシング・バット・ユー』かな。エネルギーに満ちた曲だと思う。ライブで演奏したら最高だろうね」

ブラッド「うーん、僕は『ビター』を聴いているかな」
トリスタン「最高だよな」
ブラッド「うん。『ビター』を作るのはすごく楽しかったよ。毎回違うものになるんだよね」
トリスタン「毎回予算が変わるからね(笑)」
ブラッド「今は『ビター』が好きかな」
トリスタン「うん、あの曲は良いよ」

2021年にUKツアーを発表していますが、状況がクリアになった場合、日本でもツアーを予定していますか?

ブラッド「出来る限り早く行きたいよ。行ける状況になったら、すぐに行きたい。UKでの日程が実現することを願っているし、そうなれば、それが扉を開いてくれることになると思うから、他の国にもツアーに行けると思う。今は、みんなと一緒の空間にいられるようにするために出来る限りのことをしているよ。コミュニティのような繋がりを感じられるような取り組みをね。今はそういうことに取り組んでいるけど、日本へ行けるようになり次第、そっちへ行くつもりだよ」

2017年にアルバム『ナイト&デイ(ナイト・エディション)』が全英1位を獲得したり、2015年にはステディ・レコードを設立したりと、これまで様々なことを達成してきたわけですが、シーンをリードしていくバンドの1組として、新しいことを達成していく責任は感じていますか?

ジェイムズ「人生において達成目標やゴールを定めることは重要なことだと思う。僕らもずっとそうしてきたことには違いないけど、正直なことをいうと、僕らは常に忙しくして、何かに取り組み続けていたいんだ。僕らのやっていることの多くが衝動的にやっていることだと思うし、何かを感じたら、それにトライするようにしている。レコード会社のスタッフたちと一緒にね。ここまでのキャリアで成功を収められてきたのは、とても幸運に感じているよ。それから、僕らが達成したことを若手のバンドたちも達成できるよう、手を差し伸べたいとも思っている。そういうわけで、僕らは多忙だったり、自分たちを押し進めたりすることを楽しんでいるよ。今回のアルバムについても、そういうことが言えると思う。それと並行して、他のバンドも支援しているんだ」

画像: 2017年にアルバム『ナイト&デイ(ナイト・エディション)』が全英1位を獲得したり、2015年にはステディ・レコードを設立したりと、これまで様々なことを達成してきたわけですが、シーンをリードしていくバンドの1組として、新しいことを達成していく責任は感じていますか?

最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

ブラッド「ハロー!みんな大好きだよ。この不安定な時期に、みんなが元気でいてくれることを願ってる。アルバムを聴いてもらうのが待ちきれないよ。すごく誇りに思っている作品なんだ。みんなの美しい国にインスピレーションを得たんだよ。このアルバムにたくさん詰め込まれてる。出来る限り早く戻るからね。みんなのことが恋しいし、そっちへ行きたいよ。今は僕たちからの愛をみんなに送る。無事でいてね。すぐに会おう。ダイスキ!」

ザ・ヴァンプス
最新アルバム『チェリーブロッサム』発売中

画像: 最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。

(フロントロウ編集部)

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