タンポンの“出し忘れ”が思わぬ事態を招くことに
タンポンの長時間の使用が原因で、敗血症の一種である「トキシックショック症候群(TSS)」を発症し生死を彷徨ったイギリスのエセックス在住の女性、エイミー・ウィリアムズ(24)が自身の体験談を英Daily Mailに語った。
さかのぼること約1年半前の2019年6月、恋人とデートに出かけたエイミーは、タンポンを交換するためにレストランのトイレへ。しかし、使用中のタンポンを交換しようとした際にヒモが見つからなかったことに加え、ちょっと酔っていたこともあり、“入れたと思ったけど入れてなかったんだ”と思い、新しいタンポンを挿入した。
それから数日間、何回かタンポンを使用したというエイミーは、5日が経過した頃に膣から鼻を刺すような臭いが漂っていることに気づき、シャワーで膣を入念に洗浄。しかし、それでも臭いが消えないことを変に思い、膣の中に指を入れたところ、指先に何かが触れたため「まさか…」と思いながらも、約1時間半にわたって痛みと格闘した末、自力でタンポンを取り出すことに成功した。
ひとまず安堵したエイミーだが、その日から徐々に体調が悪化しはじめ、激しい腹痛と吐き気に襲われたため病院を受診したところ、トキシックショック症候群との診断を受けた。医師から「もし病院に来ないで家に帰っていたら、二度と目覚めることはなかっただろう」と告げられたというエイミーの体調はみるみるうちに悪化。一時、敗血症による多臓器不全に陥るなど非常に危険な状態だったが、懸命な治療の甲斐あってなんとか一命を取り留めた。しかし、回復後もしばらくのあいだ生理不順や重い生理痛などの後遺症に悩まされたそうで、体調が普通に戻ったと感じられるまでに約1年かかったという。
知っておきたいタンポンの危険性
エイミーのように、すでに入れたことを忘れて、新しいものを入れてしまったという人はあまりいないかもしれないが、「交換するの忘れてしまった」「取り出すのを忘れてしまった」という経験をしたことがある女性は多いのではないだろうか。あまり知られていないが、タンポンの使用説明書には必ず黄色ブドウ球菌によるTSSになる可能性があることが記されている。
通常、黄色ブドウ球菌があっても、健康上何も問題がない場合がほとんどだが、ごく稀にTSSの発症にいたることがあり、場合によっては重篤な症状を引き起こすこともある。タンポンの使用だけでなく、切り傷や火傷で発症することもあり、男女関係なく誰でもかかる可能性がある。
タンポンの使用によるTSSの発症は、長時間の使用や出し忘れなどによって黄色ブドウ球菌が増殖し、毒素を作り出しやすくなることが原因。商品に添付されている説明書に従って使用することで、TSSの発症を軽減することができる。
名門エール大学のメリー・ジェーン・ミンキン医師は、米People誌のインタビューに「タンポンそのものに菌が含まれているわけではないので、使用上の注意をよく守り、健康に気を使っていれば問題はない」と、タンポンの使用に不安を感じる人たちにアドバイスをおくっている。(フロントロウ編集部)