ホラー映画の傑作『シャイニング』の続編となる映画『ドクター・スリープ』。原作者であるスティーヴン・キングは、映画本編でどうしても削除したいシーンがあったという。(フロントロウ編集部)

※この記事には、映画『ドクター・スリープ』のネタバレが含まれます。

傑作ホラー『シャイニング』

 ホラー映画『シャイニング』は、1980年に公開された同名小説の映画化。原作者は、ホラー作品の巨匠スティーヴン・キングで、監督は映画『2001年宇宙の旅』などのスタンリー・キューブリック。

 80年に公開された映画『シャイニング』は、ジャック・ニコルソン演じる小説家志望のジャックが主人公のサイコスリラー。ジャックはある冬、妻と子供を連れ、曰くつきの「オーバールック・ホテル」で一冬を越す管理人となる。しかし、次々に起こる怪現象によって精神が崩壊し、ついには妻子に襲いかかる。

 そんな恐怖の映画『シャイニング』から19年後を描いた続編の『ドクター・スリープ』は、ジャックの息子で、ユアン・マクレガー演じるダニーが主人公。“シャイニング”という超能力を持つダニーは、同じ能力を持つ少女アブラと出会い、特殊能力を持つ子ども達を餌食にする“トゥルー・ノット”と呼ばれるカルト集団からアブラを救うため、再び「オーバールック・ホテル」へ足を踏み入れる。

 『シャイニング』と『ドクター・スリープ』の原作を手掛けたスティーヴン・キングは、『ドクター・スリープ』の制作に深く関わり、監督のマイク・フラナガンに様々なアドバイスを行なっていたようだけれど、実は本編で一つ削除したかったシーンがあったという。

スティーヴン・キングが『ドクター・スリープ』で削除したかったシーン

 ポッドキャストの『The Kingcast』で、マイク・フラナガンは『ドクター・スリープ』制作中の出来事を語り、スティーヴンが削除したがったシーンについて明かした。

 それは、野球少年のブラッドリーが残酷に殺されるシーン。演じたのは、映画『ルーム』や『ワンダー 君は太陽』などでの演技力が高く評価されている名子役のジェイコブ・トレンブレイ。現在13歳の彼が『ドクター・スリープ』に出演したときは、12歳だった。

画像1: スティーヴン・キングが『ドクター・スリープ』で削除したかったシーン

 映画をスティーヴンに見せた時のことを振り返り、フラナガン監督はこう明かした。

 「映画の最中に彼が僕に耳打ちをした数少ないシーンのひとつは、ジェイコブ・トレンブレイが殺された時だった。彼は身を乗り出して『ちょっと残酷じゃないか?』と言った。僕は『クソッ。戻って編集しないと。何か穴埋めを探さないと』と思ったよ。そして僕らは実際にそうして、(シーンを)変えた。僕らが折れたんだ。彼が見たものでは、現在のバージョンより2回多くジェイコブが映る。つまりあと2回刺されていた。それをカットしたのさ」

画像2: スティーヴン・キングが『ドクター・スリープ』で削除したかったシーン

 フラナガン監督によると、スティーヴンはこの映画について他に大きな提案はしていないという。フラナガン監督は続けて、「(スティーヴンが)口にした映画に対するコメントはそれだけだ。彼は『あれは痛い…。確かに君がいう通りあのシーンは必要だ。でも、僕はこれを妻に見せることをためらう。だから引くことを考えた方がいい』と言った。そして彼は正しかった。あのシーンは熱心なホラー映画ファンにとってさえ見るのは辛いものだ。しかしあの残酷なシーンが映画のストーリーにとってどれほど重要なものであるかについては、キング氏の言う通りだ」と、物語の演出において残酷性が重要であるがゆえに、慎重になったシーンでもあるという裏話を明かした。

 映画では、子供を殺してはいけないという不問律が存在する。基本的に、子供が殺害されるシーンは一種のタブーとして扱われているけれど、『ドクター・スリープ』にとっては、物語の鍵を握る重要なシーン。「ホラーの帝王」と呼ばれるスティーヴンでさえ慎重にならざるを得なかったそのシーンは、このようにして作り出されていたのだった。(フロントロウ編集部)

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