Photo:ゲッティイメージズ,スプラッシュ/アフロ,Instagram
ジョニー・デップが映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズで演じていたゲラート・グリンデルバルド役を降板し、同作から身を引くことを発表した。事情を説明したジョニーからの声明を全文訳。(フロントロウ編集部)

ジョニー・デップが『ファンタスティック・ビースト』を降板

 俳優のジョニー・デップが、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズへの今後の出演を辞退することを、インスタグラムで公開した直筆の署名入りの声明を通じて発表した。

 降板は、ジョニーが、自身を元妻で俳優のアンバー・ハードに対して暴力を振るった「Wife Beater(妻を虐待する者)」と呼んだイギリスの大衆紙The Sunの発行元であるNew Group Newspapers(以下NGN)を名誉毀損で訴えた裁判で、英裁判所がジョニー側の訴えを棄却したことを受けて決定したもの。

 ジョニーは、『ファンタスティック・ビースト』シリーズの製作・配給元であるワーナー・ブラザースの要請により、同シリーズで演じた“闇の魔法使い”ゲラート・グリンデルバルド役を降りることを決断したと声明の中で説明したほか、アンバーへのDV疑惑に関して、自身の潔白を晴らすために上訴する意志を明らかにした。

 以下、ジョニーの声明をフロントロウが全文訳。

「最近の出来事を踏まえ、下記に手短にコメントしたいと思います。
 まず第一に、私に支持や忠誠を恵んでくださっているみなさんにお礼を申し上げます。みなさんが、とくに、ここ数日の間に送ってくださった愛やご心配のメッセージには、とても感動し、有難く思っています。
 そして第2に、ワーナー・ブラザースから『ファンタスティック・ビースト』で演じたグリンデルバルド役を辞退して欲しいとの要請があり、私はそれを尊重し、リクエストに応じることにしたことをお知らせします。
 最後に、これは言わせてください。イギリスの裁判所が下した非常に理解し難い判決が、私が真実を伝えるための戦いを変えることはありません。私が上訴を計画しているということを、ここに認めます。
 これからも、私の決心は固く、自分に対してかけられている疑惑は真実ではないと証明してみせます。私の人生とキャリアが現時点で定義されてしまうということはありません。お読みいただき、ありがとうございます」

 イギリス人作家J・K・ローリング著の児童小説を映画化し、空前の大ヒットを記録したファンタジー映画シリーズ『ハリー・ポッター』のスピンオフ作品として、2016年には第1作目の『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、2018年には『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』が公開された『ファンタスティック・ビースト』シリーズ。同作で、ジョニーが演じた、グリンデルバルドは、ストーリーが語られるうえで、かなり重要なキャラクターとして知られる。

 同シリーズへの出演が決定した際には、すでにアンバーとの離婚裁判やDVをめぐる疑惑が世間を騒がせており、渦中のジョニーがキャスティングされたことには、一部で抗議の声が上がった。

 名誉棄損裁判の発端である、The Sunがジョニーを「Wife Beater」呼ばわりした2018年の記事の見出しも、ジョニーの『ファンタスティック・ビースト』へのキャスティングの適正に疑問を示したものだった。


グリンデルバルド役には別の役者を 新作の公開は延期

 ワーナー・ブラザースは、米メディアへの声明を通じ、ジョニーの降板を認めたうえで「これまでのジョニーの同作への貢献に感謝しています」とコメント。さらに、グリンバルド役は別の俳優に引き継がせる意向を明らかにした。

画像: 2018年のコミコンにグリンデルバルド姿でサプライズ登場したジョニー。

2018年のコミコンにグリンデルバルド姿でサプライズ登場したジョニー。

 さらに、同社は、2021年11月12日に予定されていたシリーズ第3作目『Fantastic Beasts and Where to Find Them 3(原題)』の公開を2022年夏まで延期することも発表した。


アメリカでの裁判は予定通りか

 今回の声明で上訴を宣言したNGNを相手取ったイギリスでの裁判とは別に、ジョニーは、アメリカで、アンバー本人を相手取って損害賠償を求める裁判を起こしている。

画像: 7月、英裁判所の前で名誉棄損裁判の行方を気にする群衆に向かって手を振るアンバー・ハード。

7月、英裁判所の前で名誉棄損裁判の行方を気にする群衆に向かって手を振るアンバー・ハード。

 こちらの裁判は、2021年1月11日から1月28日に行なわれることが予定されており、ジョニーは、その日程と『ファンタスティック・ビースト』新作の撮影期間が重複してしまうため、裁判の日程を3月から6月のあいだにずらすことを裁判所に求めていた

 しかし、同シリーズの降板により、スケジュールの問題は解決ということになりそう。米裁判所はジョニーからの要求には応じていないが、果たして?

 『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、原作者のローリング氏のトランスジェンダーに対して差別的な発言が物議を醸していることでも暗雲が立ち込めている。(フロントロウ編集部)

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