『ターミネーター』シリーズの中でも印象的な敵T-1000
映画『ターミネーター』は、未来で繰り広げられる人類と機械との果てしない闘いを描いたSF大作。1984年にジェームズ・キャメロン監督によって第1作目が制作され、2019年までに全6作品が公開されている。
本作のメインキャラクターを務めるアーノルド・シュワルツェネッガーは、シリーズを通して「ターミネーター」と呼ばれるアンドロイドの“T-800”を演じ、爆発的な人気を呼んだ。
続編の映画『ターミネーター2』は、1991年に公開された同シリーズ2作目の作品。キャメロン監督、アーノルド、サラ・コナー役のリンダ・ハミルトンというおなじみの顔ぶれに加え、ジョン・コナー役のエドワード・ファーロング、T-1000役のロバート・パトリックなど、新たなキャストも加わった。2019年には、『ターミネーター2』の正当な続編、『ターミネーター:ニュー・フェイト』が28年の時を経て公開され、大きな話題に。
シリーズの中では『T2』という略称でも呼ばれている『ターミネーター2』は、アカデミー賞で視覚効果賞、メイクアップ賞、音響効果賞、録音賞を受賞した名作。本作は、「未来で機械と人間の戦争を起こすかもしれない」といわれているジョンを巡って、再び死闘が繰り広げられる。
そんな『ターミネーター2』の悪役として登場するT-1000はジョンを消すために未来からやってきた最新型の殺人マシン。液体金属で体を自由に変形させられるだけでなく、武器も作ることができ、さらには他のものに擬態することだってできる。人間の感情や表情を模した行動も上手いT-1000は、そのインパクトや能力面から、『ターミネーター』シリーズの中でもトップクラスの敵キャラとして知られている。
ところが、もともとT-1000は初代の『ターミネーター』に出演予定だったということを知っている?
『ターミネーター』にT-1000が出演できなかった理由
キャメロン監督が最初に作り上げた『ターミネーター』の脚本は、映画版よりもはるかに野心的なものだったという。人間と機械との対決を描く基本的な部分は同じだけれど、いくつかの部分で違いが見られる。
最初の脚本では、人間のレジスタンスが、カイル・リースだけではなくあと1人送り込まれる予定だった。もう1人は比較的早めに死んでしまうが、サラとカイルはスカイネットが送り込んできた最初のターミネーターを倒したあと、さらにもう1人のターミネーター、つまり、T-1000と戦わなければならなかった。
しかしこのアイデアは、シリーズの第1作目にしては複雑すぎるもので、特にハリウッドでまだ大物ではなかったキャメロン監督には、このストーリーを描ききるだけの予算は用意されていなかった。
さらに1984年の特撮技術ではT-1000のような「液体金属」をうまく表現できないと考えたキャメロン監督は、最終的に脚本の規模を縮小。その変更が功を奏したのか、みごと作品は大ヒットとなった。
その後1991年になると、CG技術が飛躍的にアップし、キャメロン監督は『ターミネーター』で捨てたアイデアを再利用し、『ターミネーター2』の悪役にT-1000を抜擢したというワケ。
キャメロン監督の頭の中に、最初の段階からあの液体金属でできた恐ろしいターミネーターの構想があったなんて驚き。ぜひ『ターミネーター2』を見るときは、T-1000の素晴らしい見栄えに注目して。(フロントロウ編集部)