キーラ・ナイトレイ、女性が男性より稼げる職業は2つ
キーラ・ナイトレイ主演の映画『Misbehaviour(原題)』は、1970年にイギリスのロンドンで開催されたミス・ワールド世界大会で抗議活動を行なったフェミニストたちを題材とした作品。女性を外見でレベルづけすること、また、西洋の美の価値観で判断することなど、様々な視点から根深い問題にフェミニストたちが声をあげた。
しかし、人を外見でレベルづけするルッキズムは現代でも問題となって残っている。欧米ではルッキズムに対する意識が進んできているとはいえ、個人が言わなくても社会そのものの構造が女性たちにネガティブなメッセージを送っている。キーラは英Stellarのインタビューでこう話した。
「脚本を読んで、フェミニズムの第2波に普通に完全に共感した。一方で、私が1番稼いだのは(高級ブランドのシャネルの)モデルとして。10点満点で採点されるレッドカーペットに行って、カメラで身体の上から下まで撮られる。それは、現代で女性として生きるうえでの複雑さだと思う。
女性は男性より稼げる1番の、そしてたった1つの職業はモデル。もしくは性風俗。その事実こそ、若い女性にすべてを物語っている。あなたの外見は、あなたが言わなければいけないことや、あなたが考えていることより重要だと。それが、私たちがいまだに生きている世界」
1970年代が舞台の物語に2020年の現在でも共感できることや、同じ社会問題が存在するという事実に苦い様子でコメントしたキーラ。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズや『ベッカムに恋して』、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』など、数々の作品に出演してきた俳優だからこそ、ショービズの世界の難しさや、その世界が世の中の女性たちに与えている影響について語った。
これからの世代になにができるか
キーラはもちろん、モデルや性風俗という職業を否定しているわけではない。ただ、その2つの職業以外では男性より稼げる可能性、つまり評価される可能性がかなり低いということを問題としている。男性であれば、モデルという職業だけでなく、例えば工学から文学まで、様々な分野の職業の可能性を頭の中に描いて成長することができる。
そして評価されている女性の姿を見ることが少ないこと、評価されている女性は外見が重視されることを見て育つことは、少女たちの価値観に影響するのは当たり前。勉強をしても評価されず、外見を磨いたほうが評価されるとされていれば、外見磨きに時間を割くほうが効果的に思える。こういったカタチで社会の構造的に女性が差別されていることは、すでに何十年にもわたって指摘されており、だからこそ表面的ではなく社会の在り方そのもので女性差別を改善していかなければならない。
ちなみに、女の子を育てているキーラは、お金持ちの男性に助けてもらおうとすることや、男性のために自分の声を失うというストーリーに反対して、子供にディズニー映画の『シンデレラ』と『リトル・マーメイド』を見せることを長年禁止していた。しかし今年で5歳となった娘にはさすがに解禁し、『眠れる森の美女』を見た娘が、王子が眠っているオーロラ姫に勝手にキスしたことに怒ったことに大感激していた。(フロントロウ編集部)