1. DV、極貧…ヘビーすぎる幼少期
オーストラリア・メルボルンで誕生したルビーの家庭環境は、決して良好とは言えなかった。父はドラッグに溺れ、頻繁に母カティアに暴力を振るっていたという。
2015年に行なった米Porterとのインタビューで「私は両親にとって、サプライズだったんだ。彼らには、子どもを持つ準備ができていなかった」と語ったルビー。「ママは1年くらいしてパパの元を去った。私たちにはお金がなくて、パパは全然良い人ではなかった。ママは私の安全のために、彼の元を抜け出したんだ」と、当時まだ20代前半だったカティアが、ルビーの身にも危険がおよぶことを恐れて、父親との別れを決意したことを明かしている。
お金が無かったルビーの母カティアは、仕方なく盗んだテレビを質に入れて、親族の家に向かうための飛行機代を捻出。ルビーはその時のことについて、「(親族の家の)玄関に到着したとき、私たちは栄養失調だった。ママの両目には黒いアザがあって、私はホラー映画に出てくるような、汚くて、今にも誰かに噛みつきそうな子供だったらしい」と語っている。
2. 「人と違う」ことを理由に壮絶ないじめに遭う
『BATWOMAN/バットウーマン』では、バットウーマンことケイトは米軍陸軍士官学校で優秀な成績を収めながらも、同性の恋人ソフィとの恋愛が密告されて処分を受けてしまう。
ルビー自身は12歳の頃から、すでに女性を恋愛対象として見ていることをカティアに打ち明けていたというが、この頃から“人と違う”ことを理由にクラスメイトたちからの壮絶ないじめを受けるようになる。
ある時には、5人の女子生徒と1人の男子生徒が椅子でルビーに襲いかかり、その周囲では60人もの生徒たちが、いじめを制止することなく、面白がって野次を飛ばしていたそう。この事件でルビーは怪我を負い、病院送りになった。
数年後、ルビーの元には当時いじめに加担していた、もしくは見て見ぬふりをしていた元クラスメイトたちから謝罪の手紙が届いたそうで、ルビーは、彼らに「許す」と返信したという。“悪”の根底にあるものを理解し、許そうと試みる正義感は、バットウーマンに通じるものがある。
「彼らは、私がみんなと違うことが気に食わなかったみたい。別に嫌われていたわけではないと思うけど、目立ってたのがいけなかったんだね」—2015年、米Porterとのインタビューでいじめについて語って
3. 女か男かにこだわらない「ジェンダー・フルイド」を自認
近年では、自身のジェンダー(※)に関して、男性or女性と決めつけず、性別を流動的に自由に行き来する「ジェンダー・フルイド(Gender Fluid)」だと自認していると明言し、LGBTQ+コミュニティの一員として、人権向上を訴える活動も積極的に行っているルビー。
10代の頃には、“男性として生きたい”と考え、ジェンダー移行手術を受けるためにコツコツ貯金をしていた時期もあった。
「手術にかかる費用は2万ドル(約210万円)だった。私たちはものすごく貧しくて、私は5セント硬貨を見つけるたびに、性別を変えるための資金の足しにしていたよ」、「朝起きたら男の子になっていたらいいのにって、いつも願ってた。胸が大きくなるのが嫌で、脚を抱えて寝ていたこともある」—2014年、英Daily Mailとのインタビューで語って
しかし成長するにつれ、自分のセクシャリティやジェンダーについて納得がいく答えを見つけることができたため、“男性として生きたい“という思いに固執することはなくなり、現在はジェンダー・フルイドとしての自分を愛しているという。
※ジェンダー:生まれた時に割り当てられた性別(sex)に対し、社会的・文化的な性別のこと。
4. ファッションのモットーも「ジェンダー・フルイド」
「ジェンダー・フルイド」の定義について、2015年に「自分自身が(ジェンダーの)どちらかの対極に位置しているとは感じていないこと」と米Elleに持論を語り、「私は、ほとんどの部分において、自分をどのジェンダーにも当てはめるつもりはない。私は男じゃないし、女性だとも感じていない。でも、女性として生まれたというのは事実。だから、中間のどこかに位置してるんじゃないかな。両方の性別の“美味しいとこ取り”をしてるって感覚」と話したルビー。
ファッションでは、ボーイッシュな着こなしが多いものの、スカートを履いたり、レッドカーペットではドレスを着たり、性別の枠に囚われないおしゃれを楽しんでいる。
ルビーは、2014年、自ら監督・脚本・主演を手がけたショートフィルム『Break Free(ブレイク・フリー/解放)』を発表。「ジェンダーフルイド」をテーマにしたこの作品で、ルビーは女性と男性の性別を自由に行き来して見せ、話題となった。
最近では、カラフルで遊び心を感じる着こなしが多いルビー。2020年7月のプライド月間には、カジュアルフットウェアブランド「クロックス(Crocs)とのコラボで、LGBTQ+のシンボルであるレインボーカラーを取り入れたコレクションを発表し、即完売するほどのヒットとなった。
5. ヘアスタイルのバリエは無限大
『BATWOMAN/バットウーマン』では、ケイト・キーンとしてはクールなベリーショート、バットウーマンとしてはロングのレッドヘアを披露しているルビー。
そんな彼女はプライベートではさらに多くのヘアスタイルを楽しんでおり、グーグルの検索バーに「ルビー・ローズ」と入力すると、予測変換で「髪型」と出てくるほど、かっこいいルビーのヘアスタイルに憧れる人は多い。
おもにショートヘアが多いルビーだけど、そのバリエは豊富。サイドを刈り上げたツーブロックへアや鮮やかなカラーリング、落ち着いた印象のダウンアレンジ、ギーク風のボウルカット、ツートーンの坊主へアなど、さまざまな髪型にチャレンジしている。
6. 目指すは世界平和! 私生活ではリアルヒーロー
ドラマでスーパーヒーローを演じるルビーは、プライベートではリアルヒーロー!
LGBTQ+コミュニティの人権向上はもちろん、ブラック・ライヴズ・マターをはじめとする人種差別、動物愛護、移民問題、気候変動、メンタルヘルスと、すべての人や生き物にとって暮らしやすい社会を目指すさまざまな活動に積極的に参加している。
警察による過剰な暴力の行使により亡くなった無実の黒人被害者たちの名前が書かれたTシャツでを着用し、警察改革を求めるムーブメント「ディファンド・ザ・ポリス(Defund the Police)」への支持を呼びかけて。
インスタグラムストーリーを通じて、1日に1回は社会問題を取り上げた投稿を行なっているルビーは、故郷オーストラリアの政府が発足した若者のメンタルヘルス問題に取り組むプロジェクト「ヘッドスペース」のアンバサダーを務めたことも。
さらに、スケジュールが許すときは、毎年、ラオスやアフリカの国々へと旅し、動物愛護やいじめ撲滅に関するボランティア活動に参加。2016年3月の誕生日には、カナダ・トロントにあるLGBTQ+センターで利用者に食事を配布するボランティアに精を出した。
2020年1月には、干ばつなどの異常気象の影響で前年の秋から続き、甚大な被害を出したオーストラリアでの森林火災の救済支援のため50,000ドル(約520万円)を寄付したこともニュースになった。
7. 恋多きロマンチスト、過去に4度の婚約歴
『BATWOMAN/バットウーマン 』では、ケイトは元彼女のソフィを一途に思い続けるけれど、ルビー自身もじつは、深くストレートに相手を愛するタイプ。
すぐに将来を考えるタイプらしく、かつて交際していた4人の恋人と結婚を見据えて婚約に至っている。
2009年にはモデルのリンゼイ・アン・マクミラン、2010年にはモデルのキャサリン・マクニール、2011年にはファッション・ジャーナリストのリア・ベル・キングと、毎年別の恋人と婚約。そして、2014年には、映画『チャーリーとチョコレート工場』の原作者であるロアルド・ダールの孫娘であるフィービー・ダールと出会って2ヵ月で婚約した。
フィービーが米Peopleに語ったところによると、ルビーは「I love you(愛してる)」という言葉を言うよりも先に彼女にプロポーズしたそうで、フィービーは4回もルビーのプロポーズを断った後、ようやく婚約に応じたという。
ルビーとフィービーは安定した交際を続けていたものの、2015年、ルビーの仕事が多忙になってしまったことで別々の道を歩むことを決意。婚約破棄し、友好的に別れたことを公表した。
そのほかには、2016年にはモデル兼実業家のハーレイ・ガスマンとのひと夏の恋を楽しみ、シンガーのデミ・ロヴァートやホールジーとのロマンスも報じられるなど、とにかくモテモテなルビー。
最近では、ハリウッド進出前の2009年に交際していた双子の女性ロックバンド、ザ・ヴェロニカズのジェシカ・オリグリアッソと、2016年のMV撮影をきっかけに再会したことでロマンスが再燃。約1年半交際したものの、2018年春に破局した。
現在は、特定の恋人はおらず、シングルを謳歌しているよう。
8. モデル、テレビ司会者、DJ、シンガー
役者デビューするまでの下積み時代が結構長い
ルビ―が人前に出る仕事を始めたのは、16歳だった2002年に故郷オーストラリアのティーン向け雑誌Girlfriendの専属モデルに選ばれたのがきっかけ。
その後、しばらくモデルとして活躍し、有名コスメブランド、メイベリン(Maybelline)の広告塔なども務めたルビーは、2007年に豪MTVのVJ(ビジュアルジョッキー)の座を勝ち取り、国内にその名を知らしめた。
スターの登竜門とも言われるMTVのVJになるためには、2000人以上の応募者が集まったオーディションを勝ち抜かなければならなかったそう。おバカで過激なチャレンジなどで一世を風靡したMTVのリアリティ番組『ジャッカス』のスター、バム・マージェラが監修した、このオーディションの内容がなかなか異色で、志願者たちは、ほぼドッキリのようなテストに挑戦しなくてはならなかったという。
ルビーは、豪news.comとのインタビューで、「私のお気に入りは、100分間でショットグラス100杯分のビールを飲むっていうチャレンジ。で、案の定、国民的テレビ番組中に嘔吐するっていう…。もし私のおばあちゃんが番組を見てたら、ビックリしただろうね」と笑いながら、当時を振り返っている。
約4年にわたってMTVのVJを務めたルビーは、その後、モデル・オーディション番組『Australia's Next Top Model』の共同司会者やDJ、シンガーなどマルチに活動。
2013年頃から、俳優業にもチャレンジしはじめ、2015年に出演したNetflixのオリジナルドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』で一気にブレイク。役者としての道が開けた。
9. 異色の友情⁉ 大先輩ヴィン・ディーゼルとの絆
気さくで誰とでも分け隔てなく接する性格のルビーは、シンガーのテイラー・スウィフトやエド・シーラン、俳優のニーナ・ドブレフ、ゼンデイヤ、カーラ・デルヴィーニュ、モデルのジジ・ハディッドなど、ハリウッドにも友人がたくさん。
そのなかでも、異色なのが、映画『トリプルX:再起動』で共演した大先輩のマッチョ系俳優ヴィン・ディーゼルとの家族同然の熱い友情。
ルビーはヴィンを「世界で一番お気に入りの男性」と呼んでおり、『BATWOMAN/バットウーマン』の撮影現場では、『ワイルド・スピード』の撮影現場でのヴィンのリーダーシップをお手本にしたそう! ルビーはこのことについて、「誰かが(撮影場所である)バンクーバーに到着するたびに、その人をディナーに連れ出して脚本や人生について、自分について語り合い、親交を深めた」と米Varietyに明かした。
一方のヴィンもルビーを溺愛しており、ルビーが2019年にオーストラリアンズ・イン・フィルム・アワードを受賞した際には、出張先のイギリス・ロンドンから、わざわざ米ロサンゼルスで行なわれた授賞式に駆けつけ、「ルビーのことが本当に大好きなんだ。僕はルビーにとってテディベアのような存在で、ルビーは僕にとってブランケットのような存在」と独特のスピーチでルビーへの愛を表現し、祝福した。
10. 貯金をすべて「心のケア」に
メンタルヘルスの問題に真剣に向き合う
ルビーが男女問わず、さまざまな人々に愛される理由の1つには、ミステリアスな魅力を放ちながらも、自身の内面を正直にさらけ出す勇気を持っているという点もある。
幼い頃に親族から性的虐待を受け、10代の頃には自殺を考えたこともあったと2013年に豪Daily Telegraphに明かしたルビー。実際に何度か自殺を試みたことも何度かあるというルビーは、これまでに、うつ病や複雑性PTSD(※)、そしてトラウマやストレスによって引き起こされる記憶喪失である「解離性健忘」と医師から診断を受けたという。
※DVなどの暴力や児童虐待など長期反復的なトラウマ体験者にみられる、感情などの調整困難を伴う心的外傷後ストレス障害(PTSD)
2016年に、インスタグラムで、人生を通して心の問題と闘っていることに言及したルビーは、ある時、どん底を経験し、「人間であることに失敗してしまったと感じた。どうしていいかわからなかった、だから私はアメリカへと渡り、トラウマ専門のセラピストの力を借りることにした。それまでの人生で貯めたお金のほとんどを投じて、膨大な費用がかるリハビリやたくさんのセラピーを受けたんだ」と、貯金のほぼすべてをメンタルヘルス・ケアに費やしたことがあると告白。
2019年10月10日の世界メンタルヘルスデーには、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』に出演する直前の2016年に撮影されたという、点滴や呼吸用チューブが繋がれた痛々しい写真を公開し、最後にはこう綴った。
「私がメンタルヘルスとの闘いで学んだのは、自分がどれだけ強いかということ。私を愛し、支えてくれる人々の存在がどんなに素晴らしいものかということ。そして、メンタルヘルスの問題について理解できない、知らない人についても決めつけてはいけないということ。他人がどんな問題を抱えているかは、誰にも分らない。だからこそ相手について勝手に判断してはいけない。何よりも大切なのは、セルフラブ(自分を愛すること)とセルフケア(自分をいたわること)」
11. 子供の頃からバットマンが大好き
子供の頃からアメコミ好きだというルビーにとって、最も思い入れが深いヒーローが、バットマンだった。
ルビーの母カティアは、なんと幼い頃コウモリを飼っていたことがあるそう。傷ついたコウモリを世話し、自然に帰してあげた経験があるカティアは、20代で肩にバットマンのロゴのタトゥーを入れたという。
このエピソードについて2018年に出演した米トーク番組『Live with Kelly & Ryan』で明かしたルビーは、「うちにはお金がなかったから、私は自分でおもちゃを作って遊んでいたんだけど、段ボールをくっつけてバットウィングを作ったこともある。それを着けたまま寝たり、歩き回ったり、ママを目がけてどこかから飛び降りたりしてね。ぐちゃぐちゃに汚くなって、とうとうママが捨てるまで、何カ月もずっとそれで遊んでたな」と自作のバットマンのおもちゃを愛用していたことも明かした。
ルビーが明かしたエピソードをもとに再現された段ボール製のバットウィング。ルビーはこれに、ボロボロになった様子や幼い頃の自分への手紙を描き足して(写真2枚目)、自宅に飾っている。
まるで運命に導かれるかのように、DCコミックス発のレズビアンヒーローでもあるバットウーマン役に抜擢されたルビーは、キャスティングの報せを聞いて「号泣しそうだった」と2018年に米『ザ・トゥナイト・ショー』でコメント。
「こんなに感情的になった理由のひとつは、幼い頃からテレビを見ていて、自分と重ねられる人がいなかったから。ましてやスーパーヒーローなんてね」と、自身が子供の頃はLGBTQ+コミュニティの子供たちがお手本にできるキャラクターがいなかったことを挙げ、自分がバットウーマンを演じることで子供たちに夢や希望を与えられたら、と意気込みを表した。
ご存知の方も多いと思うが、ルビーはシーズン1をもって『バットウーマン』を降板。
シリーズを去るにあたり、これまでの『バットウーマン』のシーンが寄せ集められた動画を公開したルビーは次のようにコメントして有終の美を飾った。
「この旅についてきてくれてみんなありがとう。もしついてきてくれたみんなをタグづけするなら、1000個くらいタグをつけなきゃいけなくなる 。でも、キャストをはじめ、クルー、プロデューサーたち、そしてスタジオにありがとう。これは簡単な決断じゃなかったけれど、知っている人は知っている…。みんなに感謝せずにはいられなかったし、これが、テレビや私たちのコミュニティにとっていかに大きいことだったかも伝えたい。今は自分の選択で沈黙を貫いているけれど、みんなのことを敬愛していることだけはわかって。次のシーズンも素晴らしいものが出来ると思っている。(バットウーマンが身につけていた)カウルとケープをかけておく」
さまざまな経験を乗り越え、濃厚な人生を歩んできたからこそ、人々に希望を与えるヒーロー、バットウーマンを演じるだけの求心力と説得力があるルビー。
ルビーが息を吹き込んだ、クールだけど人間味溢れるバットウーマンことケイトや、迫力満点のアクションシーンも目白押しのドラマ『BATWOMAN/バットウーマン <シーズン1>』は、絶対に見逃せない作品。
まだ観ていない人は、シリーズ冒頭5分間の映像を収めたお試し動画で、ダークでスリリング、セクシーで華麗な魅力が満載の『BATWOMAN/バットウーマン <シーズン1>』の魅力をちょっとだけ体験してみて!
『BATWOMAN/バットウーマン <シーズン1>』
2020年8月19日(水) よりDVDレンタル開始&デジタル配信中
・DVDレンタルVol.1~Vol.5 (各2話収録/各話約43分)
・デジタルセル(シーズン1全話)
・デジタルレンタル(シーズン1全話)
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
■2020年10月14日(水)ブルーレイ発売/DVDレンタル&デジタル配信中
・ブルーレイ コンプリート・ボックス(5枚組)¥19,000 (税込)
【映像特典】未公開シーン集、コミコン2019
・DVDレンタルVol.6~Vol.10 (各2話収録/各話約43分)
発売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※ブルーレイ、DVDともに字幕のみ
『BATWOMAN/バットウーマン』公式サイト
https://warnerbros.co.jp/tv/batwoman/
(フロントロウ編集部)