フェミニストとして有名な俳優のジャミーラ・ジャミルが、自分は女性を見下していたと話した。(フロントロウ編集部)

I Weigh(アイ・ウェイ)の発案者であるジャミーラ

 ドラマ『グッド・プレイス』のタハニ役で有名なイギリス出身の俳優であり、テレビ司会者やモデルとしてマルチに活躍するジャミーラ・ジャミルは、2018年に女性の体型に口を出す社会風土に怒り、「I Weigh(アイ・ウェイ/私の重さ)」というムーブメントを始めた。

 事の発端は、リアリティセレブとして有名なカーダシアン姉妹の写真にそれぞれの体重を記載した写真がSNSで拡散されたこと。それだけでも充分に問題だけれど、そのコメントには、「キムは本当にあの体重に見える?!?あなたはどの体重?!?」と書かれており、ジャミーラは女性が体重で自分の価値を測らせられる社会に声をあげた。

 そこで彼女は「私の重さは」という言葉で始めた、あるリストを投稿。

画像: ©I_Weigh/ Instagram

©I_Weigh/ Instagram

 「大好きな友だちがいる/毎日笑う/仕事が大好き/正直に生きている/経済的に自立している/女性の権利のために声を挙げる/タプタプした二の腕が気に入ってる/メディアに自己嫌悪に陥りそうな悪口を書かれても、自分が好き」

 体重でなく、自分の“本当の重さ”を記すというジャミーラのムーブメントには多くの女性が賛同し、ジャミーラはフェミニストとしても有名になった。

ジャミーラ・ジャミル、自分はミソジニストだった

 そんな彼女が、米トーク番組『Red Table Talk(原題)』に出演。こちらもまたフェミニスト、そして人権派として知られる俳優のジェイダ・ピンケット・スミスと、その娘でモデルやシンガーとして活動するウィロー・スミス、そしてジェイダの母エイドリアン・バンフィールド=ジョーンズとの対談で、ジャミーラは、自分が過去にはミソジニー(※)に染まっていたと明かした。

 ※女性嫌悪と訳されることが多い。例えば、“女好き”と言われる男性であっても“女性の体”が好きなだけで、女性のことを人としては軽視している場合も非常に多く、それもミソジニーにあたる。また、女性自身もミソジニーであることは少なくない。オックスフォード辞書では、「女性に対する嫌悪、軽視、根深い偏見」とされている。

画像: ジャミーラ・ジャミル、自分はミソジニストだった

「私はミソジニストだった。成長する過程で、女性に対して良い印象を持っていなかった。女性を見下して話してた。女性はいつだってドラマを作り出すと思ってた。自分のなかに怒りがあって、その矛先を女性という最も近くて、最も簡単なターゲットに向けていた」

 そう話したジャミーラは、実際に自分が過去にしていたツイートで、様々な女性シンガーを侮辱していた証明があるとし、画面にはそのツイートが。

 個人の価値観は、生まれた時から持っているものではない。社会が女性蔑視であれば、当事者である女性すらも女性蔑視な価値観に陥ってしまう。現在は成長したというジャミーラも、過去の発言が炎上したこともある。自分の価値観の変化や経験から、人は成長できると、ジャミーラは語った。

女性のなかにも女性差別はある

 自分自身の中にある女性蔑視への気づきを明かした女性セレブは他にもいる。フェミニストで有名なモデルのエミリー・ラタコウスキーは、“神ボディ”と称される自分の身体を利用して、ハリウッドの元大物プロデューサーで性犯罪者のハーヴェイ・ワインスタインを批判したり、2019年にアメリカのアラバマ州で可決された中絶禁止法を批判したりしてきた。

画像: 腕に「Fuck Harvey(くたばれ、ハーヴェイ)」と書いてカメラの前に登場したエミリー・ラタコウスキー。

腕に「Fuck Harvey(くたばれ、ハーヴェイ)」と書いてカメラの前に登場したエミリー・ラタコウスキー。

 一方で、幼少期の頃を振り返った際には、「私にはこの体以上の価値があることを世界に教えて欲しかった」と語るなど、現在のスタンスに辿りつくまでには、多くの葛藤があったことも明かしている。そんな彼女は、デミ・ムーアの自伝を読んだ時に、自分の中にある女性蔑視に気がついたと話した。

「最近では、声を上げる人も多くなってきた。自分たちの中にある女性に対するイメージが、どれだけ根深いものかってことだよね。私だって、その価値観のなかに落ちたことがあるんだから。(中略)デミ・ムーアについて、偏った推測を持っていたことに気がついたの。女性俳優としての彼女に対して、多少なりとも決めつけがあった。彼女はセクシーで、あの体型だから。私はエミラタなのによ。これってすごく皮肉的でしょ。どれだけ(女性自身の)内面にも根深く女性軽視があるかってことだよね」

 侮辱するまではいかなくとも、ステレオタイプなイメージを持ってしまうことは多い。女性であっても、自分のなかの女性差別的な価値観と向き合う意義は大きい。(フロントロウ編集部)

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