メーガン妃が第2子を流産を告白
夫ヘンリー王子とともにイギリス王室の公務から退いたメーガン妃が、日本時間11月25日に公開された米New York Timesに寄せたエッセイ『The Losses We Share(私たちが共有する喪失)』のなかで、7月に流産を経験したことを初告白した。
5月に1歳を迎えた長男アーチーに次ぐ第2子を妊娠していたというメーガン妃は、流産が起きた日のことを振り返り、「抱えきれないほどの深い悲しみ」を経験したと明かした。
「あれは、7月のいつもと同じように始まった、ある朝のことでした。朝食を作り、犬に餌をあげ、ビタミン剤を飲み、どこかに行ってしまった片方の靴下を探し、テーブルの下に転がっていたクレヨンを拾い、息子をベビーベッドから抱き上げる前に、自分の髪をポニーテールに結いました。
息子のオムツを替えた後、お腹に鋭い痛みが走るのを感じました。私は息子を腕に抱いたまま、床に崩れ落ちました。息子と自分自身を落ち着かせるため、子守歌をハミングしましたが、その朗らかな音色とは対照的に、私は、何か良くないことが起こっているのを感じていました。1人目の子供を腕にしっかりと抱きながら、2人目の子を失おうとしていることに、私は気づいていました。」
突然起きてしまった自宅での流産について、そう説明したメーガン妃は、その数時間後、病院のベッドに座り、ヘンリー王子と手を取り合って悲しみに暮れながら、どうやったら立ち直ることができるだろうと、想いを巡らせていたことも振り返っている。
「私たちの涙で濡れた彼の拳にキスをしました。白く冷たい壁をぼんやりと見つめながら、私は、どうやったらこの痛みを癒すことができるだろうと想像しようとしていました」。
深い悲しみの中で得た「気づき」
第2子を失ったことを知った直後、メーガン妃は、ふいに、2019年にヘンリー王子&アーチーとともに訪問した南アフリカで、同行したジャーナリストに「大丈夫ですか?(Are you OK?)」と聞かれた際、当時、疲れ切っていた自分が「大丈夫かと聞いてくれる人はあまりいませんでした」と答えたことを思い出したという。
「病院のベッドに腰掛け、私の粉々になってしまった心を一生懸命拾い集めようとしていた夫の心が砕けてしまうのを見ながら、私は気づいたのです。私たちが傷を癒すために踏み出せる唯一の第一歩は『大丈夫?』と尋ねることだと」。
「大丈夫?」と気遣うことが、自分や誰かの心の痛みを少しでも軽減することができる、最初の手段だと気づいたというメーガン妃は、この言葉は、自分たちのように流産などにより子供を失った親たちの悲しみだけに限らず、さまざまな場面で人々の心を救うことができるはずだと言及。
新型コロナウイルスのパンデミックに始まり、黒人に対する差別に抗議するムーブメント「ブラック・ライヴズ・マター」の活性化など、世界中の人々が激動の1年を過ごすこととなった2020年。例年とは違い、家族や友人とは離れて年末年始を過ごす人も多い。メーガン妃は、多くの人が孤独や悲しみを感じている今だからこそ、誰かに対して「大丈夫?」と声をかけ、返って来る答えに耳を傾け、喪失感や痛みを共有し合うことが大切だと綴った。
子供を失った悲しみを明かす理由
エッセイの中で、「子供を失うということは、抱えきれないほどの深い悲しみを背負うこと。たくさんの人たちが経験しながらも、その多くは語られていません」とも述べたメーガン妃。
自分らの経験を通して、100人中20人もの女性が流産で子供を失うという悲しい出来事を経験していることを知ったというメーガン妃は、流産について語ることは「依然としてタブーとされており、(根拠のない)恥の意識に苛まれたり、独りで悲しみを循環させている」人が多いとも指摘している。
昨今、海外では、メーガン妃&ヘンリー王子夫妻のように、流産や死産、子供を失った悲しみについて、あえて世間に公表する海外のセレブや著名人が増えている。その背景には、たった1人、もしくは、夫婦や家族だけで抱えるには辛すぎる悲しみを、よりオープンに語れる土壌を築きたいという想いがある。
シンガーのジョン・レジェンドの妻でモデルのクリッシー・テイゲンは、10月に死産によって息子のジャックを失った際、亡骸を抱く写真を公開し、悲痛を露わに。
これには、賛否があったものの、同じような経験した女性からは、「流産や死産の話題がタブーのように扱われているなかで、クリッシーのニュースを見て“自分だけじゃない”と知り、心が救われた人もいると思う」という意見も寄せられた。
子を失った悲しみを癒す方法は人それぞれで、誰かに話すことで悲しみや辛い記憶が蘇り、再び苦しい思いをしてしまうという人もいる。しかし、たった一人でずっと抱え込むよりも、信頼できる誰かに話すことで、少し心が軽くなる場合があることも確か。メーガン妃が自身の流産を世間に公表したのは、彼女なりの治癒の一環でもあるのかもしれない。(フロントロウ編集部)