エレン・ペイジの名前で活動していた俳優がトランスジェンダーであることを公表。今後、活動していくうえで名乗る新たな名前も明らかにした。(フロントロウ編集部)

エレン・ペイジからエリオット・ペイジへ

 ドラマ『アンブレラ・アカデミー』でNo.7ことヴァーニャを演じ、映画『JUNO/ジュノ』や『インセプション』への出演でも知られる俳優が、トランスジェンダーであることをカミングアウトした。

 SNSで公開したファンへの長文メッセージのなかで、自身のジェンダーについて、生まれた時に割り当てられた“女性”ではなく、“男性”だと自認していることを明かし、今後は、これまで名乗ってきた「エレン・ペイジ(Ellen Paige)」ではなく、「エリオット・ペイジ(Elliot Paige)」として活動していくという意向を明らかに。さらに、トランスジェンダーの人々が日々直面している差別やハラスメントに言及し、それを容認したり擁護したりする権力者たちに物申した。

 エレン改めエリオットが綴ったメッセージをフロントロウが全文訳。

「こんにちは、みなさん。私はトランスジェンダーであり、私の三人称は「he(彼)」もしくは「they(彼ら/それら)<※>」、そして、私の名前はエリオットだということをお伝えします。このメッセージを書いていること、ここに居られること、自分の人生においてこの場所に辿り着けたことを幸運に思っています。
 これまでの旅の過程で、私を支えてくれた素晴らしい人々への感謝で胸がいっぱいです。本当の自分を追求できるほど、ついに自分自身を愛せるようになったこの喜びは、言葉では表しきれません。これまで、トランスコミュニティの人々には、ずっと感銘を受け続けてきました。この世界をより包括的で慈悲深い場所にするため、絶え間ない努力続けてくれたみなさんの勇気や寛容さに感謝します。私自身も、より平等で愛に溢れた社会を築くために、できる限りの支援を行なっていくつもりです。
 それと同時に、(世間の)みなさんには、いましばらく辛抱していただけるようお願いします。私の喜びは本物ですが、壊れやすいものでもあります。本当のところ、今、私は、心から幸せを感じ、自分に与えられた恩恵に感謝していますが、一方で、不安も感じています。私は、自分に向けられるかもしれない(プライバシーへの)侵襲や憎悪、嘲笑や暴力を恐れているのです。
この喜びに満ちた祝福の瞬間を湿った雰囲気にする気はさらさら無いのですが、(トランスジェンダーを取り巻く)全体像について言及しておく必要があるでしょう。統計には信じがたい結果が出ています。社会には、トランスジェンダーの人々に対する陰湿で残酷で、恐ろしい結果を招くような差別が蔓延しています。2020年だけでも、少なくとも40人ものトランスジェンダーの人々が殺害されました。そのほとんどが黒人かラテン系のトランス女性です。
トランスジェンダーの人々のヘルスケアを犯罪化し(法律によって禁じ)、存在する権利を否定しようとする政治指導者たちや、トランスコミュニティに対して敵意を剥きだしにし続けているインフルエンサーのみなさんに言いたい。あなたちには彼女たちの死に対して責任があると。あなたたちが解き放つ卑劣な猛威や屈辱的な怒りは、自殺を試みたことがあるという大人の割合が40%を超えるトランスコミュニティの肩に降りかかっています。もう限界なのです。あなたたちは“キャンセル”されているわけじゃない。人々を傷つけているのです。私もそんなコミュニティに属する人の1人です。あなたたちからの攻撃に直面するなか、私たちはこれ以上、黙ってはいられません。
私は、トランスジェンダーである自分を愛しています。クイアである自分も愛しています。自分をより強く抱きしめ、自分が誰なのかを受け入れ、夢を描き、心を育てれば、目標に向かってより力強く前進することができます。ハラスメントや自己嫌悪、虐待や暴力の脅威に日々さらされているトランスジェンダーのみなさん、私にはあなたの姿が見えています。私はあなたを愛しているし、この世界をより良い場所にするために、できる事はすべてやるつもりです。

読んでくださって、ありがとうございます。

すべての愛を込めて エリオット 

※性的指向がノンバイナリー(男性や女性どちらにも分類・限定されないジェンダー)である人に対して使われる三人称。

 これまで「エレン・ペイジ」として運用されていたインスタグラムやツイッターといったSNSもすでにエリオット・ペイジ名義に切り替わっている。


「キャンセル・カルチャー」に再び言及

 エリオットは、2014年2月に同性愛をカミングアウト。2017年に交際をスタートさせた女性ダンサーのエマ・ポーターと2018年に結婚した。

画像: 「キャンセル・カルチャー」に再び言及

 以来、LGBTQ+コミュニティの一員として人権向上を訴えてきたエリオットは、2020年8月に応じた英Stylistのインタビューで、LGBTQ+の人々が置かれている現状に言及したうえで、今回のメッセージにも登場した「キャンセル(・カルチャー)」について掘り下げていた。

キャンセル・カルチャーとは?
著名人や企業によって“問題”だとされる発言や行動があったときに、その問題の原因究明や解決を議論するのではなく、SNSを中心に集団で批判してその人や団体を「抹殺(キャンセル)」しようとする風潮。最近では、SNSでの過去の問題発言を掘り返す動きが加速し、時代などの脈絡を無視してその発言や行動のみを問題視し、批判するような事例も見られる。

 今回の声明で、差別を行なっている側の人間が、キャンセル・カルチャーを“隠れ蓑”にして被害者ぶろうとするケースもあることを示唆したエリオット。Stylistとのインタビューでは、「(誰かを)傷つけたり、被害を与えるような言動や行動をしてしまったとして、大きなプラットフォーム(※発言の場)を持っているような人であれば特にそうなんだけど、例え自分ではジョークのつもりでも、周りの人たちからその人たちがどう思ったかを伝えられることになる」、「そのせいで、自分が被害者になったような気分にはならないでほしい。自分が巨大な特権を持っているような時には特にね」と語り、その知名度や権力が大きければ大きいほど、自分の言動が世間に及ぼすインパクトや、誤った行動を取った場合に下されるであろう社会的制裁について自覚し、責任を持つべきだと訴えていた。(フロントロウ編集部)

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