一大フランチャイズとなった『ジョン・ウィック』
2014年にアメリカで第1作目が公開され、現在までに3作品が公開。すでに5作目までの制作が決定しており、4作目と5作目は2021年初めより一気に撮影開始となる『ジョン・ウィック』シリーズは、さらに複数のスピンオフ作品の制作も発表されており、劇中で登場するコンチネンタル・ホテルの始まりを描くドラマ『The Continental(原題)』や、別の暗殺者が主人公で、シリーズの流れをくんだ映画『Ballerina(原題)』の計画が進んでいる。
人気フランチャイズとなった本作の見どころを聞かれると、まずはその勢い溢れるアクションをあげる人も多いけれど、やはり演じる俳優の力量があってこそ。そんな本シリーズで主人公のジョン・ウィックを演じるキアヌ・リーブスは、ハリウッドきっての“良い人”として知られている。だからこそ、殺し屋ながらも、妻が残した愛犬を殺されたことで復讐のために裏社会へ舞い戻るというストーリーラインにも深みがますというもの。
『ジョン・ウィック』あの出来事を全カットに?
しかしじつは、この愛犬の要素は、映画から全カットになるところだった! 脚本家のデレク・コルスタットが米Comicbookに話したところによると、スタジオ側が犬のアイディアに良い反応をしなかったそうで、監督のチャド・スタエルスキとデヴィッド・リーチが強くかけあったという。
「スタジオ側は正しくいきたかったんだよ。だから、『あの犬は抜きにしよう。殺し屋がリタイアから戻るということだけに集中しよう』と言われることがあった。でも犬との絆が描かれず、あのキャラクター(ジョン・ウィック)の根底にある魂や鼓動(の描写)もなく、そして犬との絆がキャラクターに与える軽さやユーモアなければさ。あれはカギだった。だからある時に、チャドとデイヴは闘って、それでいけるとなって、そして2人は正しかった」
監督たちが尽力したことで、犬の要素は残ることに。しかし観客の反応を見るまでは不安が残っていたという。
「最初の上映会までは、様々な角度からの反発が続いたよ。(上映会で)私たちは観客を見ていて、犬が死んだ時に観客の反応を確認したとき、『そうだろう。私たちは正しかった』ってなれたんだ。実際のところ、裏で多くの仕事がなされた作品を人々が見に行って、そして違う解釈をすることはとても多い。そしてきみは、そのことをただ受け入れるしかないんだ。でもこの作品では珍しいことに、私たちは情熱のために闘い、そしてそれは報われた」
1作目の『ジョン・ウィック』で描かれた犬好きな要素は、その後のシリーズ作品でも取り入れられており、さらにはシリーズのオリジナルグッズの「折りたたみドッグボウル」も作られたほど。監督たちの熱意は間違っていなかったといえる。(フロントロウ編集部)