コカ・コーラ社がトップに輝いてしまった「不名誉なランキング」に考えさせられる。(フロントロウ編集部)

コカ・コーラ社が2年連続で1位に

 売上高、ブランド価値ともに世界トップのソーダ飲料の座に君臨するコカ・コーラ。2020年も世界中の多くのファンたちに愛される一方で、前年に引き続き、またもやある“不名誉なランキング”の首位を獲得してしまった。

 コカ・コーラ社が2019年に引き続き、手にしてしまったのは、『世界で最も多くのプラスチックごみを排出している企業』という悪しき称号。

 プラスチックごみによる環境汚染問題の解決に取り組む慈善団体「ブレイク・フリー・フロム・プラスチック( Break Free From Plastic)」が、世界55ヵ国で実施したボランティアたちのゴミ拾いに基づく調査によると、収集された34万6494個のプラスチックごみのうち、全体の4%を占める1万3834個がコカ・コーラ社の製品のものだったという。これは、ほかの企業と比べると突出した数字で、2位のペプシ社と3位のネスレ社の数字を合算したものよりも多かった。

画像: コカ・コーラ社が2年連続で1位に

対策を講じていないわけではない

 英BBCによると、コカ・コーラ社は、年間約300万トンものプラスチック製パッケージを排出しており、これは、1分間にプラスチックボトル約20万本が排出されている計算となる。

 この埋め合わせのため、コカ・コーラ社は、2030年までに同社が使用するのと同量のプラスチックボトルをリサイクルすることを目標に掲げ、廃棄物を少なくするための技術開発の一環として、紙100%のボトル開発を進めるといった取り組みも行っている。

 しかし、その一方で、同社のCSO(サスティナビリティ責任者)を務めるベア・ペレス氏は、消費者離れや売り上げダウンにを招く恐れがあるとして、プラスチック製パッケージの完全排除はしないと、2020年初めに行われた世界経済フォーラム年次総会で宣言。排出量を減らすのではなく、リサイクルという視点から、問題に対処していく意向を表明している。

画像: 対策を講じていないわけではない

 ブレイク・フリー・フロム・プラスティックのエマ・プリーストランド氏は、「環境汚染をしている世界のトップ企業は、プラスチックごみ問題に関して真摯に取り組んでいると主張していますが、その一方で、依然として、有害なシングルユースのプラスチック製パッケージの排出を続けています」と、2020年の調査結果とともに報告。「コカ・コーラ社、ペプシ社、ネスレ社は、真の解決策を見つけるための主導者となるべきです」と上位3社を名指しにして、プラスチック排出量の削減を訴えている。

 海外から“リサイクル先進国”として熱い視線を集める日本では、日本コカ・コーラシステムズが同社の看板ドリンクブランドの1つである「い・ろ・は・す」のボトルに、世界初となる100%リサイクルペットボトルを採用。これは、使用済みペットボトルを回収し、また新たなペットボトルへと生まれ変わらせる“ボトルtoボトル”という方式を用いたもので、この技術がさらに進化すれば、容器の利便性を享受しながらも、環境に対する負荷を大幅に軽減することができると信じられている。

 環境破壊につながるプラスチックごみには、ご存知の通り、飲料メーカーなどが排出するペットボトル製のパッケージ以外にも、さまざまなものがある。それだけに、やはり、排出量削減とリサイクル技術開発の両面から取り組んでいくことが望ましい。(フロントロウ編集部)

※記事内の写真はすべてイメージです

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