都会の30代のラブストーリー『パリのどこかで、あなたと』
『パリのどこかで、あなたと』は、現代フランス映画界を代表するセドリック・クラピッシュ監督が、パリを舞台に、SNSでは埋められない孤独や仕事に対する不安を抱える30代の男女の葛藤と、過去を受け入れ前進する姿を描いたフランス映画。
主人公は、隣り合うアパートで一人暮らししている30歳のメラニーとレミー。2人は同じ電車に乗り、近所の同じ店で買い物をして、何度も道や駅ですれ違っている。それぞれが仕事や恋愛のストレスから睡眠に悩んでいて、孤独を抱えて生活しているのだけれど、壁を隔てた隣にいる相手の存在は知らない。なかなか人生が交差しない、不器用に生きる2人の男女の成長と出会いを描く。
がんの免疫治療の研究者として働く傍ら、プライベートではマッチングアプリで一夜限りの恋を繰り返すメラニーを、フランスの映画・テレビ・演劇界で活躍するアナ・ジラルドが熱演。一方で、倉庫で働くおとなしい性格のレミーを、第72回カンヌ国際映画祭で将来の活躍が期待される若手俳優に贈られるショパール・トロフィーを受賞し、フランスで人気急上昇中のフランソワ・シヴィルが演じる。
フランソワ・シヴィルのこれまで
2021年で31歳になるフランソワ・シヴィルは、映画の舞台である、フランス・パリ生まれ。演劇学校に通い舞台俳優として経験を積んだ後に、キャスティング・ディレクターの目に留まり、オーディションに見事合格し、16歳の時に『Le Cactus(原題)』で映画デビュー。
その後は、TVドラマを中心に活躍していたのだけれど、2014年にレニー・エイブラハムソン監督、マイケル・ファスベンダー&ドーナル・グリーソン主演のイギリスとアイルランド合作映画『FRANK -フランク-』に出演し、バンドのギタリストを熱演。第72回カンヌ国際映画祭で、将来の活躍が期待される若手俳優に送られる「ショパール・トロフィー」を受賞して国際的な注目を集めた。
続けて、アニエスカ・ホランド監督がパリを舞台に撮った2014年のTVミニシリーズ『ローズマリーの赤ちゃん』にも出演し、2018年には、『パリのどこかで、あなたと』の監督でもあるセドリック・クラピッシュがメガホンをとった映画『おかえり、ブルゴーニュへ』に出演。本作のヒロイン、アナ・ジラルドとは姉弟役で共演している。
2020年1月に公開されたサフィ・ネブー監督、ジュリエット・ビノシュ主演の映画『私の知らないわたしの素顔』では、50代のビノシュが年齢を偽ってSNSでアプローチする若い男性を演じ、年上の女性とは知らずに翻弄される姿が、女性の心を鷲掴みにした。
さらに今年9月に日本公開となったアントナン・ボードリー監督の映画『ウルフズ・コール』にも主演。人並み外れた聴覚“黄金の耳”を持つ、フランス海軍原子力潜水艦の分析官役を熱演し、マチュー・カゾビッツやオマール・シーといったフランスを代表する俳優たちとの共演を果たしている。
日本では2020年に3作も公開
これまでのキャリアは十分なフランソワだけれど、『パリのどこかで、あなたと』のレミー役はオーディションを受けて得た役柄。今までのナイーブで繊細な演技から一転、アクション映画でも通用する演技の幅と新たな一面を見せている。
フランソワにとって2020年は、出演作品が3作も日本公開された年。12月11日に公開された本作『パリのどこかで、あなたと』が、『私の知らないわたしの素顔』と『ウルフズ・コール』に続き、3作目となる。この作品のプロモーションとして初来日した2019年のフランス映画祭では、人懐こい笑顔と気取らない素顔を見せてくれたフランソワ。2021年には、フランスで大ヒットを記録した胸キュンラブストーリー、映画『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』が日本公開される予定。
2020年末〜2021年は、フランスで大注目の恋愛映画に立て続けに抜擢されているフランソワ・シヴィルの魅力に包まれて。
<作品情報>
映画『パリのどこかで、あなたと』
12月11日(金)より全国順次公開
(フロントロウ編集部)