2020年、ビヨンセとの「Savage」リミックスとカーディ・Bとの「WAP」の2曲で米Billboardの全米シングルチャートを制し、日本時間2021年2月1日に開催される第63回グラミー賞では、主要部門のうちの最優秀新人賞と年間最優秀レコード賞を含む計4部門にノミネートされているメーガン・ジー・スタリオン。今年も大活躍が予想される、2021年の最重要アーティストの1人であるメーガンを予習/復習するなら今のうちかも? メーガンについて知っておくべきトピックをご紹介。(フロントロウ編集部)

ラッパーの母のもとに生まれ、「Hot Girl Summer」でブレイク

 現在25歳のメーガン・ジー・スタリオンは1995年2月15日、ビヨンセの出身地としても知られるテキサス州ヒューストンに生まれた。

画像: 2018年、ニューヨークで開催された映画『ブラッド・ブラザー(原題/Blood Brother)』の上映会に出席したメーガン。

2018年、ニューヨークで開催された映画『ブラッド・ブラザー(原題/Blood Brother)』の上映会に出席したメーガン。

 メーガンの母親であるホリー・トーマスは、ホリー・ウッド(Holly-Wood)というアーティスト名で活動していた元ラッパー。米Complexによれば、メーガンはそんな母親の影響を受けて幼くしてヒップホップに関心を持つようになり、母親のフリースタイルの動画を観ながらラップを勉強したという。母ホリーは、2019年3月に脳腫瘍のために逝去。メーガンは当時、「世界一のママだった」とインスタグラムで母親を追悼した。

 メーガンが本格的にラッパーとして頭角を現し始めたのは2018年で、同年2月に地元ヒューストンのレーベル「1501サーティファイド・エンターテイメント」と契約。その勢いのまま、同年11月には、ヤング・サグらが所属するヒップホップの名門レーベルである300エンターテイメントとも契約。メーガンは、300エンターテイメントが契約した初の女性ラッパーとなり、シーンに衝撃をもたらした。そして、2019年9月に、地元ヒューストンが生んだスーパースターであるビヨンセの夫ジェイ・Zが主宰するロック・ネイションとマネージメント契約を結んだ。

  そして、2019年8月にリリースしたニッキー・ミナージュとタイ・ダラー・サインとのコラボ曲「Hot Girl Summer」が大ヒットとなり、ブレイクを果たした。

大学生との“文武両道”

 メーガンはラッパーとして活動する傍ら、現在も地元ヒューストンのテキサス・サザン大学で勉学に励んでいる。

画像: 大学生との“文武両道”

 自身の祖父が曽祖母の介護をする様子を目の当たりにして育ったメーガンは、将来、終末期医療に特化した施設を作りたいという目標を持っており、大学では医療経営を学んでいる。

 メーガンは以前、ラッパーとしての活動が多忙になった今でも大学に通い続けている理由について、2019年3月に母親を亡くしたことに言及しながら、「大学はちゃんと卒業したい。ママに私のことを誇りに思って欲しいから。生きているあいだ、私が学校に通う姿をずっと見守ってくれたから」とした上で、「それにまだ生きているほうのおばあちゃんは、昔先生をやってたから私が卒業することを強く望んでる。大学卒業は自分のためでもあるけど、今の私を作ってくれた家族や親戚の女性陣全員のためでもある」と米Peopleに明かしている。

 実際、メーガンはかなり勤勉な学生であるようで、昨年12月にビルボード・ウィメン・イン・ミュージック2019に出席した際には、大学で期末テストを受けてから会場に向かったため、遅刻してしまったというエピソードも。

 また、教育を受けることの大切さを知っているメーガンは今年10月、「ドント・ストップ奨学資金(Don't Stop Scholarship Fund)」と銘打った有色人種の女子学生のための奨学金も設立した。

銃撃事件の被害者

 米現地時間の2020年7月12日、メーガンは悲劇的な事件の被害者となった。メーガンはこの日、車に同乗していたラッパーのトリー・レーンズから銃撃を受けたとされ、警察によって病院に搬送されて、銃弾を取り除く手術を受けた。

画像: 銃撃事件の被害者

 トリーは事件後、一貫して自身の関与を否定していたものの、2020年10月に行なわれた最初の裁判で、半自動式小火器を用いた暴行罪と、車両に装填された銃を隠し持っていた罪で起訴された。トリーは裁判でも無罪を主張している。

 トリーは今年9月にリリースしたニューアルバム『DAYSTAR(デイスター)』に収録された「Money Over Fallouts(マネー・オーバー・フォールアウツ)」で、メーガンの発砲事件を思い起こさせるラップを披露しており、彼は次のようにラップしている。「いくつかの質問がある。足を撃たれているのに、骨や腱には到達していないことなんてあるのか?」。

 一方、事件について公の場でほとんど言及してこなかったメーガンは、2020年11月20日に満を持してリリースしたデビューアルバム『Good News(グッド・ニュース)』の1曲目に収録された「Shots Fired」で、トリーの主張に反論。次のように力強いラップを披露した。

「アンタは5フィート10インチのビッチを22口径の銃で撃った
骨や腱の話をしてるってわけね、銃弾は小粒じゃなかったんだけど
感情的で弱虫なアイツにピッタリな弱々しい銃だったよ」

 メーガンはこれ以上トリーとの銃撃事件について話すつもりはないようで、『グッド・ニュース』のリリースに際して行なった米Radio.comとのインタビューで、「言い合いをするつもりはないの。ある時点で何かを言ったとしたら、そういうことだし、それは私が本気で言ったこと。改めて繰り返す必要なんてない」と明言。「もう十分に言ったって思ってる」として、今後はトリーの話題には言及しないことを示唆した。

リアーナのフェンティなどでアンバサダーに

 メーガンはそのロールモデルとしての影響力を買われて、リアーナによるランジェリーブランド「サヴェージ×フェンティ(Savage x Fenty)」や、人気コスメブランドのレブロン(REVLON)でアンバサダーを務めている。

 また、178センチの長身であるメーガンは2020年11月、ファッションブランド「ファッション・ノバ(Fashion Nova)」とのジーンズのコラボラインも発表している。このコレクションは、すべての女性たちにフィットすることを目指して作られたものとなっていて、メーガンは、「あらゆる背丈やサイズ、体型の女性たちに、自分たちがレプリゼンテーションされているように感じてもらいたくて、自分たちも考慮されているんだということを知ってもらいたい」と米Vogueに語っている。

 メーガンはボディポジティブのメッセージを積極的に打ち出しており、デビュー作『グッド・ニュース』に収録されているその名も「Body」では、「クレイジーでカーヴィーで、波打って、オッパイも大きくて、ウェストは細いっていうボディ」と、自分自身の体型を祝福するリリックを披露している。

日本のアニメの大ファン

 力強く堂々としたラップを披露するメーガンには、実は日本のアニメが大好きなオタクという、ちょっぴり意外かもしれない一面がある。

画像: 2019年、コーチ(Coach)のファッションショーに日本の人気漫画『NARUTO-ナルト-』がデザインされたTシャツを着用して臨んだメーガン。

2019年、コーチ(Coach)のファッションショーに日本の人気漫画『NARUTO-ナルト-』がデザインされたTシャツを着用して臨んだメーガン。

 日本のマンガやアニメの大ファンであるメーガンは、『僕のヒーローアカデミア』のキャラクターをネイルのデザインに取り入れたり、アニメ『賭ケグルイ』に登場する蛇喰夢子に扮したりと、自身のファッションにもアニメの要素を取り入れている。

 メーガンはアメリカで人気のある日本のアニメサイトであるクランチロール(Crunchyroll)とコラボしたグッズをリリースしたこともあり、「メーガン・ジー・スタリオン」とカタカナで描かれたグッズや、ビヨンセとのコラボで全米シングルチャートの1位を獲得した楽曲「Savage」の日本語訳である「野蛮」の漢字がデザインされたグッズなどを販売していた。

 ちなみに、メーガンは「『セーラームーン』は可愛いけど、話はそこまで面白くないでしょ」とツイートしたことで、『セーラームーン』をディスったとして炎上したこともある。

カーディ・Bからもビヨンセからも愛される存在

 そして、メーガンのすごいところは、何と言っても、ヒップホップのシーンで最も大胆で勢いに乗っているラッパーといっても過言ではない元ストリッパーのカーディ・Bと、地元テキサス州ヒューストンが生んだレジェンドにして、2000年代から優等生として第一線でブラックミュージックの王道を突き進んできたビヨンセという、対極に位置しているようにも見える2人の女性アーティストから愛され、その2人とコラボしたそれぞれの楽曲で全米シングルチャートの1位を獲得しているということ。

画像: カーディ・Bからもビヨンセからも愛される存在

 メーガンは2020年5月、ビヨンセがリミックスに参加した「Savage」で自身にとって初めてとなる全米シングルチャートの首位を獲得。メーガンは以前、憧れのビヨンセと初めて対面を果たした時のことを振り返り、「みんな私がビヨンセのNo.1のファンだということを知っている。ビヨンセに会った時、失神したかったけどなんとか冷静さを保った」と米Marie Claireに明かしている。

 メーガンはその後、2020年8月にリリースしたカーディとの「WAP」で自身2曲目となる全米首位を獲得。日本語で「濡れたアソコ」という意味の「Wet Ass Pussy」の頭文字を取ったタイトルが象徴しているように、「WAP」は“究極のフェミニズムアンセム”であるが故に、保守派の人たちから批判されたのみならず、男性セレブがこの曲に苦言を呈し、波紋を呼んだことも。

 しかしながら、メーガンは米GQとのインタビューでこうした批判について「「男たちは長い間、自分たちがセックスを所有しているように思い込んできたと私は思っていて、そんななかで、今や女性たちが『これは私のため。快感が欲しい。私が欲しいのはこういうもので、ああいうのはイヤ』っていうことを言っているわけでしょ。それが男たちを震え上がらせているの」と反論し、批判を一蹴した。

 2020年に「Savage」と「WAP」の2曲で全米1位を獲得したメーガン。世界で最も熱狂的なファンを持つBTSが同日にリリースしたアルバム『BE』との首位争いに破れ、デビューアルバム『グッド・ニュース』でのアルバムチャートの首位こそ逃したものの、メーガンが2020年に最もブレイクしたアーティストの1人であることに疑いの余地はなく、ビヨンセとの「Savage」は2021年1月に開催される第63回グラミー賞で最優秀レコード賞にノミネートされているほか、メーガン本人も最優秀新人賞にノミネートされている。

 メーガンがグラミー賞でのコラボパフォーマンスをビヨンセに打診しているとの報道もあり、2021年もメーガンが早速話題を集めることになりそう。最優秀新人賞を受賞するかも併せて、メーガンに注目してみて。(フロントロウ編集部)

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