兵士のフィギュアに男性、もしくはピンク色の女性しかいないことに気がついた6歳の少女が、おもちゃ会社に直談判し、会社を動かした。(フロントロウ編集部)

アーミーメンに女性がいない

 アメリカで定番のおもちゃに、アーミーメンというものがある。ディズニー映画『トイストーリー』にも出てきた、緑の小さな兵隊グリーンアーミーメンの元となったおもちゃのことで、多くの場合は1つに何体ものフィギュアが入れられて販売されている。

 アメリカのアーカンソー州に住む6歳の少女ヴィヴィアンは、2019年の夏にその定番おもちゃを買ってもらい遊んでいたのだけれど、あることに気がついた。女性の兵隊がいない!

 「ガール・アーミーメンがずっと欲しいのに、どこにもない。それってちょっと変」

画像: アーミーメンに女性がいない

 米KTHVのインタビューでそう語るヴィヴィアンは、母ブリタニーにグーグルで女性のアーミーメンがあるかどうかを検索してもらうも、結果はゼロ。ちなみに、ピンクのものだけはあったそう。

6歳の少女が会社に直談判

 そこで6歳のヴィヴィアンは行動に出る。手紙を書いて、多くのおもちゃ会社に直談判! そこには、こんな思いが綴られていた。

 「私の名前はヴィヴィアンです。6歳です。サッカーをやってます。なぜガール・アーミーメンを作らないのですか?私の友達のママは軍隊に入っています!!彼女たちも作ってください!!!!!ピンクのものは見つけましたが、あれは女の子じゃないし、軍隊にいる女性はピンクを着ません。あと、ピンクが嫌いな女の子もいます。だから、女性に見えるアーミーガールズを作ってくれませんか。私は彼女たちと毎日遊びます。私の友達もそうです!」

 女性の兵隊は見つからないし、あってもピンクにされている。大人たちのズレた行動を見事に指摘したヴィヴィアンの手紙は、インターネット上でも大バズり。そして、ペンシルベニア州を拠点とするおもちゃ会社のBMC Toysが、ヴィヴィアンの要望に応えた!

 当時BMC Toysは、女性兵士のフィギュアを作ることを伝え、それは2020年の終わりまでに完成するとしていたのだけれど、そのフィギュアがついに完成! クリスマス直前にヴィヴィアンに届くこととなり、素晴らしいクリスマスプレゼントとなった。

 ヴィヴィアンの話を聞いた時、母ブリタニーは、この定番おもちゃをそういう風に見たことがなかったことを少し恥ずかしく思ったそう。BMC Toysの社長も、ヴィヴィアンからの意見を真摯に受け止めたそうで、朝の情報番組『グッド・モーニング・アメリカ』でこう話した。

 「子供の声を聞くという素晴らしい例になったのではないでしょうか。子供たちは、私たちが見ない視点から物事を見ます。そういうものですし、私たちはそれに沿うだけです。子供たちの新しい視点こそが、物事のあるべき姿を映しているのですから」

大人が子供にステレオタイプを植えつけている

 子供向け商品といえど、その商品をデザインしているのは大人。例えばヴィヴィアンが指摘したように、子供が望んでいるわけではないのに、大人が男の子には青で女の子にはピンクでデザインするから、子供がそのステレオタイプを学び、好みや視野を狭めてしまう。

 2016年には、イギリスに住む8歳の少女が子供服売り場で感じた怒りを撮影した動画が反響を呼んだ。その店舗で売られていた女の子用の服には、「こんにちは!」「美しい」「良い気分」といった文字が並び、男の子用の服には「砂漠のアドベンチャーが待っている」「枠を越えて考えろ」「ヒーロー」という文字が。小さな時から性別によって期待されることが明らかに違うことは「フェアじゃない」と声をあげた

 また、2017年にイギリスで行なわれた実験では、成人の参加者に知らせずに、ズボンを履いた女児の赤ちゃんやワンピースを着た男児の赤ちゃんと遊ばせたところ、大人はズボンを履いた赤ちゃんとは車のおもちゃなどで遊び、ワンピースの赤ちゃんとはぬいぐるみなどで遊んだ。このことからも、大人がそのステレオタイプを、子供が幼いころから植えつけていることが分かる。

 一方で行動を起こす企業も増えており、2015年には、米大手スーパーのターゲットが、子供向け商品に性別を記載することを止めると発表。ディズニーも同じ年に、コスチュームから女の子向け、男の子向けという表記を撤廃した。(フロントロウ編集部)

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