エリザベス女王がクリスマスに観る「お気に入り映画」
クリスマスイブやクリスマス当日には、毎年、家族や恋人とクリスマス映画を観て過ごすという人も多いのではないだろうか?
ファミリー向けの作品では『ホーム・アローン』とその続編や『ポーラー・エクスプレス』、『グリンチ』、『エルフ~サンタの国からやってきた~』、ロマンチック系なら『ラブ・アクチュアリー』や『ホリデイ』、アクションがお好みなら、じつはクリスマス映画である『ダイ・ハード』といった映画が王道だけど、英王室のエリザベス女王が毎年クリスマスになるとロイヤルファミリーと観ているという映画のチョイスがものすごく意外だった。
映画好きで、新型コロナ禍ではノーフォーク州サンドリンガムに所有する私邸「サンドリンガム・ハウス」の庭をドライブイン・シアターとして一般開放したことでも知られるエリザベス女王。
そんなエリザベス女王がクリスマスに観ているのは、1980年に公開されたアメリカのSF映画『フラッシュ・ゴードン』だという。
この情報の出どころは、同作でヴァルタン公を演じたイギリス人俳優のブライアン・ブレスド。
ブライアンは、英Yahoo! Movieとのinterviewで、「女王のお気に入り映画は『フラッシュ・ゴードン』で、毎年クリスマスに孫たちと観ているそうですよ」とコメントした。
“孫たち”とは、息子チャールズ皇太子の子息であるウィリアム王子やヘンリー王子たちのこと。
残念ながら2020年のクリスマスは、英国内の新型コロナの感染拡大が深刻であることを受け、エリザベス女王と夫のフィリップ殿下は孫たちと一緒にクリスマスを過ごさないが、夫婦水入らずで『フラッシュ・ゴードン』を鑑賞するのだろうか?
映画『フラッシュ・ゴードン』とは?
映画『フラッシュ・ゴードン』は、1934年から2003年までアメリカで新聞連載された伝説的コミック『フラッシュ・ゴードン』を実写化した作品で、ロックバンドのクイーン(Queen)が主題歌「フラッシュのテーマ」を担当したことでも有名。
SF映画好きの間でカルト的な人気を誇り、『スター・ウォーズ』シリーズの生みの親、ジョージ・ルーカス監督も幼少期から1930年代に制作された連続活劇版シリーズの大ファンだったことで知られるが、一方で、主人公のフラッシュ・ゴードンを演じた俳優のサム・J・ジョーンズの演技は酷評。現在も毎年アカデミー賞授賞式の前夜に発表されている、その年の「最低の映画」を選ぶアワードゴールデン・ラズベリー賞(通称ラジー賞)の記念すべき第1回の最低男優賞にノミネートされたというエピソードも。
映画『デューン/砂の惑星』や『炎の少女チャーリー』、『ハンニバル』といったヒット作のプロデュースを手がけたディノ・デ・ラウレンティス製作の同作は、2020年に英スタジオカナルから4Kリマスター版がリリースされている。
『フラッシュ・ゴードン』のあらすじを、手短に、簡潔に表すとしたら、ごく普通のアメフト選手がひょんなことから宇宙船に乗り込んでしまい、銀河帝国最強の皇帝とバトルを繰り広げるという作品。
上の予告編を見ていただくとわかるが、映像はカラフルでギラギラ感が強く、B級感が漂う。でも、そこが持ち味で、音楽はクィーンが担当しているだけあり、素晴らしい。
クリスマス感は皆無で、なぜエリザベス女王がこの作品をホリデーシーズンに観るのかは不明だが、子供から大人まで楽しめそうなのは確か。
しかし、全英映像等級審査機構(BBFC)は、2020年のクリスマスを目前に、悪役のミン皇帝の描かれ方にアジア人に対する人種差別的でステレオタイプを助長するような表現が含まれると指摘。その旨に注意を促す警告メッセージの表示を求めている。
リブート版やアニメ版の制作が進行中
近年では、映画『テッド』で主人公が神と崇める映画として描かれ、オリジナル映画版に主演したサムがカメオ出演したことでも話題となった『フラッシュ・ゴードン』は、現在リブート版実写映画の制作が進められているほか、アニメ映画化の話も進んでいる。アニメ映画版の監督は、マーベル映画『マイティ・ソーバトルロイヤル』やその続編の『マイティ・ソー:ラブ・アンド・サンダー』、『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督が務めることが発表されている。(フロントロウ編集部)